ファッショに道を開く小泉の横暴 伊豆利彦『日々通信 いまを生きる』第160号(2005.8.12)

 

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     >>日々通信 いまを生きる 第160号 2005812日<<

   
 郵政問題で自民党が分裂し、参議院で否決されたために、衆議院を解散し、
   
総選挙を行うという。
   
 私にはこの問題はなんの興味もない。
   
 元来、政治には強い関心を持ちつづけてきた私だが、今回は馬鹿馬鹿しい
   
気がしてならないのである。
   
 しらけている、といのだろうか。
   
 そして、国民の政治離れというのがこれだなと思う。

   
 郵政に問題があるのはわかった。その改革が問題なのだろう。しかし、民
   
営にすればよくなるということがよく納得できないのである。
   
 私には民営の問題点はよくわかるが、民営の利点はあまりわからない。

   
 この点については、私にはあまりわからないので、発言したくない。
   
 しかし、国会議員は十分検討して、とにかく、ひとつの結論を出してほし
   
いのだ。
   
 それが、自民党のなかでさえ納得できる結論にいたらず、反対者が多数い
   
るのに、ごり押しで、民営に踏み切ろうとしたから問題が紛糾しているのだ
   
ろう。
   
 自民党のなかさえまとまらず、多数決でごり押しして、その結果、国会が
   
紛糾して、そこは多数決で否決されたのだから、もう一度、考え直し、みな
   
が納得出きる提案にすべきなのと思う。
   
 そのためには、このような混乱をおこし、否決された小泉内閣が総辞職し、
   
あらためて問題を根本から検討し直す必要がある。

   
 ところが、今度は参議院で否決されたから衆議院を解散するという。衆議
   
院は反対が多かったけれど、それでも可決したのである。その衆議院を解散
   
しても、参議院はいまのままなのだから、結局、彼らの民営化案は通過しな
   
いのではないか。
   
 しかし、今度の衆議院選挙で反対派を徹底的に締め上げ、たたきつぶして
   
しまえば、参議院議員もその小泉執行部の力に畏怖して、執行部の言いなり
   
になるだろうというのであろう。

   
 元来、それほど国民の関心がない郵政問題をこれほど紛糾させて、国民に
   
この問題で選挙をせよといわれても、当惑するばかりなのである。この問題
   
は専門家の間で問題を煮詰めて国民にわかる形で提案してほしい。
   
 それを、自民党内さえまとめられず、修正につぐ修正で、その本体は何な
   
のかわからない状態で、ただ「民営化」という言葉だけが問題だというよう
   
な不安定な状態で、空虚な論議が限りなくつづいている。
   
 国民の福祉や六カ国協議、首相の靖国参拝とアジア問題など多くの緊急な
   
問題が山積しているのに、国会は郵政一本のような状態で空転をつづけ、そ
   
の上、選挙までするというのはあまりにひどいと思う。

   
 これは小泉氏の政治家としての能力不足、力量不足、不適格性の結果だと
   
思う。それを強引にファッショ的手法で押し切ろうとしている。問題はそこ
   
にあるのろう。これこそ、重大な政治問題だ。なぜマスコミはこのことに焦
   
点をあてて、小泉批判に集中しないのか。

   
 これは、議会制民主主義の蹂躙ではないか。ファッショ的独裁にむかって
   
進もうとしているのではないか。
   
 このことなら、誰にもよくわかる。イエスかノーかをこたえることが出来
   
る。
   
 いま、日本はとんでもない曲がり角を曲がろうとしているのだ。
   
 もちろん、いまの議会中心の制度にも問題がある。
   
 しかし、独裁的な手法を肯定する方向に進むことで解決しようとすべきで
   
はないだろう。

   
 ところが、衆議院を解散したことで小泉内閣に対する支持率が上昇したと
   
いう。信念に従うやりかた、行動力、決断力といったものが評価されている
   
のであるらしい。
   
 これは、大変なことだ。
   
 二・二六事件のときも、政治の行き詰まり、その腐敗と無能にやりきれな
   
くなっていた国民が、その行動力を支持し、喝采して迎えた。そうした動向
   
が議会主義を否定する軍閥ファッショの支配に道を開き、戦争へと進ませた
   
のである。

   
 こんなうっとうしいことは書きたくなかった。
   
 しかし、時代が鬱陶しいのだ。

   
 私の「戦争と文学 いま小林多喜二を読む」について、Amazonに若い人の
   
感想が載っていて、大分評判がよかった。また<未来>というサイトでもた
   
いへん積極的な評価をいただいた。
   
 私の本が若い人に読まれて、戦争について、小林多喜二について、昭和の
   
歴史について考えるきっかけになり、いまに対する認識を深めることになれ
   
ばたいへんうれしい。
   
 私の本に対する意見は新掲示板1に紹介しておいた。
   
 読んでいただければ幸いである。

   
 八月一日締切で、堀田善衛について書いていたところ、パソコンが壊れて
   
往生した。
   
 とうとう、修理のために工場に出さなければナイ始末だった。
   
 小型のノートパソコンに切り換えて、なんとか急場をしのいだが、入力そ
   
の他なれぬことばかりで思うにまかせず、通信の発行も遅延してしまった。

   
 暑い夏である。そしてお盆である。しかし、それは終戦六〇年でテレビな
   
どでも関係番組が数多く放映されて、私も思うことが多い。
   
 皆さんも、体に気をつけて充実した日々をお過ごしください。

   
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