戦後最悪の首相をのさばらせている大新聞TVの罪は重大 日刊ゲンダイ(050816)

ひどいものだ大マスコミの小泉よいしょべたぼめ報道

 

デタラメ民営化法案否決解散後、洪水のようにあふれ出ている小泉持ち上げ報道は一体何のためなのか

 

政権発足以来4年余、ロクな仕事もしないどころか国民生活を圧迫する事に専念してきた悪質独裁政権を改革政権のように宣伝し悪政の継続に手を貸してきた大新聞TVは更にまた大宣伝に乗り出しているが、こんな政権が選挙に勝つようなことがあったら大マスコミは歴史的な大罪を犯すことになるだろう

 

 郵政民営化に反対した議員に次々と送り込まれる刺客候補――。連日、面白おかしく取り上げる大マスコミに、小泉官邸はニンマリではないか。

 郵政法案に反対票を投じた議員の中には、乱暴な手続きを問題視した議員も多い。それなのに、白か黒かで色分けし、「反対議員は改革に後ろ向き」と決め付ける。反対派=悪者のレッテルを張り、選挙戦を勧善懲悪のドラマに仕立て上げる。こんな小泉官邸の謀略に大マスコミが乗っかっているのだ。

 どうかして.いるのではないか。元NHK政治部記者で椙山女学園大教授の川崎泰資氏(マスコミ論)もこう言う。

「郵政民営化=改革にして、賛成か反対かと迫れば、反対派は守旧派になってしまう。マスコミは首相の乱暴な論法を批判すべきなのに、そのまま報じて、世論調査で『支持率上昇』とかやっている。有権者はますます、首相が正しいのか、と思ってしまう。マスコミが自作自演で小泉政権に協力しているようなものですよ。

 マスコミの使命は政治家が言ったことをそのまま報じることではない。報じたうえで正しいのかどうかを論評することです。それを放棄しているのですからヒドイものです」

 

大マスコミがマインドコントロール

難しい議論はすっ飛ばし、白か黒かでケンカを吹っかけ、人気につなげるのは、この政権の常套手段だ。今回は仰々しくく、ガリレオの地動説まで持ち出し、自分たちを正当化している。「言論を弾圧しているのはどっちだ?」と言いたくなるが、厚顔・首相会見をTVが実況し、翌日は新聞が「問われる構造改革路線」とか書く。自民党か

ら取材拒否を食らっている朝日新聞までが社説で「郵政民営化の灯を消すな」と書いている。

 大マスコミが全面協力だから、小泉執行部は反対派議員を盲腸呼ばわりし、「自民党の大掃除だ」などと吹いている。悪ノリの政府・日銀は解散の翌日に「景気回復宣言」を出して、まんまと新聞にデカデカ1面報道させている。小泉政権発足時から平均株価は2000円も下がっているのに、よくもまあ、こんな政府のデタラメPRをタレレ流せるものだ。

 テレビに至ってはもっとひどくて、小泉ベッタリの出演者が出まくって「大きな政府か小さな政府か」などと吠えている。官邸の振り付け、演出でテレビカメラを回しているみたいだ。

 政治評論家の森田実氏は「世界」9月号で、小泉政権を「戦後最悪の政権」と断じ、「愚かにもわが国の大マスコミが小泉賛歌の大合唱を続けてきたため、国民は最近まで小泉政権の正体に気づかなかった」「政治権力と癒着した巨大マスコミが総力を挙げて日本国民をマインドコントロールしている」「小泉政権は巨大な幻想」と書いていたが、その通りだ。

 もともとマスコミ操作に長けている官邸が、ますます増長し、大マスコミを手玉に取っている。これから選挙だというのに、この国の行く末はゾッとしてくる。

 

改憲、増税、言論弾圧の3点セットが現実に

 今度の総選挙は日本にとって重大な分岐点だ。自公与党が勝てば、小泉首相は続投する。ひょっとしたら、残り1年となった自民党の総裁任期を延長しようとするかもしれない。「小泉万歳」を訴えて当選した小泉チルドレンの衆院議員たちは、あと3年くらいは安泰だ。

 この間、自民党は結党50年で本格的な改憲議論が進み、イラクの駐留期限が切れ、新たな対応を迫られる。アジア外交も岐路に立っているし、内政に目を転じれば税制改革、社会保障改革が待ったなしだ。これだけ大きな政治課題があるのに、全部を小泉流でやられたら、国民はたまったもんじゃない。丁半バクチで憲法問題や外交・安全保障の議論をされたら、日本はアッという間に「違う国」になってしまう。

デタラメ内政のツケで国民負担も青天井だ。明大教授の高木勝氏(現代経済学)が言う。

「小泉政権の4年半は名ばかり改革のオンパレードでした。構造改革はすべて中途半端。手柄にしている金融再生も、一番トクしたのは外資だし、地方の金融機関は問題だらけです。これほど長期政権だったのに、成し遂げた政策はゼロだから驚きます。着実にやってきたのは、市場メカニズム優先の名の下に、弱者を切り捨て、配偶者特別控除の廃止や年金保険料、医療費などの負担を増大させたこと。おかげで所得格差は開く一方です。こんな政権が続けば、大増税、負担増の庶民イジメはエスカレートするばかりです」

 財政再建は確かに急務だが、小泉政権がやろうとしているのは社会保障費を削り、税金を引き上げることだけ。これじゃあ、日本経済はジリ貧なのだ。

 

メディアに問われている冷静な総括

 米国ベッタリのポチ外交が続けば、アジアの孤児になるのも見えている。学会・公明党との関係はますます深まり、民主主義は形骸化、宗教政党が協力する独裁政治に拍車がかかるのも間違いない。今でも郵政法案への反対を容赦しない小泉のことだ。選挙で勝てば、これまた批判を許さない池田学会と一緒になって、言論封殺、マスコミ弾圧に乗り出すのは確実だ。

 所得格差が広がり、言いたいことも言えない世の中になれば、自殺や凶悪犯罪はもっと増える。国民生活にとって最悪最低の政権を、これ以上続けさせては自爆モノだ。

今、メディアに問われているのは、4年半の小泉デタラメ政治を総括し、「これでいいのか」と国民に問いかけることなのである。

「小泉首相は、改革かアンチ改革かを選挙の争点にすることで、改革の名の下に何をやっても許される"お墨付き"を得ようとしています。メディアは、そんな小泉首相の狡猾さを暴き、この政権の怖さを国民に知らせる義務があるはずですが、首相のぺースに乗せられています」(同志社大教授・浜矩子氏=国際経済学)

 この期に及んで小泉政権を後押しする大マスコミは、再び、歴史的大罪を犯そうとしているとしか思えない。