大学評価学会、平安女学院大学就学権確認訴訟問題を議論 控訴人学生が特別報告(2005.8.18)

 

全国国公私立大学の事件情報 http://university.main.jp/blog/ 

http://university.main.jp/blog3/archives/2005/08/post_292.html 

 

 

2005年08月18日

大学評価学会、平安女学院大学就学権確認訴訟問題を議論 控訴人学生が特別報告

 大学評価学会の第17回研究会が7月16日(土),大津市で開催された。この研究会はシンポジウム形式で行われ,「大学における教育・研究と事務職員の役割」をテーマに3人のシンポジストより報告を受け,活発な議論がなされた(この議論の経過は,大学評価学会通信第6号に掲載)。
 この研究会では,別途,現在大阪高裁に提訴中の平安女学院大学就学権確認訴訟について,控訴人の学生である川戸佳代さんによる特別報告も行われた。平安女学院大学就学権確認訴訟は,起きた問題の性格からして様々な視点からの議論が可能であるが,川戸さんは,この研究会において,守山キャンパスの移転・統合問題に関する事実経過を説明した後,特に大学側の在学契約の遵守責任について問題提起した。要旨は次のとおり。

 今日,在学契約問題は,授業料返還訴訟等において,消費者契約の視点から問題にされる場合が多い。この点に関わり,学生は入学金や高い授業料を支払い,それに相応する教育サービスを受ける「消費者」とみなすことも可能である。当然「消費者」たる学生は,入学の際に約束された教育サービスを受ける権利を有する。この教育サービスには多様な内容が含まれるが,教育を受ける際の環境や条件も重要な構成要素であることは言うまでもない。平安女学院大学は,学生を受け入れる際,様々な媒体を通じて,守山キャンパスの立地環境面のすばらしさや施設の利便性,あるいは地域に開かれたキャンパスについて学生に最大限アピールし,学生はそれに同意して入学した。これは在学契約の具体的な内実をなす。ところが,かかる教育条件は,在学契約の履行途中で,大学当局側から事前説明もなく,しかもキャンパス開設からわずか5年で閉鎖という形で一方的に変更された。これは大きな問題である。

 報告に対する議論では,様々な意見がでた。「実際に大学内では,学生が授業料を払っている事を忘れている職員がたくさんいると思う。」「まさにモラルハザードの問題だ。移転によって混乱させた理事長は辞めていないんでしょ?大学にも株主総会のような機関が必要。」「第三者機関を置いたが,監事は、理事会の人間だったりして意味がない。形だけになっている。」「自浄能力が備わっていない大学が国公私立を問わずたくさんあると思う。」といった感想も出された。
 最後に,川戸さんから,「大学の建学精神や運営方針は、良い時も悪い時も学生に直接影響すると思う。入学前に示されたものが卒業まで当然保障されないといけないと思う。大学の体制が変わりそれに伴って教育サービスの条件まで変わるのはおかしい。平安女学院ではそれを防ぐことができなかった」といった趣旨の応答があった。(文責 ホームページ管理人)

投稿者 管理者 : 20050818 00:31