《疑問な点が多く、恐怖すら感じます。・・・これでは「横浜市が物笑いの種になる」と委員が指摘》: 脳卒中から助かる会、「横浜市立脳血管医療センター医療機能検討会議」報告書“叩き台”に対して文書を提出(2005.8.23)

 

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20050823(火曜日)

叩き台に対する要請

 「横浜市立脳血管医療センター医療機能検討会議」報告書叩き台
に対して 

 「横浜市立脳血管医療センター医療機能検討会議への要請V
  「市会福祉衛生病院経営常任委員会委員への要望」

文書を提出致しました。

 

 

「市会福祉衛生病院経営常任委員会委員への要望」

http://join.web.infoseek.co.jp/ysbc/youbou0817.html 

 

 

平成17年 8月17日


市会福祉衛生病院経営常任委員会委員各位

「脳卒中から助かる会」                   

代表

上野 正

 同

吉田 孝

                             
 猛暑の日が続きますが、先生方には連日横浜市民のためご尽力下さっておいでのことと存じます。
 私共は脳血管医療センターの機能検討会議が発足して以来、傍聴や議事録によって検討の状況を見て参りました。
7月26日の第6回検討会議で、信友浩一座長が病院経営局(局長岩佐栄)の協力の下にまとめたたたき台が出されましたが、脳卒中患者や市民の立場で見ると、
疑問な点が多く、恐怖すら感じます。
理由は、たたき台を読むと二つの方向が浮かび上がって来るからです。
 (1)センターの救急を出来るだけ利用し難くする。或いは利用できなくする。
 (2)センターの急性期治療(脳卒中発症直後の治療)を弱体化する。
また、
 (3)赤字問題の構造と規模、その対策について何処にも出でいない。

 これは、私達の疑問や恐怖というだけでなく、横浜市の医療という見地から見ても大きな問題と考え、検討会議に要請を行いました。(要請V)
 ここに同封いたしますのでどうかご覧頂き、事態の改善に向けてご尽力下さいますようお願い致します。

 なお、この要請Vは概ねたたき台の順序に沿うもので、長文となったため、特に問題と考える点を以下に要約します。

 1.たたき台では「脳卒中の疑いのある救急患者をまず総合病院に搬送し、脳卒中だと判ったら、センターなどの専門病院に運ぶ」とあるが、これは医学的に見て誤りで、手遅れとなる。「まずセンターなどの専門病院に運び、脳卒中でないと判ったら、総合病院に運ぷ」のが世界の常識であると脳卒中学会理事長の篠原幸人委員(D委員)が指摘されています。
これでは「横浜市が物笑いの種になる」とのことです。
 また、たたき台には市内南部地域以外の患者をセンターの救急から閉め出す内容も出ている。(現在は、市内全域どこからでも受け入れている)

  2.市内に、脳卒中急性期医療が全く不十分であることを(故意にか)ぼかして、リハビリ施設が足りないことのみ強調している。毎日24時間専門の医師とMRIが常時待機する救急はセンター以外にないが、利用できているのは市内患者の約11%だけである。センターを充実して、もっと利用者を増やすと共に、センターの他にも同様の機能を持った病院を市内に一箇所でも二箇所でも確実に増やしていくことが是非とも必要である。たたき台はこの点に全く触れていない。

 3.本格的な脳梗塞の特効薬t-PAがごく近く解禁される見通しで、効果も強力だが誤用の副作用も大きいため、使える病院には厳しい基準がある。条件を満たす病院は市内にはセンター以外にはほとんど無い。センターの急性期医療の能力を低下させてはそれも出来なくなり、横浜の脳卒中医療は大きく立ち後れる。この問題も何故か全く取り上げていない。

 4.センターは全国でも三位とも云われる有力な脳卒中専門病院だが、その能力と役割についての評価の検討も行われず、今後の具体的な方向性と見通しが何一つ書いていない。何の為の機能検討なのか?

 5.市内の回復期リハビリ病床の不足を大きく取り上げているが、解決の全体像は無く、ただセンターの急性期用病床110床のうち81床を回復期リハビリ病床に転用する準備をするとある。リハビリ病床が81床増では全く焼け石に水だ。
 何よりも危険なのは貴重な急性期用病床がたったの30床以下に減らされることである。これではセンターの急性期治療を維持すること自体が困難になり、市内唯一の24時間体制を持ち、優秀な医療チームを抱えた高度脳卒中専門病院は失われる。
 脳卒中はまず急性期に最高の治療を受けるかどうかで予後が全く違う。センターの急性期医療は質も量も絶対に後退させてはならない。

 6.センターの優れた治療を軽視し、それ以外の業務の重要性を強調している。「今までは急性期治療に集中してしまった」と非難し、「情報の提供等が直接の医療提供よりさらに重要」とか、「行政との連携を常に意識し、情報提供する機能を中心に運営すべき」など。治療よりも情報提供が大事なのか?これでは病院としての機能を低下させる。24時間体制の高度な急性期治療の出来る病院は市内にはセンター以外にないのだ。

 7.センターの赤字が急性期、リハビリ、老健などの各部門から各々どの程度出ているかも不明。対策も不明である。

 8.一部の委員から出た「センター内部の人間関係が悪い」とか「チーム医療が機能していない」など個人的感想に近いものが、原因や実態の確認もされずにたたき台に載っている。
 一方で、「医療事故を無くすにはどうしたらよいか」や「隠蔽体質を改善するにはどうするか」の検討がなされていない。「人間関係が良い」ことが大事なら、事故隠しも一緒にやらなければならない。「仲間なんだ。ここは穏便に、仲良く黙っていよう。」では患者はたまったものではない。事故も無くならない。治療方針なども厳しく議論して欲しい。当然のことでしょう。

 以上要約ですが、慎重にご検討をお願い致しします。

 また、検討会議の報告書がまとめられた後も常任委員会によって十分時間をかけ、入念なご検討により、市民の生命と健康が損なわれることのないよう、是非ともご尽力下さいますようお願い致します。

 

 

「横浜市立脳血管医療センター医療機能検討会議への要請V」

http://join.web.infoseek.co.jp/ysbc/youbou0814.html より

 

 

【感想】


 
今回、機能検討会議のたたき台と議事録を通覧した結果、私達患者や市民にとって最も大切な「患者の命を救い、良質の治療で良く治す」という医療本来の仕事が如何に軽く見られているかを知り、恐ろしくなりました。
 センターに病気を治す以外の仕事を押しつけることばかり考えているかのようです。
 例1:『センターが救急と急性期医療に集中してしまった為、政策提書などが手薄になった。』(たたき台7頁)
 例2:『情報提供による医療レベルの向上、市民の啓発などが直接の医療提供よりさらに重要』(6頁)
 例3:『センターは行政との連携を常に意識して情報提供する機能を中心に運営すべき』(8頁)
 センターが〔T〕毎日24時間の体制と〔U〕良質の治療〔V〕誰にも開かれた体制で救急と急性期に集中してしまったお陰で多くの患者が助かりました。毎日24時間待機しているところは他にないのです。直接の医療提供のお陰で助かるのです。今は特効薬 t-PAを使える病院など市内にろくろく無いのです。情報提供を中心にされたらたまったものではありません。(これらには行政がもっと本腰を入れるべきです。)
 例4:『急性期病棟とリハビリ病棟が同じ病院にあると、日本の医師は生死を扱う急性期に傾注しがちなので歪みが出てうまく行かない。』(たたき台3頁)
 生死の境から人を救うのに傾注するのは当然のことでしょう。死んでしまえぱリハビリは不要です。どんな感覚からこうした言葉が出てくるのか?