平安女学院大学就学権確認訴訟、学生の声「私たちの気持ちを無視されてくやしい気持ちでいっぱい」(2005.8.24)

 

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2005年08月24日

平安女学院大学就学権確認訴訟、学生の声「私たちの気持ちを無視されてくやしい気持ちでいっぱい」

 下の囲みは,現在実施している平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟のための大阪高裁宛「要望書」に賛同するネット署名に寄せられたメッセージのうち,当該大学の在籍学生からの想いが綴られたものである。守山キャンパス移転問題と訴訟の経緯については,このサイトで幾度となく取り上げたのでこれ以上触れない(最も詳しい説明は「大学人の会」サイトのページにも書いた)。下記のメッセージを取り上げたのは,学生だけの力でキャンパス存続運動を展開し,現在どのような想いを抱いているのかがよくわかると思ったからである。「十分な説明もないまま統合し、高槻にいく事をよぎなくされ、私たちの気持ちを無視されてくやしい気持ちでいっぱいです」というのは,偽ざる率直な気持ちと思う。控訴人学生の川戸さんも同じである。

 本件キャンパス移転問題については,強引な大学当局のやり方・進め方に対し,中にいる教職員から,支援が期待できなかった(これ自体大きな問題である)。学生たちの直接的なゼミの担当教員でさえ,事情は同じであった。したがって,キャンパス存続運動と大学当局に対する社会的な責任追及は,控訴人の川戸さんを中心に「平安女学院大学守山キャンパスを守ろうの会」に集まった学生たちの力によってのみ展開された(下記にメッセージを寄せた学生も恐らくその1人だと感じる)。
 
 「守ろうの会」の学生は当初は全部で14名である。この14名は下記メッセージにもあるように,「学生にどれだけの事ができるのか」という不安を抱きつつも,強引な形でキャンパス移転を突きつけられ声を発することも困難な学生たちのなかに入って署名活動を行い,そして訴えた。この活動は地域でも大きく展開された。その結果は,たった14名の学生によって,わずか3〜4ヶ月のうちに2万名ものキャンパス存続を求める賛同署名を獲得するに至ったのである。その道のりは,並大抵ではなかったと思う。われわれの想像を超える努力があったに違いない。またこの14名の女子学生たちは,大学当局からキャンパス移転の理由として「経営財務状態が厳しい」と説明を受けた結果,けなげにも「じゃ,高校の時はそうだったのだから,みんなで大学構内を掃除して,清掃費節減に協力しよう」と真剣に相談しあった。電気代節約のために,無駄な電灯やクーラーを消すなどの構内巡回も行った。しかし,これらの想いや行為は,大学当局から全く無視された。署名さえ受け取ってもらえなかった。

 「今時の学生」という表現は多分に語弊があるが,このような学生たちは今時いるだろうか。キャンパスを設置したが思うように学生が集まらなかったことについて,彼女たちに何の責任もない。また,自治体から34億円もの補助金を受けながら,わずか5年でキャンパス統合を実施しなければ財務状態が悪化するという問題(これは理由としては多分に誇張を含んでいる)について,彼女たちにその責任はないし,そのツケを払う義務もない。彼女らは,学生募集の際「守山キャンパスという新しい立派な教育環境で思う存分学生生活を楽しめるよ」と様々な宣伝媒体を通じて勧誘され,その言葉に従って入学した。ただそれだけのことである。とはいえ「守ろうの会」14名の女子学生たちは,大学運営のあり方に対し教職員でさえ事実上黙認した問題に対して,勇気を持って「おかしいことはおかしい」と声を発し行動したのである。しかも多額の補助金を出した地域住民に対して,その血税が決して無駄にならないよう学生なりに責任を果たした。本当に立派であると思う。

 一方,平安女学院大学当局の社会的責任,同時に彼女らのゼミ担当教官も含む同大の教職員の責任は大きい。下記メッセージで,最初のところに「『多くの学生が統合に同意している』と理事長の言葉が書かれていました」とあるが,平安女学院理事長の態度は,この裁判を通じても変わっていない。今回提出した控訴人の「控訴理由書」に対する学園側「答弁書」は,「控訴人も被控訴人からキャンパス統合に伴う補填・補償措置としての通学費の補助金の交付を受け,高槻キャンパスに通学して,4年生としての学生生活を送ってる」と述べ,何ら問題など発生していないかのごとく書いている。

 また,5年でキャンパスを撤退するような杜撰な事業計画に多額の補助を出しながら,最終的にはその失政を今度は自ら運営する市立守山女子高校の高校生と教職員に責任転嫁した守山市長,そして,同キャンパス跡地の扱いに困っていた市長に対して,平安女学院理事長と密室協議の上,守山女子高校移管と同キャンパスのタダ取りをセットにして話しを持ちかけた学校法人立命館の理事長川本八郎と同理事会は,社会的に糾弾されてしかるべきである。
 特に,学校法人立命館は,昨年1年間「守ろうの会」女子学生たちがキャンパス存続を求めて活動を展開し,守山市や滋賀県,文科省まで陳情にでかけ,最終的に裁判所にまで提訴していることを充分に知りつつも,この問題に介入し,「守山キャンパスで学びたい」という圧倒的多数の学生たちのけなげな願いの最終的な息の根を止めた。この行為は断じて許すことはできない。この大学はかつての末川精神からかけ離れ見事なほどに180度転換した。今や人間を教育するという大学機関としてモラルも器もこの大学の理事会にはない。あるのは自分の大学さえよければそれでいい,他大学の学生などどうでもいいという態度だけである。

 全国の大学人にあっては,平安女学院理事会に抗議していただきたい。他方で同大学の学生たち,控訴人・川戸さんと「守ろうの会」の女子学生,そして下記メッセージにもあるようないろいろな事情から「行動を起こせない人」「反対なのに学校との間にたたされた人。反対だけど声をあげる事ができなかった人」に対して,是非とも署名とともに温かいエールを送ってあげて頂きたいと思う。(ホームページ管理人)

■「平安女学院大学守山キャンパス就学権確認訴訟を支援する大学人の会」のホームページ
http://university.sub.jp/shomei/daigakujinnokai.html
■ネット署名のページ
http://university.sub.jp/1/

 4月から統合され高槻に通っています。学校側は守山までの費用と、高槻までの費用の交通費差額を支給すると説明し、通学にかかる費用を調査しました。私たちはその金額で間違いないかサインしました。それにサインしないと交通費は支給されないと聞きました。それをもってか、新聞に「多くの学生が統合に同意している」と理事長の言葉が書かれていました。私は納得した訳ではありません。もちろん守山で入学し、通い、卒業するつもりでした。

 しかし学校側に高槻にいくと「決定した」といわれ反対の声はありましたが、色々な生活を抱える中で学生にどれだけの事ができるでしょうか? 反対だと声をあげた人。反対なのに学校との間にたたされた人。反対だけど声をあげる事ができなかった人。もちろん高槻でいいという人もいたと思います。でも私たちは平安女学院大学守山キャンパスを選び入学したのです。会社に入ったのなら、転勤は仕方ない事です。しかし私たちは学生です。なぜ私たちがこんな思いをしなければならないのか。「反対しているなら高槻に行かなければいい」「編入すればいい」そういった意見もあるかもしれませんが、やめてしまえば今まで平安女学院に通ってきた年月は何だったのか。私たちが築き上げてきた人間関係は?反発して大学を中退したら将来どうなるのだろう。間違っているのは学校だと主張しても認めてくれる人はどれくらいいるだろう。そんな不安な思いがかけめぐる中、行動を起こせない人もたくさんいるのではないかと思います。

 私たちにとって環境が変わるということはとても大きな事なのです。私たちも大人です。環境に適応できないわけではありません。じゃぁ仕方ないし我慢するしかない。しかしそうゆう問題ではないのです。十分な説明もないまま統合し、高槻にいく事をよぎなくされ、私たちの気持ちを無視されてくやしい気持ちでいっぱいです。現在も最後まであきらめず頑張っている彼女はすごいと思います。色々な事で悩む事もぶつかる事も多いと思います。必死で頑張っている姿が認められるような日がくるようにと願っています。

 

投稿者 管理者 : 20050824 00:01

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