立命館大学への守山女子高移管と平安女学院大守山キャンパス無償譲渡の議案、守山市月定例市議会で提案予定(2005.9.9)

 

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2005年09月09日

立命館大学への守山女子高移管と平安女学院大守山キャンパス無償譲渡の議案、守山市九月定例市議会で提案予定

京都新聞(9/02)

 上記新聞記事にもあるように,守山市は9月2日の定例会見で,以下の条例改正と議案を9月定例市議会に提案すると発表した。

(1)来年の4月1日で市立守山女子高を廃止する「守山市立学校の設置に関する条例」の改正案。この廃止により,同女子高校は私学審議会の結果を受けた上で,立命館大学への移管が決定される。
(2)守山市が取得した平安女学院大びわ湖守山キャンパス跡地を、立命館に無償譲渡することについて議会の議決を求める議案。
(3)現在の守山女子高の土地と建物を来年4月1日から、立命館に無償貸与することについて議決を求める追加議案。

 因みに,(3)の内容は,当初,立命館への「無償譲渡」とされていたが,同校は国からの補助を受けていたため,そのまま譲渡した場合,市は補助金の残額を返還しなければならず,「無償貸与」に切り替えた。しかし,この点は後に平女守山キャンパスに移動する立命館にとって何ら損得はない。こうして,山田亘宏市長は,「一連の手続きは、九月議会をもってほぼ終了する。私学審議会の結果を受けた上で、早ければ十一月には、キャンパス跡地を立命館に譲渡したい」との意向を示したという。

 平安女学院大学のわずか5年でのキャンパス撤退問題から端を発し,平安女学院・立命館・守山市のトップ同士で取り決めた密室協議の内容とその実行は,手続き面に関してはここでほぼ終局を迎えるものと考えられている。おそらく守山市議会は,賛成多数でこれらの議案を可決するかもしれない。立命館大学理事会が学内の学生・教職員にさえ,この一連の問題について何ら説明責任を果たしていないのは,すべての手続きが終わるこの時期まで待っていたのだとも言える。

 しかし,この問題はここで終着を迎えるであろうか。この一連の事件は高校および大学といった教育現場で起きた問題である。そのツケはまず関係する守山女子高校生や平安女学院大の学生が払うことになった。彼女たちは,今後この一連の事件をどのように受けとめて社会に出ていくのだろうか。自分たちの学びの条件や環境が,何の前触れもなしにある日突然変更されたのである。しかもそれは極めて大きな変更であって,そのプロセスをみると民主主義的な手続きとか,関係者に説明や合意を求めるとか,まじめな議論や検討過程が示されるとか,そんなことは一切なしにいわば強引に進められた。これらすべてが教育現場で発生し,それを学生・生徒たちはつぶさに見たし体験したのである。

 すべてが莫大なお金が絡んで密室で決められたということをみんな知っている。学校教育では,常に少数意見を大事にし,みんなで議論し尽くして一つの問題を解決しなければならない,こう生徒や学生たちは教えられる。しかし,その手本となるべき設置主体の責任者たる自治体首長や大学経営者が自らそれを完全にないがしろにした。学生や生徒たちはそれを身をもって知り経験した。その影響は計り知れない。

 かつて立命館大学は,広小路キャンパスと衣笠キャンパスという2つキャンパスをもって運営されていた。文学部と法学部をもつ広小路キャンパスを閉鎖し,衣笠キャンパスに移転・統合するという衣笠一拠点化計画は,実際何年がかりで進められてきたか。これは構想から完成まで相当長きにわたった。その何年にもわたる過程において,何百もある全学の全てのクラス・ゼミの中で賛成・反対など議論をし尽くし,教職員も含めた全学レベルでも徹底した議論が何度もなされた。ここには莫大なエネルギーが注ぎ込まれた。これはすべて学生や教職員の勉学・研究条件や労働条件に重大な影響を与える問題であったからである。その中で,学生たちは単に書物だけでは得られない民主主義というものの内実を実践的に学んだ。これも「平和と民主主義」を教学理念にもつ大学としての重要な教育機能の一つであった。(付言すれば,この立命館大学の2つのキャンパスの距離は,今回問題となった平安女学院大学の守山市と高槻市のそれに比べ比較にならないほど短い。当時,広小路キャンパスの移転・統合にあたり,今回の平安女学院の場合のように,移転する距離が短いのだから学生への充分な説明なしに実行されようが問題はないなどと考えた者は誰一人としていない。しかし,今回の平安で発生した問題について,これを通学距離だけの問題に矮小化する者もいる。大津地裁もそのような不当な判断を下した)。

 今回の立命館大学の対応は,それとは全く正反対である。180度体質が変わったという所以である。もし,立命館大学の理事会が自らのかつてを知っている教育者の集まりであるならば,平安女学院大学のキャンパス移転の進め方は,たとえ経営問題があるにせよ,おかしいと言うはずである。また,大勢の女子学生たちや市民の存続の願いを背景に,訴訟にまで持ち込まれているキャンパス移転問題に対して,これに介入し何ら正式の話し合いや公の議論もなしに他人の持ち物をタダで自分のものにしようなどという議題が,理事会において通過するはずはない(しかし,事実はすでに今年の5月の守山市との覚書調印までに,少なくとも立命の理事会ではすべてのGOサインを出したと思われる)。もし立命の川本八郎理事長が平安の山岡景一郎理事長と,同じ立命館大学出身同士密室協議をするならば,「あなたのやっていることはおかしい」と言うのが本来の姿である。これこそ名実ともに「密室協議」の名に値する。しかし,実態は全てにわたって違っていた。

 今度はそのツケを全て平安女学院大学と立命館大学が払わねばならないだろう。この2つの大学は現在どのような蜜月関係にあるのか知らないが,学生や生徒は3〜4年サイクルで入れ替わり,いなくなってしまえば,何事もなかったようになると思っていれば,それは大間違いである。そのような大学であるという評価まで消し去ることはできないからである。まして今回の事件は,地域住民の巨額な税金の使い道も絡んだ事件である。平安女学院大学が守山市から誘致を受けて大学と守山キャンパスを設置する際,市議会も市民も大きな期待をもって歓迎した。しかし,それが見事に反故にされ,、その後に進出する今回の立命館守山高校の場合は,経緯も含めて状況が全く違う。新聞報道によれば,平安女学院大学が同キャンパスを守山市に返還したのは,立命館大学からの「支援の見返り」(日経新聞7月20日付)あるからだとされている。この「支援の見返り」がもし金銭的な関係を含んでいるとするならば,巨額な税金を支出した市民は決して黙ってはいまい。

 最後に,現在進められている平安女学院大学守山キャンパス就学権訴訟とそれを支援する賛同署名は,たとえ守山キャンパスが立命館大学の手に渡ろうとも,それに影響を受けるものではないことを付け加えたい。(ホームページ管理人)

投稿者 管理者 : 20050909 01:01