総選挙結果 各国の反応 「しんぶん赤旗」(2005.9.13)

 

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-09-13/2005091304_03_3.html 

 

 

2005年9月13日(火)「しんぶん赤旗」

総選挙結果 各国の反応


■米国喜ばせる ロシア紙

 【モスクワ=田川実】ロシアのイズベスチヤとコメルサントの両紙十二日付は、日本の総選挙結果を報じた記事の中で、「小泉の勝利はブッシュ米大統領を喜ばせる」「プレゼント」などと書く一方、「冷却化した日本と中国、韓国との関係は変わらないだろう」と指摘しました。

■韓国大統領が小泉首相に祝電

 韓国の盧武鉉大統領は十二日、日本の総選挙結果を受け小泉首相に祝電を送りました。このなかで、「今後、両国関係が未来志向的で建設的に発展してゆくことを期待する」と表明しました。

 大統領は六月の日韓首脳会談で小泉首相に対し、首相が靖国神社を参拝することは侵略戦争を美化することであり、日韓の未来志向的な関係を損なうと強く批判していました。

■アジア軽視に 韓国メディア

 韓国メディアは総選挙での自民党の大幅議席増を受け、小泉首相が靖国神社参拝を強行し、日本政府が憲法改悪と軍備増強、米国との軍事同盟強化に突き進む「アジア軽視外交」が強まるとの懸念を示しています。

 東亜日報は十二日付の社説で、小泉政権の「アジア軽視外交」が続くとし、「米国のミサイル防衛(MD)体制構築に協力し、軍備増強に拍車をかける可能性が高い」と指摘。「憲法九条の改定、すなわち名実ともに日本国軍の保有を憲法に明示するための論議もさらに力を得るだろう」とし、「アジアの隣国との外交、軍事的なあつれきが深まる恐れがある」と警戒しています。

 全国ネットのソウル放送(SBS)は「米国との同盟外交だけを重視し、アジア外交をおろそかにしているとの批判を受けている小泉首相が長期政権となれば、周辺国との外交摩擦も大きくなるだろう」と強調。中央日報の十二日付社説も「こうなれば北東アジアの構図は再び揺らぎ、韓国、中国との関係もきしむほかない」と強い懸念を表明しています。

 韓国日報は十二日付社説で、小泉政権が郵政民営化以外の内政・外交政策も強行するとの見通しを示し、「靖国神社参拝や憲法九条の改定、自衛隊の役割強化など、(日韓)両国が神経をとがらせる懸案が相次ぐ」と指摘しました。

■“平和に脅威” 英紙

 【ロンドン=西尾正哉】英紙ガーディアン十二日付は社説で、日本の総選挙結果について「小泉首相の勝利は東アジアの平和に悪い知らせ」と指摘しました。

 社説は、「日本が直面している最も重大な課題が選挙戦ではほとんど論じられなかった。小泉首相は日本の外交政策をゆっくりだがより国家主義的な方向へと導いているのだ」と指摘しました。

 社説は、「日本は奇妙にも、第二次世界大戦中の隣国への野蛮な行いを認めてきていない。この点で小泉首相は“改革者”からは程遠い。小泉首相の勝利は、東アジアの平和と安定の展望にとって悪い知らせであろう」と結んでいます。

■内外に難問中国

 【北京=菊池敏也】中国の新華社通信は十二日、日本の総選挙結果を報じたなかで、「小泉首相は選挙に勝利しても、内外の難問を隠すことは難しい」と題する解説を報じました。このなかで、自民党の勝利は「郵政民営化実現の障害を排除した以外、他の内政・外交問題を円滑に解決できることを意味しない」と指摘しました。

 解説は、小泉首相が政権について四年あまり、「日本外交は苦境に陥っている」と指摘し、小泉首相が「誤った歴史観に固執し、四年連続で靖国神社を参拝し、日中、日韓など隣国との関係をひどく悪化させた」と批判。「自民党は選挙マニフェストでは、中国、韓国など隣国と未来志向の協力を強化すると表明しているが、小泉首相は選挙戦の中で、日中関係、日韓関係の改善にどう力を注ぐのか一言ものべていない」とのべ、小泉首相が今後これらの問題をどう解決するかはまだ「未知数」として、注視する姿勢を示しました。

■日中間は難航 シンガポール

 シンガポールの中国語紙、聨合早報十二日付は、「東アジア情勢に影響及ぼす日本の総選挙」と題する社説を掲載しました。社説は靖国神社参拝や平和憲法改定に固執する小泉首相が率いる自民党が大勝したことが、今後の日中関係や東アジア情勢に与える影響について懸念を表明しました。

 社説は、「小泉首相は個性とイメージを突出させる街頭演説で聴衆を集めたが、自民党のプラットフォームでは外交上の微妙な問題については巧みに言及を回避した」と批判。「小泉首相が再選されれば、日中両国間の問題が氷解するのは難しい。東シナ海の主権と油田開発、台湾問題での小泉新政権の対応しだいでは、状況は非常に先鋭化し複雑になるだろう」と警戒心を示しています。