民主党“アメリカ派”(ネオコン)の勝利 森田実政治日誌(2005.9.20)

 

2005年森田実政治日誌[349

http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02171.HTML より抜粋

 

 

民主党“アメリカ派”(ネオコン)の勝利

 

 9月17日の代表選で民主党は、総選挙敗北ショックのなかでうろたえたまま、やけになって、菅ぎらいの低劣な感情を抑えることができないまま、最悪の選択をしてしまったのではないか――これが私の素直な感想である。

 前原誠司衆議院議員は、党内では“アメリカ派”(ネオコン)、“憲法改正派の右翼”とみられてきた。いまもそうだ。前原氏が代表選出馬を表明した直後に、小泉首相ブレーンの話を聞く機会があった。その小泉ブレーンは「民主党代表に前原君がなれば、民主党はよくなる。われわれと一緒にやれる。菅や小沢ではダメだ。横路らの旧社会党系を切らねばダメだ」と言っていた。前原氏は小泉ブレーンに好かれている。ブレーン氏は、民主党内にブッシュ・コイズミ的な勢力がおり、「その代表的なリーダーが前原氏だ」と言った。前原氏を民主党の代表にしようとする“ブッシュ・コイズミ化”勢力の工作は相当進んでいたのかもしれない。民主党代表選で前原氏が選出されたことを小泉支持派は大喜びしている。

 

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  日本の政治の根本問題

 

 日本の政治の根本問題は「日本をアメリカ化するか、それとも日本が独立国として生きるか」にある。コイズミ主義者のめざすのは「日本のアメリカ化」である。前原氏も同じ方向をめざしている。

 民主党内には、このコイズミ主義(アメリカ化)を基本的に支持する勢力と支持しない勢力があった。9月17日の代表選において、コイズミ主義者が前原氏を支持し、反コイズミ主義者が菅氏を支持した。96票対94票というきわどい差だったとはいえ「コイズミ主義者」が勝った。前原民主党は今後、本質的には「日本のアメリカ化」に加担する方向に動くとみなければならない。民主党にとってこれほどひどい選択はない。民主党はこの過ちによって破滅への道を進み始めたのだ。愚劣すぎる。

 

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 小泉自民党と前原民主党の関係

 

 前原氏らの民主党の新執行部は「純粋アメリカ化」政策=コイズミズムを推進することは明らかである。前原代表らの執行部がめざすのは「アメリカ化」における小泉自民党との競争である。小泉首相以上にアメリカ政府が喜ぶ道を進もうとする。

 アメリカ政府からみれば、「アメリカ化」勢力が二つ(小泉自民党と前原民主党)存在し、これが「アメリカ化」を競い合うという理想的状況ができることになる。与党と野党がともにブッシュ政権へのゴマスリ競争に励むのである。

 アメリカ政府にとってこれほど楽しいことはないのではないか。従米自民党と従米民主党が二大政党として政権をめぐって争うというのは、どちらに転んでも親米政権が存続することを意味する。政権交代しても親米政権がつづくことが保障されているのである。 この事態は、日本国民にとって大悲劇である。