9.11総選挙は大政翼賛選挙だった 森田実政治日誌(2005.9.20)

 

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2005年森田実政治日誌[351

総選挙の結果をどう見るか(9月17日横浜における森田実講演の「総選挙総括」部分の要旨)

 

「人生には解決なんてない。ただ進んでいくエネルギーがあるばかりだ。そういうエネルギーをつくり出さねばならない。解決はその後でくる」(サン・テグジュぺリ、フランスの小説家、飛行家)

 

[9月17日午後、横浜市の「ワークピア横浜で講演した。以下は、その講演のうち総選挙総括部分の要旨である]

 

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  9.11総選挙は大政翼賛選挙だった

 

 8月上旬から9月中旬にかけて全国各地を回り、講演し、多くの人々と懇談した。この時、各地の80歳以上の高齢者が同じことを私に言った――「森田さん、今度の総選挙は昭和17年4月30日の翼賛選挙にそっくりだ。あの東条内閣が行った総選挙です。東条内閣は大政翼賛会に日本中のあらゆる組織を結集し、466の全議席を大政翼賛会推薦議員で独占するため、非推薦議員の選挙運動を制限し、時には弾圧した。今度の選挙はあの悪名高い翼賛選挙に大変似ている」

 昭和17年(1942年)4月30日の選挙のことを、私はおぼろげながら憶えているが、くわしくは戦後、文献や経験者の証言で、その“ひどさ”を知った。

 新聞も放送もすべて東条内閣を応援した。実業界も宗教界もあらゆる業界団体も東条内閣のもとに結集し、大政翼賛会の推薦議員を支援した。選挙の統括をする内務省は非推薦候補者の選挙活動を妨害し、官憲は容赦なく弾圧した。この結果、推薦議員の多数が当選し、新議席の約82%を占めた。この選挙における東条内閣の“勝利”が、東条内閣と戦争を長引かせ、戦争の悲劇を拡大した。

 80歳以上の翼賛選挙を経験した人々にとって、今回の選挙が、翼賛選挙の再現にみえたのは、第一に小泉政権側の広報機関と化して小泉首相をほめあげ、亀井静香氏や民主党など小泉政権の批判者を容赦なく攻撃したテレビと大新聞の姿が、当時の新聞・ラジオと同じく政治権力の手先に見えたからだった。

 第二に小泉政権を支持する大規模な企業選挙が、東条政権の手先と化した実業界の動きとダブって見えた。その他、宗教団体、医師会、農協など諸々の圧力団体が小泉自公連立候補のために選挙運動を行った。結果、亀井氏らの国民新党や岡田民主党は、昭和17年の非推薦候補と同じ立場におかれた。

 このなかで、とくに大活躍したのがテレビだった。テレビのバックには日米の巨大広告企業がつき、莫大な広告費が投入された。莫大な広告費はテレビ局と大新聞社をまるごと買収するほどの巨額に上った、との証言がある。この巨額の広告費は、日本国民の頭脳を変え、マインドコントロールするために使われた。日本国民すべてが「郵政民営化をすれば日本はよくなる」「小泉改革を行えば日本人は幸せになる」「小泉首相は偉大な政治家である」と考えるように、すなわち日本人を洗脳するために投入された。

 

 2005年9月11日の総選挙は、平成版翼賛選挙だった。昭和171942)年4月30日の大政翼賛選挙の再現だった。

 ただ大きな違いはあった。小泉政権とマスコミのバックにブッシュ米政権とウォール街の巨大ファンドがついていることだ。米の巨大ファンドが大金を出し、日本の政治を支配しコントロールしたことである。日本国民を小泉政権支持に向けるための大がかりな、いわばスパイ大作戦のような巧みな工作が行われた形跡がある。日本国民はテレビ・大新聞の小泉支援の大キャンペーンに乗せられたのだった。

 その上、大規模な企業選挙。地域の末端まで企業が動いた。日本の企業は選挙期間中、政治集団と化した。トヨタのトップまで鉢巻きを締めて選挙活動に精を出した。日本の企業の歴史に大汚点を残した。

 宗教団体も各種圧力団体も、小泉内閣の翼賛選挙に加わった。日本は1942年に逆戻りしたのだった。