朝日新聞編集局長ら解任 NHK番組改変報道資料流出 「東京新聞」(2005.10.1)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20051001/mng_____sya_____007.shtml 

 

 

朝日新聞編集局長ら解任

NHK番組改変報道資料流出

 NHK番組改変報道に関する社内の取材資料が外部流出した問題で、朝日新聞社の秋山耿太郎(こうたろう)社長は三十日夜、記者会見して陳謝した。管理責任を問い、吉田慎一常務の編集担当・東京本社編集局長の職を解き、横井正彦社会部長を解任した。秋山社長は、役員報酬の50%を三カ月間自主返上する。また、編集局長を二人制とし、一人は記者教育と調査報道を担当するほか、コンプライアンス(法令順守)担当役員を新たに置くことを明らかにした。解明できなかった資料の流出経路については、今後も調査を続けるとした。 

 同時に、自民党政治家の圧力でNHKが番組を改変したと報じた今年一月の同紙報道について、第三者機関の「NHK報道」委員会(委員は原寿雄元共同通信編集主幹、長谷部恭男東大大学院教授ら四人)が検証した「見解」も公表された。

 それによると(1)「政治的圧力」があったことを真実と信じた相当の理由はあるが、詰めに甘さが残り、さらに裏付けを取る努力が必要だった(2)番組改変全体に政治家の意向が及んでいるとまでは言えず、表現が適切ではなかった−などと指摘した。

 秋山社長は「記事の中に不確実な情報が含まれてしまったことを深く反省する」と述べ、安倍晋三氏と中川昭一氏がNHK幹部を呼び出したという部分については「会って」と表現しても政治家の影響を伝えることができたし、中川氏と幹部との面会は「放送前日」と断定しない方が適切だったとした。一方、「報道委も必要がないという意見が大勢」という理由で記事を訂正する考えはないとし「これをもって最終対応としたい」と述べた。

 取材を録音した資料の有無については「明らかにできない」とした。

 二〇〇一年一月に放送された特番について、朝日新聞は今年一月十二日付朝刊で「中川、安倍両衆院議員が放送前日にNHK幹部を呼び『偏った内容だ』と指摘、NHKが政治家の圧力によって番組を改変した」と報道。これに対し、中川氏は「放送前日には面会していない」、安倍氏は「呼び出したことはない」などと強く反論していた。

(メモ)NHK番組改変報道 NHKは2001年1月、教育テレビで旧日本軍の従軍慰安婦問題を裁く市民団体の「女性国際戦犯法廷」を取り上げた。

 番組は4分短縮されるなど改変され、市民団体側は「信頼を裏切られた」とNHKなどを提訴。朝日新聞は今年1月に「政治的圧力で改変された」と報道した。政治家とNHKは全面的に否定し、互いに正当性を主張。月刊現代9月号に朝日記者の取材のやりとりが掲載され、朝日は社内取材資料が流出したことを認めた。