「意見広告の会」ニュース303 (1)平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟、(2)横浜市大新聞 ニュースブログ 現場配慮し学長選を、(3)またもや露呈した法人運営の不透明性と機能不全 都立大「手から手へ」(2005.10.11)

 

 

「意見広告の会」ニュース303

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** 目次 **
1 平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟
 1−1 最高裁に上告
 1−2 川戸さんの担当弁護士にお礼をするための募金のお願い
2 横浜市大新聞 ニュースブログ 現場配慮し学長選を
     20051004
3  またもや露呈した法人運営の不透明性と機能不全
     都立大「手から手へ」  2364号 10/6

***
1−1 最高裁に上告
平安女学院大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟


平成 17年9月29日
最高裁判所

                     上告受理申立人代理人
                     弁 士 吉  原   稔

上告受理申立人   川  戸  佳  代
〒520−0056
滋賀県大津市末広町7番1号 大津パークビル6階
  吉原稔法律事務所(送達場所)
077-510−5262
FAX 077-510−5263
上記上告受理申立人代理人
士     吉  原     稔

〒602−8013
京都市上京区下立売通烏丸西入5町目町172番地の2
方    学校法人 平安女学院
上記代表者理事長  山岡景一郎

 上記当事者上告受理申立人(控訴人)相手方(被控訴人)間の大阪高等裁判所 平成
17年(ネ)第1783号 就学権確認等請求控訴事件(原審・大津地方裁判所 平成
16年(ワ)第573号)につき、平成17年9月28日言渡された判決(上告受理申
立人受領日9月28日)は不服につき民事訴訟法第318条に基づき上告受理申立てを
する。

原判決の表示

                            主
1  本件控訴を棄却する。
2  控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由
省略

上告受理申立の趣旨
1 本件上告を受理する。
2 原判決を取り消す。
3 申立人が、相手方の経営する平安女学院大学を卒業するまでの間(卒業最短修業年
限)、相手方の設置するびわ湖守山キャンパス(以下「守山キャンパス」という。)に
おいて就学する権利(教育を受ける権利)を有することを確認する。
4 相手方は申立人に対し、同卒業までの間、守山キャンパスにおいて就学させよ。
との判決を求める。

上告受理申立の理由
                追って上告受理申立理由書を提出する。

添 付
1 訴訟委任状 1通
2 資格証明書          1通


1−2 川戸さんの担当弁護士にお礼をするための募金のお願い

川戸さんの代理人吉原稔弁護士にお礼をするための募金をお願いします

 川戸さんの裁判を担当している吉原弁護士は、大津地裁への提訴以来、 裁判にかか
る費用は全て手弁当で弁護活動を行ってくださっています。

これから最高裁への上告ということで、さらに費用がかかります。
大学人の会として、裁判費用の一部を拠出したいと考えております。
募金にご協力いただける方は、次の口座にご送金ください。

  郵便振替口座 00950−3− 247779
  口座名義 細川孝
   一口2,000円、何口でも結構です(もちろんいくらからでも結構です)。
 

「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」事務局
 

2 横浜市大新聞 ニュースブログ
    20051004
【論評】現場配慮し学長選を
 本学の平成18年度以降の学長を決める選挙が始まった。今回の選挙では4年間の任期
が与えられるため、大学の中・長期的なあり方に与える影響は大きい。しかし、わずか
6人の選考会議で決められ、うち3人が学外の人物であることを考えると、教育・研究
の「現場」と無関係に人選が進められてしまうのではないか、という懸念がある。

 改革を経て、本学が直面している問題は多い。新学部生では履修をめぐる混乱が多発
しており、TOEFL未取得学生の留年も予想されている。また旧学部生は、教員流出によ
るゼミの消滅など、入学時に提示されたカリキュラムが保証されていない。たびたび持
ち上がる授業料値上げの計画も、学生にとっては重大な不安材料だ。さらに教員と大学
運営側との間に生じた亀裂の解消も必要だろう。新しい学長に要求される項目は多い。
 
 現在のブルース・ストロナク学長は、学生と直接に対話する機会を設けるなど、意見
の取り入れに積極的だ。今後どのような人物が学長となるにせよ、この路線は継承され
るべきだ。加えて、寄せられた意見を、実際の大学運営に反映させ問題点を改善させて
ゆくことが望ましい。現学長の1年間の任期では難しかっただろうが、4年間の任期で
あれば十分に実現可能なはずだ。

 大学にとって重要なのは「広報」よりも「中身」である。選考にあたっては、学内の
現状を十分に踏まえた上で、教育・研究現場の意見を取り入れ、改革で生じた数多くの
問題を改善できる人物を熟考してほしい。そのためにも、学長候補者は所信表明の際、
大学の将来について具体的な展望を明らかにするべきだ。 


3  またもや露呈した法人運営の不透明性と機能不全
     都立大・短大教職員組合 「手から手へ」  2364号 10/6

   またもや露呈した法人運営の不透明性と機能不全
   オープン・ユニバーシティ来年度基本計画をめぐって 
                 
 1.はじめに
  今年4月、法人による一方的な研究費配分が問題化しました。まずは首都大に就任
しなった教員に傾斜的配分を行わないというものでした。組合の抗議もあり研究分担者
としては配分を受けられることになりましたが、法人の差別的配分方針自体は完全に改
まってはいません。さらに大学の実態を踏まえないで、各教員に「実験」・「非実験」
の区別を設けて研究費を配分しようとしたため、なかには昨年の半分しか基礎的研究費
の配分が行われなくなる学科・専攻もありました。加えて科研費配分書類作成をめぐっ
ては、文科省・日本学術振興会の指示を無視して、学長ではなく理事長名で申請する方
針が出されました。文科省の指摘でようやく法人は誤りを認めましたが、経営の優位を
誇示する態度がこのような事態を招きました。
 そして先頃、学系教授会などで報告されたところによりますと、オープン・ユニバー
シティ(OU)の基本計画策定をめぐって法人による一方的な方針の押しつけが行われ
、教員と事務室に混乱がおきています。ここには首都大法人の運営上の問題点が集約的
にあらわれているのです。 
  
 2.事実経過
  OUは本年6月に開講しましたが、受講者が最低数に達しないため開講されなかっ
た講座も少なくないといわれています。また開講されても受講者数が少ない状況が続い
ているようです。そのため事務職員と教員が開講のための努力を続けています。
 9月下旬、来年度基本計画案を作るためOU検討部会が開かれました。それにむけて
事前に「法人の方針」なるものが示され、「300講座実施」というノルマが提示され
てきました。今年は150講座実施となっていましたが、OU所属教員とはいえ、皆基
本的には従来通り短大、学部、大学院の授業を担当しており、必ずしも教員の実態に即
したものとはいえませんでした。来年は実施数が倍増することになりOU所属教員にさ
らに多くの授業負担が課せられることになります。また学部・学系にも講座の割り当て
が機械的に降りてきました。教員側は、教員の実態をふまえた講座数の設定などを強く
申し入れましたが、法人トップは聞き入れない態度をとっています。
 このことが報告された人文科学研究科教授会では、OU所属教員も人文科学研究科、
人文・社会学系、人文学部の正規教員であり、このような負担増は、学部・大学院の来
年度の教育・研究指導に重大な支障をきたすものであり、とうてい受け入れられないと
いう強い意見が、OU所属教員以外から複数でました。さらに、教員の意向を反映した
基本計画案とすることを求める意見表明を行うことが教授会決議として承認されました


 3.問題点
  この事例は、現在の大学の運営上の問題点をわかりやすい形で示しています。
(1)
法人の意思決定過程の不透明性
  基本計画案はOU検討部会で作成することになっているはずなのに、今回、法人の
方針なるものが変更不可能な形で降りてきました。方針は理事長、副理事長(学長)、
事務局長など法人トップが作成したものと思われますが、これが一体どのようなプロセ
スで作成され、また経営審議会の議を経ているのかどうかも不明です。
(2)
教員の意見の軽視 
  OU検討部会などでも批判的意見が出たのにもかかわらず、法人トップは自らの方
針を絶対視し教員の意見を受け入れないといいます。これではOU検討部会が基本計画
案を作成するという規定上の手続がまったく無意味になります。
また、基本計画案について教授会で議論するなどの、大学として最低限の手続も取られ
ませんでした。
(3)
調整主体であるOU長の「不在」
 本来ならばOU長(現在は学長が兼務)が、教員の意見を集約し調整を行う役割を負
うべきなのですが、OU長が教員の意見をとりまとめるという手続は行われていません
。このように教員側と法人の調整を行う主体が「不在」のなかで、教員の意見が法人に
伝わらない状態が続いています。
  以上のような問題点を放置したまま「法人の方針」に固執すれば、新大学、旧大学
の教育研究に大きな支障をきたすことになるでしょう。また現在、受講者が少ないため
、事務室が中心となって受講者を集める努力が行われていますが、300講座実施とい
うノルマの増加によって、事務職員にもさらなる負担がのしかかることになります。

 4.大学運営の刷新を!
  今回の事例は、法人トップの意思決定プロセスが、きわめて不透明であることを示
しました。このほか、例えば経営審議会の情報は、開催状況すら教職員に対してまった
く明らかにされていないなど、法人運営の不透明性はいたるところに存在しています。
さらに学長、副学長など大学の執行機関が大学全体を見渡しながら円滑な運営を行うと
いうシステムができていないことが問題です。
 このような構造のなかで、法人トップが教職員の教育研究や事務体制の実態を把握せ
ず、一方的に方針なるものを降ろしてくるという行動を繰り返すことになるのです。こ
れでは大学は機能不全を起こしますし、教職員の法人トップに対する不信はますます募
るばかりです。
  以上の事態は、経営の優位の名の下に、教授会、評議会など教学側の機能を奪った
ことから派生しています。教学側の機能を剥奪して「トップダウン」で大学を運営する
ことで迅速な意思決定ができるというのがその理由でしたが、むしろ「トップダウン」
によって、法人それ自体も、大学も運営が滞ってしまっています。法人トップは、OU
の基本計画を教員の意見をふまえて決定するという、大学本来の意思決定方式を尊重す
べきです。
今回OUの基本計画をめぐる問題は、氷山の一角にすぎないのであり、今こそ大学運営
の主導権を教職員の手に取り戻し、大学運営を刷新しなければなりません。