最近の日本資本主義の非人間性と異常性  森田実政治日誌(2005.10.10)

 

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2005年森田実政治日誌[380

 

最近の日本資本主義の非人間性と異常性

「人面獣心」(『漢書)

[顔は人間だが、心は野獣のような人間。最近のアングロサクソン流弱肉強食主義の資本家・経営者は人面獣心である]

 

 

 9月11日の総選挙で小泉政権は巨大な政治権力となった。総選挙後、小泉政権は、さらに強大化した。この特徴は次のとおり。

 第一に、自民党内から小泉批判派が一掃され、小泉自民党は、1920年代末から50年代にかけて存在したスターリン治下のソ連共産党のような一枚岩の独裁体制になった。

 第二に、民主党がネオコン政治家の前原氏を代表に選び、小泉政権にすり寄り始めた。前原民主党の右傾化により、事実上の平成版大政翼賛会が成立した。

 第三に、総選挙において、「放送法」の「不偏不党」原則を踏みにじり、法を犯した民放各局は、放送法違反を反省せず、依然として小泉政権の広報機関的無法行為を繰り返している。テレビは政治権力の手先と化した。

 第四に、公明党・創価学会が、小泉政権にピッタリ寄り添い、依然として小泉首相にきわめて忠実である。自民党と公明党・創価学会は事実上合体した。

 第五に、中央省庁の官僚が小泉首相へのゴマスリ競争を始めた。郵政省、郵政公社の状況は、小泉首相に嫌われたら省庁がどんな悲惨な運命をたどるかを、全官僚に見せつけた。官僚は自らの生存のため小泉首相に対しゴマスリ競争を始めている。小泉首相は強くなるばかりである。

 第六に、労働組合連合が新会長に憲法改正論者の高木剛氏を選出した。連合が小泉政権にすり寄ることは不可避であろう。

 

 こうして、小泉政権は巨大権力となった。

 この巨大権力をどう使うか、それぞれが作戦を研究中だ。

 金融庁は、政府関係金融機関を統合して、金融庁の支配下におさめようとしている。

 財務省は、小泉政権という強大権力を使って、大増税を使おうとしている。

 総務省は、大権力を使って三位一体改革を行って、地方を支配しようとしている。

 外務省は、対外援助の大幅増額を狙っている。地方財政削減、公共事業予算の大

幅削減を行わせ、その分を対外援助に回そうとしている。 そして、経営者たちは、リストラを徹底的に行って企業利益を大きくしようとしている。ある経営者は言う――「われわれが支持してきた小泉構造改革が国民から信任された。これからは何でもできる。資本家の自由な行動が可能になった。これからは容赦なく従業員のクビも切ることができる」と。

 乗っ取り屋も遠慮なく動き始めた。アメリカ型の資本家が大張り切りしている。

 しかし、――と思う。資本家、経営者という人間は、自らの利益のためには長年会社に尽くしてきた社員のクビを平然として切るような、そんなにも非情な冷酷な人間性の持ち主ばかりなのだろうか。人間の顔をしているが心が野獣のような人間ばかりなのか。