横浜市立大学教員組合週報(組合ウィークリー) ●第二回の団交を申し入れています、●学長選考・任命に当たっての教員組合の見解、●いわゆる「TOEFL500点問題」について、●時間外労働に関する労使協定の更新(2005.10.11)

 

 

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー 2005.10.11

もくじ
 第二回の団交を申し入れています。
 学長選考・任命に当たっての教員組合の見解
 いわゆる「TOEFL500点問題」について
 時間外労働に関する労使協定の更新

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 第二回の団交を申し入れています。

 すでにご報告いたしましたようにさる728日、教員組合としての最初の団体交渉を行いましたが、執行委員会として、現在、緊急の問題となっている準教授の教授への昇格問題に関し、取り急ぎ団体交渉を行うよう当局に申し入れています。
 準教授の教授への昇格については、先の団交で急いでその手続を始めるよう要求し、当局がその実行を今年度中に始めると約束しています。今回の団交では、その手続に関する規定・細則につき当局側の見解を求める方針です。なお、その際、「任期制」への同意を昇格の条件とすることがないよう求める方針です。

 学長選考・任命に当たっての教員組合の見解

 次期学長の選考がはじまっていることをご存知の方もけっして少なくないと思います。周知のとおり、次期学長は、従来のような大学構成員の選挙ではなく、教育研究審議会および経営審議会を構成する者から選出された6名の選考会議によって選考され、理事が任命することになっています。
 私たちは、横浜市立大学が従来採用してきた学長選挙方式に問題点がなかったと言うつもりはありません。しかし、私たちは、今回の学長選考・任命方式は、従来の学長選挙・任命方式のどこにどのような問題があり、何ゆえに今回のような方式を採用するのか、十分な議論もなく、一方的に上から押し付けられた選考・任命方式であることを確認しないわけには行きません。
 公的な教育と研究の場である大学を運営する上で、学長は、最も指導的役割を果たすべき存在です。その学長を選考する際に、教育・研究現場を直接担っている教員の声が充分反映されることが、大学組織の運営にとって必要不可欠であることは言うまでもありません。その意味で、今回の選考・任命方式は、一部の者に権限が集中し、これまでの選挙・任命方式と比べ明らかに後退しているといわざるをえません。私たちは、このような民主主義の後退に対して、警鐘を打ち鳴らすと同時に、より「民意」を反映しやすい方式に改める努力を始めるよう当局に要求するものです。
 なお、今回からの学長選考方式によれば、経営審議会および教育研究審議会は各2名以内の候補者を推薦することができるとした上に、本学の専任教員が15名以上の推薦人を集めることによって候補者を推薦することが出来ることになっています。
 われわれは、このような教員推薦方式を導入したとしても、今回の選考方式の「権力集中性」が払拭されるものとは考えません。
 しかし、現行制度が実行される以上、現場教員の声を可能な限り選考過程に反映させるよう各教員が努力することは意味のあることだと考えています。組合として特定の候補を推薦することはいたしませんが、皆さん方が自発的に推薦活動について判断していただくよう呼びかけたいと思います。
 私たちの大学をよくするために、あきらめず、出来る限りの努力をしようではありませんか。

いわゆる「TOEFL500点問題」について

 現在、多くの教員が、極めて深刻な事態だと受け止めている1年生の英語教育の問題について、現場の教育に携わる教員組合としての見解を述べておきます。 
 すでにみなさんもご存知の通り、「TOEFL500点」を進級基準とする新しい英語教育の進展状況は深刻です。中期計画に二年次末までの最低達成水準として「TOEFL500点」を設定している国際総合科学部においては、91日現在、10%強しか進級基準に達していないのが現状です。到底今後を楽観できる状況ではありません。もちろん今後の努力によって、その見通しが少しでも開けることを期待したいと思います。
 この時点にあたって、私たち組合は、横浜市立大学の英語教育を健全に発展させ、本学の英語教員が誇りを持って働ける職場にするために次の点を確認しておきたいと思います。
(1)今回の「TOEFL500点」の改革は、英語教育を直接担当する教員の反対を押し切って改革当局が一方的に押し付けた改革であり、その結果の責任は、現場の教員に押し付けられるべきではなく、こうした強引な決定プロセスこそが問い直されるべきこと。
(2)当局は、学生に対する適正な語学教育を推進する立場から、現在の状況を真摯に受け止め、教育現場の教員の意見を十分に尊重し、責任ある対応策をとるべきこと。
 われわれは、この「TOEFL500点」の「改革」が引き起こしている問題は、今年度から始まった法人化に伴う「改革」全体の問題点を象徴的に示していると考えています。
 財政負担の議論を根拠に「横浜市立大学が現状のままで存続する道は全くない」との恫喝のもとに教授会や評議会の合意なしに強権的に進められた今回の「改革」は、必然的に教育現場の教員の意向を大幅に規制しながら具体化されました。その典型のひとつがこの「TOEFL500点」でした。繰り返して言います。「TOEFL 500点」構想は、上から押し付けられた「改革」でした。
 現場を無視して「外部に市大が変ったように見えること」を目的とした「改革」だったとしか思えません。
 たしかにTOEFL500点の目標は結構かもしれません。できることなら奇跡を信じたいものです。しかし、私たちには教育資源は無限にはないのです。TOEFL500点を目標とするなら、それなりの教育投資をしなければなりません。教育現場の専門家の常識では、週3コマの授業で、従来の横浜市立大学入学可能な語学力水準の学生全員にTOEFL500点を突破させるというのは,現実的な想定であると言い難いものです。しかも今回の制度では、学生の出席が義務付けられず、成績も評価されないため、学生の出席率は予想外に悪く、3分の1程度のクラスもまれではなかったようです。 
 このような条件の下での目標達成が極めて困難だと分かっていながらも、英語の先生方は、学生のためと信じ、必死に学生の出席を促し、さまざまな努力を繰り返してきました。予想外の事態が続き、多くの英語教員の事務作業量も激増しています。「もう疲れ果てたというのが本音だ」と漏らす先生もおられます。しかし、一部には、「このプログラムがうまくいかないのは、英語教員の教育能力や方法に問題があるからだ」という心無い声も聞こえてきます。とんでもないことです。
 今回の改革において、大学が数十年間の試行錯誤の末策定してきた制度の多くは検証・論議することなく否定されました。繰り返し言います。このような教育「改革」の責任は、現場の教師にあるのではなく、それを上から押し付けた当局にあります。当局は、教育現場の教員の意見を十分に聞いて、責任を持った対策をとらなければなりません。

 時間外労働に関する労使協定の更新


 既に当局とのあいだで締結している時間外労働に関する労使協定(いわゆる36協定)が930日に期限切れとなったため,来年3月末までの更新手続を行ないました。従来と同じ内容のものです。教員組合としては,現時点では特段問題は生じていないと判断していますが,今後とも職員の方々を含めて労働条件が守られるように監視していきたいと考えます。

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