郵政法案衆院通過 影潜めた 小泉批判 「東京新聞」(2005.10.12)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/sei/20051012/mng_____sei_____002.shtml 

 

 

郵政法案衆院通過

影潜めた 小泉批判

 十一日の郵政民営化法案の衆院採決で、こぞって賛成に転向した反対派。もはや小泉批判も聞かれず、自民党執行部から自身に下される処分問題にも、一様に口は重かった。 (吉田昌平)

 衆院選を非公認・無所属で勝ち残った反対派十三人のうち、十一人が賛成に転じた。小泉首相は法案の衆院通過について首相官邸で記者団に「選挙の意思を皆さん判断してくれた」と勝ち誇ってみせた。

 首相の言う通り、多くは賛成理由に「民営化という国民の意思が明確になった」(堀内光雄氏)ことを挙げた。党岐阜県連会長をこの日辞任した古屋圭司氏も「大量の議席が結果として、与党に与えられた」と説明した。

 衆院選で民営化反対の民意も託されたはずだが、「法案の中身がおかしいという考えは一緒だが、現実的対応をせざるを得ない」(山口俊一氏)。

 首相の強引な手法にも「強権政治」「独裁者」と猛反発していたのが一転して、この日は「今回は党内手続きがつつがなく行われた。みんながいいと言っただから」(保利耕輔氏)と批判は影を潜めた。

 月内に予定される処分問題にも「そのために賛成したじゃない」(武田良太氏)と言う人もいるが、大半は口を閉ざす。

 一方、無所属組でただ一人反対した平沼赳夫前経済産業相は「ここで豹変(ひょうへん)しては、支持者に申し訳ない」と強調。転向組に対しても「選挙中、(首相の)非を説いてきた。民意が出ただけで(賛成するのは)は脆弱(ぜいじゃく)な理由だ」と批判した。

 平沼氏以外で通常国会から反対を貫いたのは、国民新党などに参加した四人だけ。「私は首尾一貫して堂々と投票(反対)した」(綿貫民輔同党代表)、「このままでは民主的な日本がなくなる」(亀井静香同代表代行)と言うものの、過日の勢いはない。

 政府からは参院での採決の見通しに触れて「ほとんど(白色の賛成票で)真っ白になるらしい。今ごろ賛成するならなぜあの時に、という思いだ」(政府関係者)と皮肉る余裕さえ出ている。

【無所属】  選挙区  賛否

 堀内 光雄 山梨2区  〇

 保坂  武 山梨3区  〇

 野田 聖子 岐阜1区  〇

 古屋 圭司 岐阜5区  〇

 平沼 赳夫 岡山3区  ×

 山口 俊一 徳島2区  〇

 武田 良太 福岡11区  〇

 今村 雅弘 佐賀2区  〇

 保利 耕輔 佐賀3区  〇

 江藤  拓 宮崎2区  〇

 古川 禎久 宮崎3区  〇

 森山  裕 鹿児島5区 〇

【国民新党・日本・無所属の会】

 野呂田芳成 秋田2区 欠席

 綿貫 民輔 富山3区  ×

 亀井 静香 広島6区  ×

 滝   実 比例近畿  ×

 亀井 久興 比例中国  ×

 (注)〇は賛成、×は反対