立命館への守山女子高の土地・建物無償貸付、市議会で決定 なぜ20年間か(2005.10.17)

 

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2005年10月17日

立命館への守山女子高の土地・建物無償貸付、市議会で決定 なぜ20年間か

 10月13日,守山市は,9月定例市議会の本会最終日において,立命館と守山女子高校問題についての議案を提案し可決された。4つの新聞社(毎日新聞,中日新聞,読売新聞,京都新聞)はこれを一斉に報じた。下記は,そのうち中日新聞の記事の一部を抜粋したものである。

 今回定例市議会において,守山女子高校の土地・建物の貸与が議案として提出されることは,すでに9月2日,守山市の定例会見で発表されており,予定通りのスケジュールでもあった。同時に,守山市から立命館へ平安女学院大守山キャンパスを丸ごと譲渡する議案も提出され,これも賛成多数で可決された。

 下記の新聞記事は,たった1センテンスの記事であるが,重大な内容を含んでいる。

 まず,この問題の経緯について触れておこう。今年の5月17日,守山市と学校法人立命館は,「学校移管に関わる覚書」の協定を締結した(「守山女子高等学校の移管にかかる覚書について」 )。それは,土地・施設に扱いに限って言えば,次の3点であった。(1)守山女子高校の立命館への移管にあたり,同高の「現行地および校舎を立命館守山高校の学校用地として無償譲渡」する。(2)また「平安女学院大学守山キャンパスが市の所有になった時には,同キャンパスの土地と建物を立命館守山高校の学校用地および校舎として立命館に無償譲渡」する。(3)ただし,立命館は市から無償譲渡を受けた守山女子高校の校地・校舎を立命館の負担で解体し,整地の上,その跡地を市に無償譲渡する。
 守山市と立命館は,この「覚書」協定に従って,その後各種移管に向けた手続きを開始した。しかし,守山女子高校の土地・建物については,当初,立命館への「無償譲渡」とされていたが,同校は国からの補助を受けていたため,そのまま譲渡した場合,市は補助金の残額を返還しなければならず,「無償貸付」へ修正を余儀なくされた(因みに,こうした「覚書」協定の修正は,あまりにも事を性急に運ぼうとした結果生じたものであり,協定に至る両者の杜撰な手続きを象徴するものである)。そして,守山市は今定例市議会で守山女子高廃止条例案と守山キャンパス無償譲渡案を提出し可決させた。同時に,守山女子高校の土地・建物「貸与」の議案も可決させた。立命館もこれにより本格的に2006年4月「立命館守山高校」開校に向け,諸準備を進めることになる(「守山女子高校の移管についての経過と今後の予定」)。

 守山市側の手続きはこれでほぼ終わったとされる。しかし,1点腑に落ちないことがある。それは今回決定された立命館への「無償貸付」の期間である。下記新聞報道によれは「来年4月から20年間」とされている。どうして20年間もの長きにわたって守山市は無償で貸し付けるのだろうか。
 上記「守山女子高校の移管についての経過と今後の予定」ではこうなっている。すなわち,10〜11月に平安女学院守山キャンパスの所有権を市から立命館に移転。立命館は今年12月から来年いっぱいかけて,同キャンパスの跡地校舎の増改築工事を実施する。また,現行守山女子高校もトイレなどの改修工事を行って,来年4月にはいまの高校の土地と建物で「立命館守山高校」を開校させる。そして,2007年(平成19年)4月に同高は,改修工事を終えた「守山キャンパス」に移転する。

 ここで,移転した2007年4月以降はどうなるのか。当然,立命館は,協定に従って,旧校舎(現行守山女子高校)を解体し土地を「更地」にして「無償で借り受けていた土地」を返さなければならないはずである。守山市にあって,20年間もの長い間「無償」で「貸し付ける」根拠はない。せいぜい貸付は1年で事足りる。

 この問題は,13日の守山市議会において,急に浮上したようだ。市長は20年間「貸付」る理由について「安定した教育」が必要との趣旨を繰り返したという。その意味するところは判然としないが,滋賀県私学審議会が,「1年で校舎を移転するような不安定な教育は問題だ」と受けとめられる旨の意見あるいは感触を暗示したということがあったとされる。つまり,20年もタダで貸す必要もないのに,近く開催される私学審議会を問題なく通過させるために,このような「貸付」議案を提案したとのことである。したがって,市議会では,議員から「何でもありか」,「無償貸付することについて期間をわざわざ20年にしているのは、私学審議会を通しやすくするもので、事実と違う内容を議決するのは、審議会をあざむくものであり容認できない」との意見が出た。この問題に関し,答弁に立った市長の動揺ぶりは隠せなかったという。

 市議会で20年間「無償貸付」を提案し決定する以上,守山市と立命館は事前に協議しているはずである。立命館は確実に2007年4月に「立命館守山高校」を現行守山女子高校の地から平女キャンパスに移転させるであろう。しかし,移転後のこの公的な土地は,貸与の残り19年間,そのまま何も利用することなく,もぬけの空の状態のまま放置されるのであろうか。それとも,2007年4月になったら,今回の議決などなかったかのように,「必要ないから返す」とでも言うのだろうか。あるいは,議決時点で何の事前計画がないにも拘わらず,これから利用計画でも立てるというのだろうか。あるいはこうした推論も成り立つ。すなわち,いまだ未定とはなっているが,「立命館守山中学校」を守女の土地に建てるというシナリオである(このシナリオの場合,守山市は約32億円の補助金提供に加え,公的資産の長期無償貸与も供与することになる)。いずれにしても,立命館は守山市長と一緒になって,最初から強引に高校移管劇を作り上げたが,この強引路線は実態のはっきりしない極めておかしな議決を促してでも最後まで徹底して(川本八郎理事長流の言葉で言えば「断固として」)貫くもののようだ。文字通り「何でもあり」である。これを市民はどう感じるのだろうか。

 因みに,立命館は現行守山キャンパスの施設を,高校用に改築工事を始める。この費用は,同キャンパス施設を建設した時と同じぐらいかかるという。守山市長が市会議員の前で説明したところによれば,この改修工事費用は「30億円以上である」という。この30億円は,教職員へのボーナス1ヶ月カット提案のなか,立命館の2006年度予算書の中に計上されるのであろうか。

議会だより(中日新聞朝刊2005/10/14)

 【守山市】13日、本会議を再開。守山女子高校(同市勝部)の土地や校舎などを来年4月から20年間、学校法人立命館に無償で貸し付けることについての議案など22議案を可決した。

 

投稿者 管理者 : 20051017 00:08