「意見広告の会」ニュース304(2005.10.19)

 

 

「意見広告の会」ニュース304

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin at magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
   
迷惑メール防止のため@atに書きかえています。アドレスは@に直して下さい。
*「投稿」の場合は、その旨を当初から明確にしていただけると、確認のための時間が
かかりません。ご氏名、ご所属等の掲載方法などもご指定下さい。


** 目次 **
1 シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》の開始に当たって
      国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局
2−1 斎藤鉄夫・衆議院文部科学委員長からの返信
2−2 各党への要請(再掲) 
      「意見広告の会」事務局
3 フランス語蔑視裁判の意義(案内)
4−1 立命館への守山女子高の土地・建物無償貸付、市議会で決定 なぜ20年間か 
    「全国国公私立大学事件情報」より
4−2 あらためて募金(カンパ)のお礼
      大学人の会ニュース 242005/10/18


***
1 シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》の開始に当たって
                      2005月10月15日
            国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局

 2004年4月、国立大学が国立大学法人法によって法人化されて以来、1年半が経
過しました。先月(2005年9月)には法人化第1年度の財務諸表が各大学から公表
され、国立大学法人評価委員会からの評価も発表されました。
国立大学法人評価委員会の野依委員長は、「全般的には、法人化を契機として、あるい
は法人化のメリットを活かして改革に積極的に取り組んでおり、法人化初年度の限られ
た時間の中で、法人としての経営基盤を確立し、中期計画を順調に実施していることを
高く評価します。」との所見を述べています。

 しかし、「法人化のメリット」どころか、大学の危機は、財政的にも制度的にも予想
を越えるスピードで進行しているというのが現場の教職員の偽らざる実感ではないでし
ょうか。

 また、財政基盤の弱体化や少子化を原因として、数年後には国立大学の大きな再編淘
汰も避けられないという見通しもあります。このような中で各大学は「評価」におびえ
、「改革」を競わされているのです。

 大学の大きな役割である基礎研究はすぐれて個人的な営みであり、自立した個人の自
由な発想に基づいています。しかし今トップダウンで進められている「革」の目指して
いる大学は、そのような個々の教員や院生・学生を励ますようなものでしょうか。むし
ろ「評価」、「中期目標」、「競争的資金」によってがんじがらめにしようとしている
のではないでしょうか。私たちはそのような「改革」のあり方や枠組み自体にまず根本
的にノーと言うべきだと考えます。そのうえで、協力に基づく新たな大学システムを構
築すべきです。

 そのための基礎作業として、本事務局は、この間公表された財務諸表や評価委員会文
書だけでなく、広く政府諸機関発表の資料などを分析し、国立大学法人制度に対する現
状告発作業を集中的に行いたいと思います。これらの告発作業は、国立大学法人制度に
かわる新たな大学システム構築の基礎的な準備作業でもあります。

 シリーズの第一回は、『分析メモ:国立大学法人評価委員会による「国立大学法人の
平成16年度に係る業務の実績に関する評価」について』です。さらに、『国立大学法人
財政制度の構造的問題』、『総合科学技術会議が進める科学技術政策の根本的問題』、
『小泉構造改革の急進化と大学』などを準備中です。同様な問題意識をお持ちの読者諸
氏からの投稿も歓迎いたします。

<ニュース編集>
第1回の「分析メモ」は長文ですので、次をご覧下さい。
分析メモ:国立大学法人評価委員会による「国立大学法人の平成16年度に係る業務の
実績に関する評価」について
2005
1015 国立大学法人法反対首都圏ネットワーク事務局
http://www.shutoken-net.jp/2005/10/051015_7jimukyoku.html


2−1 斎藤鉄夫・衆議院文部科学委員長からの返信
 
8
月末メールを頂いておりましたのに、お返事が大変遅くなり
申し訳ございませんでした。

全く、同感です。
我が党(公明党)は、これまで奨学金の拡充に力を注いできました。
渡し切り型、そしてその次に無利子貸与の拡充を訴えてきましたが、力足らず、有利子
貸与を大幅に増やすという形でしか、まだ、実現できていませんが、これからも頑張っ
ていくつもりです。
そして、大学授業料の問題、「意見広告の会・事務局」さんのおっしゃる通りと思いま
す。
我が国の国家予算の中にしめる、教育関係費、特に高等教育関係費の率の低さは、先進
国とは呼ぶのも恥ずかしくなるようなものです。
少子化対策という視点からも、今後も頑張って参ります。

衆議院文部科学委員長 斉藤 鉄夫
衆議院議員 斉藤 鉄夫事務所
 TEL:082-568-2236
 FAX:082-568-2320
 E-mail:office@t-saito.com

2−2 貴党マニフェストへのお願い

私どもは、「国立大学法人法・意見広告の会」と申します。
このメールは、各政党とともに、文科関係の前職・現職の国会議員の方々にお送りして
おります。

 私どもは本年2月3日、多くの方々の支援・賛同金によって、「読売新聞」「毎日新
聞」の全国版に「国立大学の授業料値上げに反対する」意見広告を掲載いたしました。

 ご存知の通り、多くの国立大学法人は本年4月からの授業料を、年額52万800円
から53万5千800円に、1万5千円値上げしました。文部科学省令により「授業料
標準額」が1万5千円値上げされたことに基づくものです。

 「授業料標準額」に関わる本年度の予算審議の過程で、衆参両院の予算委員会や文科
・文教委員会では、議員の方々、政府関係者が「国立大学の授業料は既にこれほど高く
なっていたのか」「自分たちの学生時代には年額1万2千円だった、3万6千円だった
」等の驚きの声をあげました。我が国の大学進学のための家計負担は、先進諸外国と比
べても恐るべき高額に達しております。

 少子化の流れは、現在の日本社会がかかえる重大な問題です。その少子化の原因の一
つに、日本の教育費の高騰があげられていること、多くの識者の共通の認識でありまし
ょう。その教育費負担の高額化は、いま現在の小さなお子さんにかかる教育費だけの問
題ではありません。高等教育に関わる負担には、各家庭の将来への希望ないし不安が関
わっていると思います。能力ややる気があっても、大学や大学院を卒業するのに負担が
大きすぎる、そんな社会では出産・子育てに躊躇する人々が増大するのも当然です。

 貴党を含め多くの政党が、政策マニフェストの中に「少子化対策」「子育て支援」を
うたいあげておられます。私どもは、少子化対策は現在の子育て支援だけでは不十分で
、将来の希望につながるものでなければ有効ではないと考えます。能力とやる気があれ
ば誰でも高等教育を受けられるのだ、経済的理由によって進学を断念する必要はないの
だ。このような「希望」は、直接の利益者のみならず国民に普遍的に分配されます。
それは、将来社会全体の明るさに関わるものであるからです。

 どうぞ貴党のマニフェストに、私学を含めた大学の授業料の値下げ、家計負担の軽減
化をお加え下さい。貸与型の奨学金は学生や家計負担者にとって魅力のあるものではあ
りません。やる気と能力のある若者に高等教育の機会が均等に与えられる、そんな希望
のある社会が日本を活性化します。

 幸いに、大学の学費負担の軽減化のための国家的な経費は、さほど膨大なものではあ
りません。もちろん軽減化の規模にもよりますが、仮に些少なものであっても、それは
このような時代にあって国民に希望を与えます。希望の効果は多少の費用に換えられる
ものではありません。

 繰り返しますが、日本の高等教育にかかる家計負担は、世界標準から言っても異常な
ほどに高額です。貴党が高等教育への家計負担の軽減化のための政策をマニフェストと
して宣言して下さることを、願ってやみません。

 なお当会は、全国の国立大学関係者を中心に、電子メールによる「意見広告の会ニュ
ース」を発行しております。貴党からの何らかの形でのご回答は、当会のニュースに掲
載させて頂きたく存じます。
                          8月29日
                      「意見広告の会」事務局
                     

3 フランス語蔑視裁判の意義

フランス語訴訟報告集会「フランス語蔑視裁判の意義」が以下の日時で行われる。
日時: 20051028日(金)17451945
場所: 明治大学リバティタワー1106教室
 東京都千代田区神田駿河台1-1
 JR御茶ノ水駅下車徒歩5
基調報告(酒井幸、弁護士)、報告(新谷桂、弁護士)、報告(菅野賢治、東京都立大
学(旧制度)人文学部助教授)、報告(マリック・ベルカンヌ、フランス語学校校長・
原告代表)、質疑応答、などが予定されている。  入場無料


4−1 立命館への守山女子高の土地・建物無償貸付、市議会で決定 なぜ20年間か
 「全国国公私立大学事件情報」より 10/17 http://university.main.jp/blog
/

 1013日,守山市は,9月定例市議会の本会最終日において,立命館と守山女子高校
問題についての議案を提案し可決された。4つの新聞社(毎日新聞,中日新聞,読売新
聞,京都新聞)はこれを一斉に報じた。下記は,そのうち中日新聞の記事の一部を抜粋
したものである。

 今回定例市議会において,守山女子高校の土地・建物の貸与が議案として提出される
ことは,すでに92日,守山市の定例会見で発表されており,予定通りのスケジュール
でもあった。同時に,守山市から立命館へ平安女学院大守山キャンパスを丸ごと譲渡す
る議案も提出され,これも賛成多数で可決された。

 下記の新聞記事は,たった1センテンスの記事であるが,重大な内容を含んでいる。

 まず,この問題の経緯について触れておこう。今年の517日,守山市と学校法人立
命館は,「学校移管に関わる覚書」の協定を締結した(「守山女子高等学校の移管にか
かる覚書について」 )。それは,土地・施設に扱いに限って言えば,次の3点であっ
た。(1)守山女子高校の立命館への移管にあたり,同高の「現行地および校舎を立命館
守山高校の学校用地として無償譲渡」する。(2)また「平安女学院大学守山キャンパス
が市の所有になった時には,同キャンパスの土地と建物を立命館守山高校の学校用地お
よび校舎として立命館に無償譲渡」する。(3)ただし,立命館は市から無償譲渡を受け
た守山女子高校の校地・校舎を立命館の負担で解体し,整地の上,その跡地を市に無償
譲渡する。
 守山市と立命館は,この「覚書」協定に従って,その後各種移管に向けた手続きを開
始した。しかし,守山女子高校の土地・建物については,当初,立命館への「無償譲渡
」とされていたが,同校は国からの補助を受けていたため,そのまま譲渡した場合,市
は補助金の残額を返還しなければならず,「無償貸付」へ修正を余儀なくされた(因み
に,こうした「覚書」協定の修正は,あまりにも事を性急に運ぼうとした結果生じたも
のであり,協定に至る両者の杜撰な手続きを象徴するものである)。そして,守山市は
今定例市議会で守山女子高廃止条例案と守山キャンパス無償譲渡案を提出し可決させた
。同時に,守山女子高校の土地・建物「貸与」の議案も可決させた。立命館もこれによ
り本格的に20064月「立命館守山高校」開校に向け,諸準備を進めることになる(「
守山女子高校の移管についての経過と今後の予定」)。

 守山市側の手続きはこれでほぼ終わったとされる。しかし,1点腑に落ちないことが
ある。それは今回決定された立命館への「無償貸付」の期間である。下記新聞報道によ
れは「来年4月から20年間」とされている。どうして20年間もの長きにわたって守山市
は無償で貸し付けるのだろうか。
 上記「守山女子高校の移管についての経過と今後の予定」ではこうなっている。すな
わち,1011月に平安女学院守山キャンパスの所有権を市から立命館に移転。立命館は
今年12月から来年いっぱいかけて,同キャンパスの跡地校舎の増改築工事を実施する。
また,現行守山女子高校もトイレなどの改修工事を行って,来年4月にはいまの高校の
土地と建物で「立命館守山高校」を開校させる。そして,2007年(平成19年)4月に同
高は,改修工事を終えた「守山キャンパス」に移転する。

 ここで,移転した20074月以降はどうなるのか。当然,立命館は,協定に従って,
旧校舎(現行守山女子高校)を解体し土地を「更地」にして「無償で借り受けていた土
地」を返さなければならないはずである。守山市にあって,20年間もの長い間「無償」
で「貸し付ける」根拠はない。せいぜい貸付は1年で事足りる。

 この問題は,13日の守山市議会において,急に浮上したようだ。市長は20年間「貸付
」る理由について「安定した教育」が必要との趣旨を繰り返したという。その意味する
ところは判然としないが,滋賀県私学審議会が,「1年で校舎を移転するような不安定
な教育は問題だ」と受けとめられる旨の意見あるいは感触を暗示したということがあっ
たとされる。つまり,20年もタダで貸す必要もないのに,近く開催される私学審議会を
問題なく通過させるために,このような「貸付」議案を提案したとのことである。した
がって,市議会では,議員から「何でもありか」,「無償貸付することについて期間を
わざわざ20年にしているのは、私学審議会を通しやすくするもので、事実と違う内容
を議決するのは、審議会をあざむくものであり容認できない」との意見が出た。この問
題に関し,答弁に立った市長の動揺ぶりは隠せなかったという。

 市議会で20年間「無償貸付」を提案し決定する以上,守山市と立命館は事前に協議し
ているはずである。立命館は確実に20074月に「立命館守山高校」を現行守山女子高
校の地から平女キャンパスに移転させるであろう。しかし,移転後のこの公的な土地は
,貸与の残り19年間,そのまま何も利用することなく,もぬけの空の状態のまま放置さ
れるのであろうか。それとも,20074月になったら,今回の議決などなかったかのよ
うに,「必要ないから返す」とでも言うのだろうか。あるいは,議決時点で何の事前計
画がないにも拘わらず,これから利用計画でも立てるというのだろうか。あるいはこう
した推論も成り立つ。すなわち,いまだ未定とはなっているが,「立命館守山中学校」
を守女の土地に建てるというシナリオである(このシナリオの場合,守山市は約32億円
の補助金提供に加え,公的資産の長期無償貸与も供与することになる)。いずれにして
も,立命館は守山市長と一緒になって,最初から強引に高校移管劇を作り上げたが,こ
の強引路線は実態のはっきりしない極めておかしな議決を促してでも最後まで徹底して
(川本八郎理事長流の言葉で言えば「断固として」)貫くもののようだ。文字通り「何
でもあり」である。これを市民はどう感じるのだろうか。

 因みに,立命館は現行守山キャンパスの施設を,高校用に改築工事を始める。この費
用は,同キャンパス施設を建設した時と同じぐらいかかるという。守山市長が市会議員
の前で説明したところによれば,この改修工事費用は「30億円以上である」という。
この30億円は,教職員へのボーナス1ヶ月カット提案のなか,立命館の2006年度予算
書の中に計上されるのであろうか。


4−2 あらためて募金(カンパ)のお礼
      大学人の会ニュース 242005/10/18

 「大学人の会」は,これまで無償で原告川戸佳代さんの弁護を引き受けて下さる吉原
稔弁護士に対して,お礼と共にわずかでも裁判費用のためにと思い,カンパを募ってき
ました。

 1018日現在,全国の大学関係者11名の方から,募金(カンパ)を頂きました。総額
202000円となっています。そのうち20万円を1010日の控訴審判決報告集会におい
て,直接吉原弁護士にお渡しすることができました。また,その後も全国から募金(カ
ンパ)を送って頂いています。

 カンパを送って頂いた方からは,「応援しています」「がんばって」など激励のメッ
セージも寄せられ,原告川戸佳代さんはこの声に励まされる同時に,全国からの心温ま
る募金の申し出にとても感激しています。また,弁護士の吉原先生も大変感激されてい
ました。

 この間,カンパを送って下さった大学関係者の皆様には,あらためて,この場を借り
まして心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 なお,この募金活動は今後とも継続して行きたいと思います。 よろしくお願い致し
ます。

郵便振替口座 00950−3−247779
  口座名義 細川孝
   一口2,000円、何口でも結構です(もちろんいくらからでも結構です)。
 

「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」事務局