横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー (1)学長候補者への公開質問状、(2)全大教の研究集会でTOEFL 問題の報告:「一体これからどうするんですか」(2005.10.28)

 

 

横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー 2005.10.28

もくじ
 学長候補者への公開質問状
 全大教の研究集会でTOEFL 問題の報告:「一体これからどうするんですか」

----------------------------------------------
学長候補者への公開質問状

学長選挙が始まっており、まもなく新しい学長が従来と異なる方式で選ばれることになります。組合としては、候補者となる人に対して公開質問状を送り、その回答を何らかの形で皆さんに示すことを計画しています。公開質問状の内容は下記の通りです。

--------------------------------------------------------------------------------------------
横浜市立大学学長候補者各位

横浜市立大学教員組合
執行委員長 上杉忍

 このたびは本学が「改革」をめぐり非常に大きな困難を抱える状況の中で、教学のトップを担う学長の候補者となっていただきありがとうございます。これに際し、研究教育に直接携わる教員の組合として、ともに少しでも大学をより良くしていこうという立場から、以下の点を質問させていただきます。


(1) 昨年来、多くの教員が今回の「改革」に不安を感じ、あるいはこれに憤慨して横浜市立大学を去りました。とりわけ具体的な運営細則がないままの教員評価と、その処遇への反映、全員任期制導入の方針は、現場教員に非常な不安と憤激を呼び起こし、教員の士気を著しく阻害しています。これ以上の教員流出は、横浜市立大学再建にとって致命的な打撃になるものと考えられます。

l        
あなたは、これ以上の教員流出を防ぐために何が必要だと考えますか。これについてのお考えをお聞かせください。

(2)    今回の「改革」によってトップダウンの決定システムが導入され、従来の全員参加の教授会が形骸化することになりました。その結果、現場教員の積極的意思が汲み取りにくくなったばかりか、日常的な教員同士の意思疎通にさえ困難が生じています。また部局長やコース長も任命制となり、現場教員の直接的支持を受けていないそれぞれの担当者は、精神的にも非常に多くの困難を抱えています。

l        
あなたは、学長として、現場の教員の積極的協力を得るためにどのような「改善」を行うお考えですか。

(3)    今回の「改革」によって教授会から人事権が剥奪され、人事における専門的教育研究者の意思が必ずしも直接反映されない人事委員会制度が導入されました。

l        
あなたは、学長として、人事において教育研究の直接的担い手の意思を正確に反映させるためにどのようなことが必要だとお考えですか。

(4)    劣化が著しい教員の研究条件の改善策としてあなたは、学長としてどのようなことが出来るとお考えでしょうか。とりわけ図書館の雑誌購入件数の著しい削減は、研究機関としての生き残りを危うくしています。

l        
特にこの問題についてのお考えをお聞かせください。

(5)    現場の反対を押し切って進められた英語教育「改革」は大きな困難が生じており真剣な対応が必要になっています。今年度の著しい受験生の減少は、今年度TOEFL500点進級制度の混乱などにより、さらに加速する恐れがあります。

l        
あなたは学長としてどのような対策をお考えですか。

 以上の点につきまして、ご多忙のところとは存じますが、11月上旬までにご回答をお寄せいただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

--------------------------------------------------------------------------------
「一体これからどうするんですか」
全国大学高専教職員組合第17回教職員研究集会でTOEFL 問題の報告

 去る930日から102日まで名古屋大学で、全大教研究集会が行われ参加してきました。国公立大学の法人化後の諸問題を多面的に解明するために多くの分科会が開かれましたが、私は、公立大学部会に参加し、横浜市立大学の現状、特に「TOEFL500点進級条件の下での英語教育」の現状について報告してきました。

公立大学分科会では、まず都立大学(首都大学東京)の現状が報告されました。私たちにとって重要だと思いますので、ここで、特に印象に残った点だけを箇条書きにして報告します。

(1)多くの場面で、大学運営方針に教員の協力が得られていない。教授会から権限を奪ったために、教授会があった時代よりいっそう非効率的になり、大学運営が混乱している。(2)任期制などの新制度に移行することを受け入れた教員の間でむしろ転出の意向が強い。(3)旧制度に残った教員の昇給・昇任なしの処置は、裁判闘争の対象として考慮され始めている。これに対して当局は、旧制度教員の賃金について、団交の対象にする気配を見せ始めている。(4)教員の協力なしに大学運営が機能しないことを当局は実感し始め、さまざまなことで、組合と協議に入りたいとのシグナルを送り始めている。(5)英語教育の「外注」は一部始めたが、TOEFL500点を進級要件とするような方針はない。(6)学部運営において、たとえば、コース長などは選挙制度に基づいて選出しているコースが多い。

私は、横浜市立大学の改革の基本的性格とその経過を簡単に報告した後、現場教員の反対を無視して強行された今回の「TOEFL500点進級条件を前提とした英語教育」の現状について報告しました。

都立大学の方も含め参加者からの反応は、「一体これからどうするんですか」という、驚きの声でした。ただただ飽きたといった反応とでも言ったら良いでしょうか。 

私は、現場を無視してこの方針を強行した当局こそが責任ある対応をすべきこと、組合としては、現場教員の責任追及にはさせない立場を貫くことを確認していると発言し、参加者から強い支持と励ましの言葉をいただきました。

そのほかの公立大学からも報告がありましたが、多くの参加者がやはり都立大学と横浜市立大学は特別だという印象を語っていました。都立大学や横浜市立大学での混乱状態を見て、自分の大学当局もうかつには動けないと考えているようだと語っている参加者がいたのが印象的でした。(文責 上杉 忍) 

--------------------------------------------------------------------------
                          
発行 横浜市立大学教員組合執行委員会

236-0027 横浜市金沢区瀬戸22番2号
Tel: 045-787-2320; Fax: 045-787-2320
E-mail: kumiai@yokohama-cu.ac.jp
組合HP http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm