「意見広告の会」ニュース306(2005.10.31) (1)平安女学院大、就学権訴訟 控訴審は棄却 学生は地方自治体振興の手段か(横浜市立大学大学院『思惟と聯流』第4号、2005年10月15日付)、(2)[投稿]「経大九条の会」(別称:憲法九条を護る大阪経済大学教職員の会):「憲法平和講座」の案内、(3)扶桑社教科書採択撤回を求める請願署(杉並の教育を考えるみんなの会)

 

 

「意見広告の会」ニュース306

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かかりません。ご氏名、ご所属等の掲載方法などもご指定下さい。


** 目次 **
1 平安女学院大、就学権訴訟 控訴審は棄却 学生は地方自治体振興の手段か
   横浜市立大学大学院『思惟と聯流』第4号(20051015日)より
2 [投稿]「経大九条の会」(別称:憲法九条を護る大阪経済大学教職員の会)が 
次の要領で、「憲法平和講座を開催しますので、ご案内します。
3 扶桑社教科書採択撤回を求める請願署
   杉並の教育を考えるみんなの会からのお願いです。

***
1 平安女学院大、就学権訴訟 控訴審は棄却 学生は地方自治体振興の手段か
   横浜市立大学大学院『思惟と聯流』第4号(20051015日)より

 九月二十八日、本紙(創刊号、第二号)でも取り上げた、平安女学院大びわ湖守山キャ
ンパス(守山市)の廃止を巡り、同大学四年の川戸佳代さんが守山キャンパスで学ぶこと
などを求めた訴訟の控訴審判決(大阪高裁)が下された。結果は控訴棄却であった。
 川戸さんが控訴した理由は、先の大津地裁(五月二十三日)の判決において、原告が守
山キャンパスという特定の《場》での就学権の確認と履行請求を、一般化・抽象化され
た在学契約の主張と見なされたためである。すなわち争点である「第三者(学生)のため
にする契約」に基づく就学権の有無の判断を回避されたのであった。
 川戸さんは控訴審判決を前に、「大学倒産時代が現実となった今日、キャンパスを廃
止したのは平安女学院大学ばかりではありません。しかしながら、ここで問題とすべき
は平安女学院のように学生を無視した対応が他の大学においては見られないということ
です」と主張してきた。大阪高裁の判決は大学としての社会的責務(USR)を厳しく追及
すべきであった。しかし判決結果は川戸さんが提起した争点に踏み込んだものではなか
った。
 「大阪高裁判決文」を読むと、「補助金の交付は一定の行政目的を達成するための手
段として行われるものであって、その際に結ばれる協定も、その目的を達成するための
手段にすぎず(略)個々の学生に対して、守山キャンパスで就学する具体的権利を
付与することまでを意図し、それを内容とする契約を締結する意思があったとは認めら
れない」という文章が目につく。
 いったい自治体振興(目的)のための教育ビジネス(手段)が破綻した責任は誰が負うの
か。市や大学は責任を回避し、そのツケを「個々の学生」にまわすというのである。川
戸さんは自分のHP上で今回の判決を「説得力を持たない手抜き判決」として、「学生
は地方自治体振興の手段に過ぎないと、また判示された事に対して怒りを覚えます」と
批判する。

「就学権」を諦めるな

 判決後、十月十日に報告会(「就学権確認訴訟を支援する大学人の会」主催)が守山キ
ャンパスの隣にある守山市民ホール中央公民館で行われた。川戸さんをはじめ、吉原稔
弁護士らの参加・報告があった。吉原弁護士からは判決は一審、二審とも争点について
全く理由を答えていない(理由不備)という説明があった。そして川戸さんは、これから
最高裁への上告に向けて引き続き活動を展開することを表明した。
 また今年退学した一年生の母親の参加者から次の報告があった。入学した四月にいき
なり高槻キャンパス移転の説明を受けて、その後の学校側の姿勢に失望して、九月付け
で退学をした。入学金その他の金銭的損失だけでなく、娘さんは精神的にも大きなダメ
ージを受けた。とりわけ子どもの人生にとって大事な時期である一年間の損失について
強い批判をした。その上で今回の川戸さんの上告によって、全国の大学人が、この問題
に対して意識がのびることを期待した。
 そこであらためて確認できたことは、川戸さんの主張する「就学権」とは自治体の補
助金によって創設された私大の学舎で学ぶ学生の特権のようなものである。
 今回の大阪高裁の判決は今後の日本の大学運営に影響を与える。いま、様々な大学で
生き残りをかけて統廃合や大学改革が行われる中、無責任な大学運営の経営的破綻の追
及はもとより、無思慮な大学改革による学問的破綻の責務も厳しく問う必要を強く再認
識させられるものである。
 川戸さんの主張する「就学権」という新しい概念の可能性を可能性で終わらせてはな
らい。


2 [投稿]「経大九条の会」(別称:憲法九条を護る大阪経済大学教職員の会)が次
の要領で、「憲法平和講座を開催しますので、ご案内します。

主催:経大九条の会  憲法平和講座  
参加無料 どなたでもご参加ください。
時間:午後6時〜7時30
場所:大阪経済大学B22教室 (阪急京都線、上新庄下車、市バス井高野行きに乗
車、約5分、経大前下車)      
第1回 11月7日()
 「私と憲法」……………………………鈴木 亨さん(元学長)
  戦前から大阪経済大学に自由の伝統があった。今それを振り返り、主権在民と憲法
9条を考える。
第2回 1115()
 「改憲問題と憲法25条」………………藤澤宏樹さん(経営学部)
  平和を実現するためには人権保障の徹底が不可欠である。近年の改憲論議にはこの
「人権保障の徹底」とい点が抜け落ちているように思えてならない。講座では、憲法の
人権規定を検討し、人権と平和との関係について考える。
第3回 1124()
 「民主憲法の源流・自由民権運動」大槻 弘さん(名誉教授)
  戦後の民主憲法は明治民権期の私擬憲法のなかで胎動していた。
第4回 1130()
 「九条問題と新自由主義」……………土居充夫さん(人間科学部)
  新自由主義が個人の心を不安にし、それが治安維持への要請につながる過程を分析
してみたい。
第5回 12月9日()
 「二つのアメリカ平和と戦争」………山本晴義さん(元学長)
  戦後日本国憲法にあらわれたアメリカ・リベラリズム「ニューディール」と、日本
国憲法改正への道を探る。
「経大九条の会」が発表したアピールその他活動記録等についてはホームページ 
www.wombat.zac.ne.jp/kd9jou/
をご覧ください。
                 投稿者 松村幸一(大阪経済大学名誉教授)


3 択撤回を求める請願署
   杉並の教育を考えるみんなの会からのお願いです。

「みんなの会」では採択撤回を求める請願署名をはじめます。
杉並区の教育委員会規則では、請願は「教育委員1名の推薦が必要」となっていますが
、これは、憲法16条の規定及び、請願法に違反しています。
私たちは、あえて、憲法及び、請願法に基づく署名をすることとしました。
また、署名用紙に「賛同者」としてお名前を載せてもかまわないという方もぜひ当メー
ルアドレスまでご一報ください。

杉並区以外の方もぜひ、ご協力ください。
署名用紙は、「みんなの会」HPから印刷できます。(送り先もそちらに出ています)
http://suginaminnanokai.web.infoseek.co.jp/index.link/shomei/shomei.htm
資料編とあわせてご利用ください。
http://suginaminnanokai.web.infoseek.co.jp/index.link/shomei/shiryohen.htm

【以下、文面をご紹介します。署名は直筆署名となっていますので、郵送にてお願いし
ます】

 
                           20051023
杉並区教育委員会
教育委員長 丸田頼一様
                    杉並の教育を考えるみんなの会
                    連絡先    東本 久子 (住所は削除)
                       
請 願 書
 
杉並区教育委員会は2005812日、全国で0.4%以下の採択率となった扶桑社版歴史教
科書(「つくる会」著)を採択しました。
私たちは、この扶桑社版歴史教科書の採択は不当なものと考え、次のことを請願します


請願項目
 
1
.扶桑社版歴史教科書(「つくる会」著)の採択を撤回し、再審議をしてください。
2
.歴史教科書の採択のみ、教員の意見を反映させなかった理由を明らかにしてくださ
い。
3
.住民参加の「教科書採択のあり方」を話し合う場を設定してください。

請願理由
1
杉並区教育委員会は、他教科については教員の評価の高い教科書を採択したにもか
かわらず、歴史教科書だけ、教員の評価の最も低い教科書を採択しました。さらに、教
科書見本展示会で出された住民意見も無視しました。
2
杉並区教育委員会は、一部の教員に調査報告書(学校用)を書き換えさせました。
3
「つくる会」は、採択審議中の委員の発言に対し「公開質問状」と称して、委員の
自由な発言を封殺するような文書を送り、審議期間内の回答を迫りました。また、扶桑
社版歴史教科書代表執筆者である藤岡信勝氏(「つくる会」副会長)が自ら傍聴席に座
り、教育委員に圧力をかけました。杉並区 教育委員会が、このような「つくる会」の
行為を黙認し、さらにその教科書を採択したことは教育委員会規則や教科書採択に関す
る規則に照らしても不当であり、この採択は認められません。   

集約日 第一次:20051230日 第二次:2006228
署名の集約先  渡辺 容子 (住所は直接署名用紙でご確認ください)

賛同者:池田香代子(翻訳家)石崎暾子(住基ネット杉並の会代表)斎藤貴男(ジャー
ナリスト)俵義文(子どもと教科書ネット21)広河隆一(フォトジャーナリスト)山田
朗(明治大学教授)梁 東準(民団杉並支部代表)
 現在こちらにお名前を載せてくださるかたも募集中です。

====================
請願書〈資料編〉

現在の教科書採択制度

5
人の教育委員が教育委員会で採択します。採択にあたっては「教科書に関する専門的
な調査を行い、その成果を生かすこと」(杉並区 立学校教科用図書の採択に関する規
則第二条第二項)となっています。

「専門的な調査を行う」ために学校長や保護者代表が参加する「教科書調査委員会」が
つくられています。ここでは住民のアンケート(教科用図書展示会)や教員の報告書(
学校用)をもとに「調査委員会報告書」を作成し、教育委員会に提出します。その報告
をもとに、教育委員は調査委員会のメンバーから聞き取り(ヒアリング)を行います。

1
.書き換え問題

調査委員会は713日に教育委員会に報告書を提出し、721日にヒアリングも終えまし
た。(調査委員会の役割終了)ところが教育委員会指導室は、調査委員会から委託を受
けたとして、採択日も間近の726日になって、教員の報告書(学校用)の扶桑社版歴
史教科書について書いたものの一部を書き換えさせました。
これは扶桑社版歴史教科書が採択されることを前提に、採択後の情報公開で、扶桑社を
低く評価している報告書が出されてはまずいと判断したとしか考えられません。

2
.扶桑社版歴史教科書に対する調査委員会報告書は以下のものでした。

 総合所見:日本の歴史を中心に、伝統性を重視した内容となっている。コラムが多く
、歴史への関心を人物から導き出そうとしている。
 一揆や市民革命など、社会を動かそうとした大衆のエネルギーに関する記述が弱い。
 物事に対して一面的な記述が多いので、多面的なものの見方を育てることにつながら
ない。
 この所見は歴史教科書8社の中で、最も評価の低いものでした。

3.調査報告書(学校用)の一部

*大東亜戦争という表記も気になる。自国を理解するに当たって、一方的な視点に立っ
た表現が目立ち、使用するにふさわしくない。

*戦争の正当性のみを示す恐れがある資料の掲載が多い。世界の中の日本、アジアの一
員としての日本の将来や世界平和を考えるという姿勢を育成しにくい。

*全体的に一面的な見方、断定的な評価、感情的な表現が多く、中学生の教科書として
ふさわしくない。国際的にも通用しない。

4.教科用図書展示会(6月7日〜30日)における区民アンケートの数は次の通りで
す。
     
扶桑社反対(総数512人) 歴史  271人/ 公民241
   扶桑社支持(総数218人)  歴史151人/公民67

5.  扶桑社はルールに違反して、検定申請本(いわゆる「白表紙本」=会社名が分か
らないように表紙が白い)を教科書選定関係者に配布し、何度も文部科学省の厳重注意
を受けました。さらに、一番多くの検定意見がつき、いまだに間違いが発見されている
教科書で、本来は採択候補からはずされるべき教科書でした。

6.  「つくる会」は扶桑社と一体であり、請願理由3番のような「つくる会」の行為
は「官庁に製品(教科書)を売る」という観点から見ると、明らかに営業行為であり、
独占禁止法違反です。 

 杉並の教育を考えるみんなの会
  sugimina@jcom.home.ne.jp
http://suginaminnanokai.web.infoseek.co.jp/