自民党改憲案を読,む 「保坂展人のどこどこ日記 」(2005.11.5)

 

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自民党改憲案を読,む  

政治 / 2005年11月05日

 

 このところ「共謀罪」に専心していたが、昨日の朝生に続いて今日も『TVタックル』の収録で、2日続きでテーマは憲法だ。先月28日に発表された自民党の改憲案をもとに議論する。

 9条1項はそのまま残し、9条2項に「自衛軍」を明記したという自民党憲法だが、この憲法の場合に、イラクのサマワで「憲法上の制約下」で活動を行っている自衛隊が、自衛軍となって米英軍とともに軍事行動を開始することが出来ると思う。

 解釈改憲で憲法空洞化だと言うが、今回の自民党改憲案は「解釈改憲」では未到達の軍事行動の領域へ道を開くものである。もし、2年前にこの改憲案が成立していれば、イラクで自衛軍人は何人死んでいることだろうか。また、あのファルージャの包囲・市街戦に参加しない理由もないだろう。

 そんな心配はない。やらないよ――と自民党の面々は語る。米英と軍事行動をともにしないのなら、現行憲法で十分ではないか。自衛隊イラク派遣には反対したし、早く帰ってくるべきだという意見だが、サマワの基地にたてこもって活動しているという姿は「憲法9条」の制約に他ならない。9条は死文化・空洞化しているから実態に合わせて改憲してというのであれば、自衛隊・軍はサマワを飛び出して軍として動くのだ。

 今回の自民党改憲案には、こっそり95条の「住民投票」が削除してあったり、国会にとおける議事定足数の条件が外されて議決時だけに緩和されていたり、予算承認を得ないで内閣が予算執行する権限が盛られていたり、細かい改正(改悪だな)が個々にある。もし、この改憲案が国民投票にかけられるとすると、自民党の狙い通り「一括選択方式」になだれ込むだろう。

 核心は9条2項の削除・改定だ。議論をそこに絞り込む方がわかりやすい。今回の自民党案は、「不戦条項」を削って「軍隊・戦争条項」にしたいということに尽きるのだから。