横浜市立大、学長選考にあたっての教員組合の提言(2005.11.14)

 

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2005年11月14日

横浜市立大、学長選考にあたっての教員組合の提言

横浜市立大教員組合
 ●学長選考にあたっての教員組合の提言(組合ウィークリー 2005.11.11)

学長選考にあたっての教員組合の提言

教員組合執行委員会
2005年11月10日

 11月15日6時半より1時間、推薦された二人の学長候補者の所信表明演説が行われることが伝えられています。そして、11月25日、経営審議会から学外委員を含む3名と教育研究審議会から学外委員を含む3名の計6名で構成された選考委員会が学長候補者を1名に絞り、理事長がこれを任命するとのことです。
 われわれは、今回の学長選考の方式について、すでに10月11日発行の『組合ウィークリー』において次のような見解を提示しています。

 私たちは、今回の学長選考・任命方式は、従来の学長選挙・任命方式のどこにどのような問題があり、何ゆえに今回のような方式を採用するのか、十分な議論もなく、一方的に上から押し付けられた選考・任命方式であることを確認しないわけには行きません。
 公的な教育と研究の場である大学を運営する上で、学長は、最も指導的役割を果たすべき存在です。その学長を選考する際に、教育・研究現場を直接担っている教員の声が充分反映されることが、大学組織の運営にとって必要不可欠であることは言うまでもありません。その意味で、今回の選考・任命方式は、一部の者に権限が集中し、これまでの選挙・任命方式と比べ明らかに後退しているといわざるをえません。
 私たちは、このような民主主義の後退に対して、警鐘を打ち鳴らすと同時に、より「民意」を反映する方式に改めることを当局に要求するものです。

 国立大学の独立行政法人化とは異なって、あえて学長・理事長を分離する体制をとった横浜市大では、学長は教学を代表し、経営側責任者である理事長と一定の緊張関係のもとに大学運営を行う、という建前であるはずです。にもかかわらず、現場の教員・職員の意向がまったく反映されない現在の選考方法は、名実ともに学長が教学を代表しているとは言いがたいものだと言わざるをえません。
 また、候補者の所信表明演説会は、誰を対象に行うのでしょうか。選考委員6名に向かってのものなのでしょうか。それとも、教員・職員に向けてのものなのでしょうか。

 私たち横浜市立大学教員組合は、今回の学長選考にあたって、組合として何が出来るか、何をすべきか、各方面の意見を聴取し検討を加えてきました。具体的候補者が決定され、所信表明演説と選考会議の日程が決定された段階で臨時執行委員会を開催して、以下のことを決定しました。

(1) 緊急に全教員を対象にした学長選考・任命に関するアンケート調査を執り行い、その結果を速やかに早急に公表する。(日程やそのフォーマットについては別掲)
(2) 次回以後の学長選考においては、全教員(および全固有職員)がその意向を投票という形で表現し、選考過程に反映させることを当局に要求する。

 「改革」の推進者たちは、事あるごとに「大学間競争」に打ち勝つ必要性を強調しています。私たちは「大学間競争」を否定するものではありません。しかし、現場の教員・職員の積極的協力なしには、決して「競争」に打ち勝つことは出来ません。一般企業においてすら近年では現場の声をいかに汲み取るかが問題にされています。いわんや大学は商品を生産し、利潤を追求する企業ではありません。多様な専門的能力を持った現場の担い手のそれぞれの自発性を引き出すことによってこそ、そのエネルギーが発揮され、「人間と文化を育て、社会に貢献する」競争力を持つことが出来るのです。いわゆる「トップダウン」方式が大学をいかに混乱状態に陥れるかは、まさにこの半年の横浜市立大学の経験が示すところです。教員・職員の自発的創意に依拠し、その士気を回復しなければ、これからの「競争」に打ち勝つことなど到底できるものではありません。
 学長選考において現場の教員・職員の意向が反映される方向を具体的に模索することは、横浜市立大学「再建」への第一歩だと、私たちは考えています。横浜市立大学が際限なき混乱に陥るまえに、民主的運営による再建への道を示さねばなりません。
 横浜市立大学教員組合は、当局に対して、現在の「トップダウン」方式を現場の教員・職員の積極的協力が得られるような大学らしい運営方式へ、一刻も早く改めるよう、要求するものです。 

大学改革日誌(永岑三千輝氏)−最新日誌より

11月11日 教員組合から学長選挙のあり方・候補に関するアンケートがあった。学内民主主義の点から言って、また教学(教育研究)の担い手としての学長の選考のあり方からして、今回のやり方が、根本的な点で問題であることは教員組合の主張のとおりである。選考のあり方を行政主導で決めれば、今回のあり方は必然的結果といえるのだろう。アンケートにどのような回答があるのか、興味深い。

『教員組合週報』によれば、15日夕刻からは、二人の候補の所信表明の会があるという。「立会演説会」というところか? しかし有権者は6名だけ。しかもその有権者はどのようにして選ばれたか?議長が行政当局の任命であること、その他の人々もその議長による任命者の中から選ばれたのではないか? とすれば、教学の独立性・自立性はどこにあるか?

「演説会」のあり方、意義に関しても教員組合の主張のとおり、いったいいかなる意味があるのか?

 歴史の一人の証人として、すくなくとも現場を見ておく必要はありそうである。

 

投稿者 管理者 : 20051114 00:26