「意見広告の会」ニュース314(2005.12.9) (1)新首都圏ネットワーク シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》、(2)写真無断掲載、教科書回収へ 扶桑社、約1万冊、(3)立川反戦ビラ入れ事件控訴審判決に関する法学者声明、(4)封印された書:第7回自己点検・評価報告書「だまらん」

 

 

「意見広告の会」ニュース314

*ニュースの配布申し込み、投稿は、
  qahoujin at magellan.c.u-tokyo.ac.jp まで、お願い致します。
   
迷惑メール防止のため@atに書きかえています。アドレスは@に直して下さい。
*「投稿」の場合は、その旨を当初から明確にしていただけると、確認のための時間が
かかりません。ご氏名、ご所属等の掲載方法などもご指定下さい。


** 目次 **
1 新首都圏ネットワーク シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》
    【国立大学入学料問題立法行政資料分析】資料編・分析編を掲載
2 写真無断掲載、教科書回収へ 扶桑社、約1万冊
    朝日新聞 12/6 朝刊
3 立川反戦ビラ入れ事件控訴審判決に関する法学者声明
   *12月9日の判決にご注目下さい。
4 封印された書:第7回自己点検・評価報告書
   「だまらん」 [2005/11/30] 

***
1 新首都圏ネットワーク シリーズ《国立大学法人制度:1年半後の現状》
    【国立大学入学料問題立法行政資料分析】資料編・分析編を掲載
*長文ですので、直接HPをご覧下さい。

首都圏ネット事務局です。

 現在、国立大学法人による昨年度剰余金の今年度繰り入れ申請に対して、財務省がい
まだ承認を与えていないという情報があります。これについては、申請承認の取引材料
の一つとして、入学料の値上げを文科省に迫っているとの観測も流れています。
 こうした現状を考慮すれば、引き続き、入学料問題は喫緊の課題であると考えます。
以下に国立大学入学料問題に関する立法および行政資料を提示し、簡潔な分析を付け加
えた、評論員による分析を掲載いたします。詳細は、
http://www.shutoken-net.jp
をご覧下さい。


2 写真無断掲載、教科書回収へ 扶桑社、約1万冊
     朝日新聞 12/6 朝刊
 扶桑社は5日、中学用公民教科書でアイヌ民族の写真を無断で掲載したとして、書店
などに残っている市販本約1万冊を回収する考えを明らかにした。北海道旭川市でアイ
ヌ民族の関係団体との協議の場で回答した。
 「アイヌ民族と連帯し、扶桑社教科書を批判する会」は、これまでの協議で扶桑社に
対し、(1)謝罪(2)書店に残る本の回収(3)慰謝料の3点を要求していた。扶桑
社は、このほかに教育委員会に配布した見本約1万冊の回収も検討するとしている。謝
罪文を提出し、慰謝料も提示した。


3 立川反戦ビラ入れ事件控訴審判決に関する法学者声明

各位
 来る129日に、東京高裁で「立川反戦ビラ事件」控訴審の判決言い渡しがあります
。ご存知のとおり、二つの国家公務員法事件、葛飾マンションビラ弾圧事件、板橋高校
事件など、表現の自由とりわけビラ配布に関する弾圧事件が相次いでいます。公判がも
っとも進んでいる「立川反戦ビラ事件」の判決が、他の事件にも大きな影響を及ぼすと
考えられます。またこの事件の場合、「戦時下の言論弾圧」という側面もあり、みなさ
ま、注目されてきたことと思います。
 
このたび、「立川反戦ビラ事件」の判決を前に、この事件に、証人として出廷したり、
意見書を書いたり、集会で発言するといった形で、直接に関わった法学者9名で以下の
ような声明を発表させていただきます。
 この声明は、裁判所に郵送するほか、報道機関へ送付し、あるいはメールで広める等
の手段により発表します。
 
みなさまにおかれましては、知人に広める等のご協力をいただければ幸いです。
またジャーナリスのお知り合いがいる方は、ぜひ連絡をとっていただきたいと思います
。よろしくお願いします。

以下、「声明文」です。転送大歓迎です。
***
立川反戦ビラ入れ事件控訴審判決に関する法学者声明

 2004227日、市民団体「立川自衛隊監視テント村」のメンバー三人が、東京都立
川市内の防衛庁官舎の郵便受けに「イラク派兵反対!いっしょに考え、反対の声をあげ
よう」という内容のビラを投函したことを理由に、「住居侵入罪」の容疑で逮捕・勾留
され、同年319日に起訴されたことは、全国に衝撃を与えました。なぜ、ビラを配っ
ただけで逮捕され、75日間も自由を奪われなければならないのか、日本は本当に民主主
義国家なのか、という深刻な疑問の声が多く発せられました。また国際的人権擁護活動
で名高いアムネスティ・インターナショナルは、被疑者三名を、日本で初めての「良心
の囚人」と認定しました。
 
2004
1216日、東京地方裁判所は、三名の被告人に無罪を言渡しました。この判決は
、三人の行為が住居侵入罪の構成要件に当たると認定したところに問題を残しています
が、本件のビラの投函を「憲法211項の保障する政治的表現活動の一様態」と認め、
「民主主義の根幹を成す」のであり、商業的宣伝ビラと比して「優越的地位」があると
明言し、無罪を結論した点において、人権感覚にあふれた判決と高く評価できます。
 
東京地方裁判所の判決を受けて、全国の124名の法学者も連名で、この判決を支持し検
察に控訴を行わないことを求める声明を発表しました。しかし、東京地方検察庁は控訴
を断行したため、今日に至ってもなお三人は被告人の立場に置かれています。

本日、再び、本件被告人を支援してきた法学者で声明を発表するのは、本年129日に
下される本件の高裁判決が、今後の日本社会における政治的表現の自由の保障の行方を
左右する大きな意味を持つことに鑑みると、判決を目前に控え、表現の自由の重みと、
それに対する国家刑罰権の恣意的な発動が許されないことを、社会に対してアピールを
することは、わたしたちに課せられた社会的責務だと考えるからです。
 
民主主義社会には、自由な言論が不可欠です。言論の自由は単に言論を発する自由を意
味するのではなく、言論を受け取る自由を論理必然的に含んでいます。というのは、民
主主義社会は、市民が相互に信頼しあい、意見を交換しあう中で世論を形成していくと
いうプロセスを不可欠な要素としているからです。このような民主主義社会のあり方か
らすれば、自衛隊員とその家族に対して、ビラ配布という社会的に見て穏当な手段で自
己の政治的見解を伝えるという行為に憲法211項の保障が及ぶのは当然であり、表現
内容が、回復しがたい深刻な人権侵害をなすものでないかぎり、政府は、両者のコミュ
ニケーションを妨げてはなりません。

一審判決が認めるように、宿舎の居住者はそれぞれ多様な意見を持つことに鑑みても、
このようなビラ配布目的での共用部分への立ち入りが、居住者の住居権を侵害すること
にならないのは明らかです。
 
住民の住居権は、法によって守られるべき大切な権利ですが、本件で被告人が立ち入
った集合住宅の共用部分は、さまざまな人がさまざまな用事で立ち入る公共的な要素も
持つスペースです。したがって、共用部分のこのような性格を無視して、一律に共用部
分への立ち入りが住居権を侵害するということはできません。

ましてや、本件のように、穏当な方法で、政治的意見を伝えるという目的での立ち入り
までもが住居侵入罪に該当するとすることには、疑問を持たざるを得ません。

さらに、この逮捕・起訴は、「住居侵入罪」を適用し、本件ビラの内容は関係ないかの
ように見えますが、その本質は、自衛隊のイラクへの派遣に反対するという特定の内容
を抑圧するものであるという疑念をどうしても払拭できません。一審判決でも指摘され
ているように、もしビラをどうしても入れて欲しくないのであれば、直接当該団体にビ
ラを投函しないように要求するという手段がまず取られるべきでしょう。

そのような対応が十分にとられていないところで、しかも、全国で同種の行為が頻繁に
行われている状況で、いきなり国家刑罰権が発動されたのは、この逮捕・起訴が、特定
の意見を抑圧することにその目的があることを疑わざるをえないのです。
 
権力が、自己にとって都合が悪い表現活動を抑圧することは、残念ながら、世界各国で
しばしば起こることです。しかしそのような反対意見の封殺は、自由な市民の言論で運
営されている民主主義社会を崩壊させるのであり、そのような危険を防止するために憲
法をはじめとする法が存在するのです。本件は、特定内容の表現を特に狙い撃ちにした
としか考えられない逮捕・起訴の事案です。検察はそもそもこの事件を起訴するべきで
はなかったとわたしたちは考えます。
 
以上のような本件の特徴を考えるならば、東京高等裁判所の129日の判決は、今後の
日本社会の方向性を左右するほどの重要性をもっています。わたしたちは、日本国憲法
で保障された自由なコミュニケーションに基づく民主主義社会が今後も確保されなけれ
ばならないと考えています。わたしたちは、東京高等裁判所に対し、本件の重要性を踏
まえたうえで、自由と法の擁護者として責任のある判断を示すことを要望いたします。
 
また政治的表現の大切さを理解している多くの市民が、129日の判決に大いに注目し
、警察と検察の横暴を許さず、政治的表現の自由を守り、実践する行動をすることを切
に期待します。

安達光治(立命館大学法学部助教授・刑法)、石埼学(亜細亜大学法学部助教授・憲法
)、浦部法穂(名古屋大学法科大学院教授・憲法)、奥平康弘(東京大学名誉教授・憲
法)、小田中聰樹(専修大学法学部教授・刑事訴訟法)、笹沼弘志(静岡大学教育学部
助教授・憲法)、成澤孝人(三重短期大学助教授・憲法)、松宮孝明(立命館大学大学
院法務研究科教授・刑法)、山内敏弘(龍谷大学法科大学院教授・憲法)
 
 2005126
 連絡先 石埼学 
 E-mail ma1968@msj.biglobe.ne.jp


4 封印された書:第7回自己点検・評価報告書
   「だまらん」 [2005/11/30] 
*長文ですので、内容は以下をご覧下さい。
http://pocus.jp/11-2005/113005-concealed-doc.html#id2425953

1.
イントロダクション
2.
巻頭言 — 評価を大学の充実に活かすべし —
3.
「第7回自己点検・評価報告書」はなぜ封印されたか?
4
結論