教員免許に更新制 中教審中間報告/管理統制の強化が狙い livedoorニュース 「しんぶん赤旗」(2005.12.9)

 

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教員免許に更新制 中教審中間報告/管理統制の強化が狙い

 教員免許に期限をつけ、一定の条件を満たさなければ更新できない免許更新制は二〇〇〇年、小渕首相の下に発足した教育改革国民会議が打ち出したものです。

 現行制度でも、教員として本当にふさわしくない場合には免許の失効や取り上げがあります。にもかかわらず政府や財界が更新制の導入を目指すのは、免許はく奪の圧力で管理統制を強め、行政側が「不適格」と判断した教員を排除することが狙いです。

 国民会議の報告を受けて審議した中教審は、二〇〇二年の答申で「教員の専門性向上という目的を達するには必ずしも有効な方策とは考えられない」などの理由で導入を見送りました。

 しかし、わずか二年後の二〇〇四年に中山成彬文部科学大臣(当時)がふたたび導入を諮問。経団連も今年一月の教育提言で、「不適格教員」を排除するための更新制導入を要求しています。

■国が定める講習

 こうした中で進んだ今回の審議では当初、更新のさいに校長の報告に基づいて教育委員会が教員の「適格性」を判定するという案も出ていました。しかし、少なくない委員から「画一的にすればするほど教師の元気を奪いかねない」などの反対・慎重論が出ました。

 この結果当初の案は消え、中間報告は「まずい教員を排除するという考えではない」(中教審初等中等教育分科会での梶田叡一・教員養成部会長の説明)とされています。具体的には講習を受け、修了認定されれば免許が更新される仕組みになりました。

 しかし、更新講習の基本的内容は国が定め、修了認定の基準は不明確です。運用次第で国や教育委員会の意に沿わない教師への圧力や排除になる危険があります。

■助け合いが必要

 教員が力量を向上させるには、何よりも子ども・保護者と深く接しながら、同僚と子どもの見方、実践のあり方についてじっくり話し合うことです。そして、現場の実態にそくした問題意識で、自主的な研修を積み重ねていくことが必要です。

 ところが多忙化と管理強化で超過勤務が平均月八十時間以上、子どもとじっくり話す時間もなく、授業準備もままならないのが今の教員の実態です。「校長のリーダーシップ」の名で上意下達の学校運営が広がり、相談したり助け合ったりすることも難しくなっています。免許を取り上げるという脅しではなく、教師が自信と意欲を持って、時々の教育課題に向き合える条件をつくることこそが求められています。(高間史人)

2005年12月09日11時37分