「意見広告の会」ニュース319(2006.1.3) (1)「早稲田大学ビラ撒き逮捕事件」についての「公開質問状」、(2)「早稲田大学ビラ撒き逮捕事件」署名サイト 抗議文、(3)「だまらん」より12月31日

 

 

「意見広告の会」ニュース319

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** 目次 **
1 投稿 
    早稲田大学教員7名
2 早稲田大学ビラ撒き逮捕事件署名サイト
    http://wasedadetaiho.web.fc2.com/i/top.htm
3 「だまらん」より12月31日
        http://pocus.jp/12-2005/122805-brandname-crashed.html#reply-to-the-com
ment

***
1 投稿 
    早稲田大学教員7名

意見広告の会様

私たち早稲田大学教員7名は文学部構内における逮捕事件について下記の公開質問状を
早稲田大学文学学術院長宛に提出しました。サイトに掲載していただけると幸いです。

記:

公開質問状

早稲田大学文学学術院長 土田健次郎 殿

12
20日に早稲田大学文学部構内で、地下部室撤去と学生会館移転問題に関わるビラを
まこうとした男性が逮捕されました。朝日新聞(1229日朝刊)には、「学校側がキャ
ンパスの外に出るように求めたが従わなかったため身柄確保(私人による逮捕)をし、
警察に通報して引き渡した」と書かれています。しかし私たちには疑問が残ります。
第一に、自らの意見を主張するためのビラをまいているだけで、どうして「キャ
ンパスの外に出るように求め」られねばならないのでしょうか。逮捕の容疑となった「
建造物侵入」が、大学という公共空間において今回成り立つと判断された根拠は何だっ
たのでしょうか。第二に、どのような事情と経緯で警察官を構内に入れ、構内での逮捕
を容認したのでしょうか。またそのことを大学人としてどのように正当化するのでしょ
うか。今回の事件は、大学構内における言論弾圧とみなされかねないだけに、私たちは
早稲田大学全体にかかわる重大な問題と受け止めています。文学学術院長としてのご見
解をお聞かせ下さい。

2005
1231

早稲田大学政治経済学術院教授  岡山茂
  同  文学学術院助教授   藤本一勇
  同  法学学術院教授    谷昌親
  同  政治経済学術院教授  斎藤純一
  同  政治経済学術院教授  岩田駿一
  同  政治経済学術院教授  原章二
  同  商学学術院教授    猪股正廣


2 早稲田大学ビラ撒き逮捕事件署名サイト
    http://wasedadetaiho.web.fc2.com/i/top.htm
抗議文
 
 12月20日昼ごろ、早稲田大学文学部キャンパス内において、早大再編について考
え、反対する行動告知のビラをまいていた一人の人間が、突然7,8名の文学部教職員
に取り囲まれて、そのまま警備員詰所に軟禁され、その後、その教員らが呼び入れた牛
込警察署員によって「建造物不法侵入」の容疑で逮捕されてしまいました。
 この事件について、わたしたちはたんに一大学にとどまる問題ではなく、大学総体の
あり方、ひいては現在のこの社会のあり方総体にかかわる問題として、みずから深刻に
受け止めるべきであると考えます。この出来事は、「言論表現の自由」を最後まで守る
べき大学が、それをみずからあからさまに放棄したものであるがゆえに、わたしたちが
譲ることのできない一線を、この社会が否定しつつあることを示唆しているのではない
でしょうか。
 大学のキャンパス内でビラをまくという言論活動を行っていた人間が突然逮捕される
という、前代未聞のこの到底許しがたい処置に対して、わたしたちは抗議の声をあげる
とともに、早大当局の謝罪を求めるものです。

呼びかけ人

井土紀州(映画監督/脚本家)
木村建哉(成城大学文芸学部専任講師)
池田雄一(文芸評論家、早稲田大学非常勤講師)
絓
 秀実(近畿大学教員・元早稲田大学非常勤講師)
丸川哲史(評論家、明治大学教員)


3 「だまらん」より
     12月31日
A
氏からのコメントに答える[2005/12/31] 読者の方(仮にA氏と呼ぶ)からのコメント
を頂いた.その中で,今回の文書に関係する部分に対して,以下に引用し,コメントに
対しての私見を述べる(一部,引用符を入れ,個人情報に関する部分を削除した).

<この「教員有志」のなかのおそらく少なからぬ人たちが... その協力態勢を率先して
推進してきた指導者であった...
という記述についてですが、私は先日...都立大に行ったとき、組合事務室に立ち寄り
、当該文書を中心になって書かれた方々が誰かということをお聞きしましたが、断じて
その協力態勢を率先して推進してきた指導者などではありませんでした。そもそも組合
関係者で、
その協力態勢を率先して推進してきた指導者がいるというのはいったい誰のことを念頭
において言っているのかさえ私には見当もつきません。

一非就任者の意見として引用した部分に,

「この『教員有志』のなかのおそらく少なからぬ人たちが新大学開学準備に協力し、さ
らにはその協力態勢を率先して推進してきた指導者であった」

という部分があるが,この部分に関しては,事実関係を私が個人的に調査したわけでは
ない.従って,事実関係は分からない.この引用の中で,本論で中心的に扱うのは,引
用の前半部分「ここに挙げられている諸々の問題点は、すでにあの8月1日以降、常に
論じられ批判され予見されてきたものだ」という部分にある.A氏の指摘した点に関し
て,事実関係を確認せずに引用した責任は私にある.この部分で不快に思われた読者が
いれば,陳謝したい.ただし,引用を前半部分だけで止めることは,意図的に一部の賛
同意見だけを持ち出した印象を与えるので,引用はそのままにしてある.
ただ,ここでも内容的には非常にデリケートな問題を含んでいる.「新大学開学準備に
協力する」とは,いったいどのような行動なのか?「その協力態勢を率先して推進する
」とは,いったいどのような行動なのか?元の発言者に問うてみなければならないだろ
う.
議論の分かれるところは,たとえば:

・「首都大学東京」の成立に関わる仕事を, 200541日以前に少しでもやったら,
「協力した」と見なすのか?
・そのような仕事の中で「指導的な地位」にいた人は,「率先して推進した」といえな
いのか?

というような部分である.私の推測では,非就任者の中にも,「完璧主義者」と「寛容
派」がいる.私は,どちらかといえば,「完璧主義者」に近い立場をとっている.「首
都大学東京」成立前の一年間,一切「首都大学東京」に関した仕事をしなかったか,と
問われれば,どこかで私も何かしらやってしまったのではないかと危惧する.その意味
では,寛容にならざるをえない.ただ,一点だけは,非就任者にとって,寛容になれな
いものがある.それは,「就任承諾書を提出したこと」だ.就任承諾書を皆で出さなか
ったら,最後の最後で「首都大学東京」の開学を阻止できたのに,という無念の思いが
こもっているからだ.
ただ,今の時点で,過去の責任問題をつっつき回しても意味はない.大事なのは,今後
,「首都大学東京」をどうしていったらよいか,という点につきる.今回の考察にある
ように,法人の定款,大学の学則,中期目標と中期計画すべてに大胆な修正を加えるし
か大学を良くする道はない,というのが私の基本的姿勢である.