守山キャンパス無償譲渡問題、立命館・平安女学院・守山市(市長)の3者の動きと共同不当行為(2006.1.20)

 

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2006年01月20日

守山キャンパス無償譲渡問題、立命館・平安女学院・守山市(市長)の3者の動きと共同不当行為

 下記の文書は,立命館への守山キャンパス無償譲渡差止め・平安女学院に補助金返還を求める住民監査請求の際,「守山市職員措置請求書」ともにその補足説明資料として守山市監査委員会に提出された文書である。

資料(1) 平安女学院、立命館、守山市(市長)−その3者の動きと背景

1)
 平安女学院(以下、平女)は、平女守山キャンパス廃止(高槻キャンパスへの移転統合)に伴い守山市からの補助金25.6億円と県からの補助金8億円、合計33.6億円を返還しなければなりません。また守山キャンパス開設に自己資金21億円、それがそのまま借金となっている。補助金の返還請求に追い詰められた事態にありました。

 こうした平女の経営的な危機に対して、立命館は財政的な支援また経営(運営)上の助言を行なってきています(立命館川本理事長が、守山市会議員を前に言明されています)。つまり、両者は財政的な支援で結びついた関係にあります。
 立命館は、少子化時代の大学経営対策として、小学から高校までの児童生徒の「囲い込み」戦略をこの10年前から進め、いくつかの高校を手に入れて立命館高校とし、さらには中学部を付設、今日では小学校開設に及んでいます。立命館高校生の20%を立命館翼下の大学に進学させることを目標にしてきました(資料6)。全県1学区制を導入する滋賀県は、(偶然の一致なのかどうか)進出の機会(付属高校の増設)を待つ立命館に「踏み込む場と時」を提供したことになります。

 立命館と平女の財政や運営の支援の関係から見れば、そして平女が守山キャンバス廃止に関わって県・市からの補助金返還に苦慮していることを思えば、守山キャンパスを立命館が安く買えば済むことです。そこに付属高校を開設し、そのための許可申請手続きをすれば済むことです。

 しかし、平女の補助金返還(33.6億円)はそのまま残りますし、投入した自己資金21億円は回収できません。この危機に立命館が協力するとなれば、守山キャンパスをそれなりに高く買うことが必要になります(50億円を超える土地と物件。支援における矛盾)。

2)
 守山市立守山女子高校(以下、守女)開設には前史があります。この守山の地域は江戸時代後期にすでに少なくとも38を数える寺子屋があって、当時としては決して少なくない商人や農民の子女が教育をうけていた−教育を育む土壌を育てていました。明治5年の学制発布前からすでに学校開設の準備を始め、明治6〜10年にかけてほぼ守山の全地域に学校を開設、地域の有志が私財を持ちだして学校づくりに手を尽くしたと記録されています(守山市誌)。こうした歴史と教育を支え寄与してきた篤志家の活動が守山の「教育新興の気風」を形成し、昭和6年「マルサ裁縫教室」開設へとつながっていき、戦中を乗り越え、学校名も変えながら戦後へと継続され、昭和21年「守山高等裁縫女学校」となり、26年守山町に移管、34年、全国初めての町立の女子高校、「守山町立守山女子高等学校」が誕生しました。その後45年市制の施行とともに「守山市立守山女子高等学校」となり今日に至る(資料7の2)。その後の活動については、守山市誌や守女関係の市の刊行物を参照されたい(市の財産を考える会配布ビラにも概略掲載)。

 平成11年度、市の審議会を経て、時代を先取りした新たな改革に向けて、公立女子高校としての魅力と学力、先験的な方針を打ち出しています(資料7の1)。そのめざすものは「21世紀の世界と日本を見据えて、国際的な視野と感覚を持つ女性を育て、個性豊かな進学と学力、外(海外)の世界とコミュニケートできる語学力と国際理解」ということになると思いますが、新たな学科改組や個性に合わせた学力、英語力、国内外で活躍する人材の育成をしっかりと図るなど、これまでの教育実践をさらに飛躍させていく内容になっています。とくに、守山市と一体になった海外留学や語学研修などの事業は、全国的にも例を見ない優れた教育実践であり、国際的な街づくりをめざす守山市の「意志」の反映でもありました。財政的には負担であっても、単独で小さな自治体が公立の女子高をもつことの意義と矜持を県や国に強く訴え、今日まで独自の歴史を積み上げてきたのです。だからこそ、この4月、守山市長が突然「守女危機、財政的にも生徒数の確保のうえでも存続は困難」と表明するまで、「財政的に負担であっても、守女を維持、発展させる」というのが守山市の態度でありました(昨年度までの市議会での市当局の答弁でも明らかです)。守山市の態度が、今年度(4月)突然180度変わったということです。

3)
 2004年10月、平女学生が平女守山キャンパスでの学習の権利を求めて大津地裁に提訴しました(被告は平女、「平女大学びわ湖守山キャンパス就学権確認訴訟」)。卒業するまで平女守山キャンパスで学ぶ権利の確認を求める訴えであります。一審二審とも敗訴となりましたが現在最高裁に上告しており係争中です(確定していませんし、本監査請求の案件発生時点においては、大津地裁の判決もまだでていない)。この裁判に対しては多くの大学関係者が関心を持ち、提訴した学生を支援する輪も広がっています(資料8)。つまり、平女守山キャンパスに学ぶ学生は、学生の就学権の保障を求め、守山キャンパスの存続を求めており、平女と学生との間では「高槻キャンパスへの移転統合」について合意が成立していないということになります。従って係争中の守山キャンパスを一方的に処分することについては、就学権(学習=教育の権利)を侵害する行為といえます。(2月市議会では、「学生の思いが通じることになれば」と好意的な見方だったのに)この平女の処分を守山市が受け入れるということは、この就学権侵害への加担であり、平女と守山市による共同不当(不正)行為といえます。

4)
 昨年後半から、平女と立命館が滋賀県議会の有力議員と相談を繰り返し、やがて守山市長の関与が始まっています(報知新聞一資料11))。そこでどんな相談があったのかは別にしても、事態は今年2005年に入って急激に動き、3月31日の京都新聞の記事となって、市民に明らかになりました。その後の市議会での決議、立命館と守山市の覚え書き、平女が守山キャンパスを寄付、九月市議会での関係案件の可決となって今日に至っております。

 改めて本監査請求に関わる事柄を整理します。@立命館に守山キャンパスを無償譲渡するのであれば、平女は守山キャンパスを守山市に寄付する A 守女と守山キャンパスを無償譲渡し、立命館守山高校を開設する(1年後守山キャンパスに立命館守山高は移転)ことで、守山市と立命館が合意(守女の土地と建物は無償貸与に変更)B平女への県と市からの補助金の返還を免除し、県からの補助金を守山市が肩代わりして支払う C守山市は、守女の財政的な負担がなくなり、立命館が進出してくることによって教育的社会的な効果が期待できる(覚え書き、「街づくり」協定) D一連の進展を待って平女は守山キャンパスを守山市に寄付(8月24日) 以上から明らかなことは、始めに平女守山キャンパスを立命館が取得するという平女と立命館の事実上の合意があったことです。9月市議会での関係案件の可決の結果、守山市が介在したことによって、(a)平女は補助金を免除され、そのうえ立命館から平安に10億円の支援が行なわれたこと、(b)立命館はお金を出すこともなく、守女と50億円を注ぎ込んだ守山キャンパスを手にいれて、立命館守山高校を開設(中学部も付設)したということ(C)守山市は守女を無償で立命館に譲渡し、平女からの補助金を免除のうえ、県の補助金を肩代わりして支払う−という「もの」とお金の流れ、収支がはっきりしました。契約を反古にし守山キャンパスを閉鎖し、学生の就学権をも踏み躙った平女の財政危機を救い、立命館は50億円を超える財産を無償で手に入れて立命館守山高校を開設(中学部も付設)し、滋賀県への進出を果たしましたが、守山市が手に入れたのは「覚え書き」 と「街づくり協定」だけで、30億円を超える市の財産は消えてなくなったということになります。そのうえに公立高枚を廃止に追い込み守女の生徒を泣かせ平女学生の就学権侵害に加担したという「教育権への侵害」の事実が残りました。

 以上から明らかなことは、平女と立命館がそれぞれの思惑の中で財政的な危機を回避し、他方で資金をかけないで滋賀県に付属高校を開設するという仕掛けづくりが、両者の中で作られていたとしか想定できないということです(資料3)。これまでも支援の関係にあり、今回少なくとも10億円の財政支援が、9月市議会での案件可決を待って立命館から平女に対して行なわれるということからも、また両者が滋賀県議会の有力者と相談していることからも、「仕掛け」の疑惑は深まります。この仕掛けと守山市長の介在及び3者のその後の行為は、守山市の財産を一方的に損害させる「共同不正(違法)行為」の疑いを持ちます。その不正行為を「公共の福祉」のようにみせかけるためのデコレーションとして守女が組み込まれていったのではないか。守女について守山市が態度急変させていった理由ではないか。監査委員の監査により、事実関係が明らかになることを期待します。

 

資料(3) 立命館当局の動きと3者による共同不法行為

 立命館大学教職員組合2005年8月3日発行のNO.86組合ニュース(資料4)に、立命館から平安女学院に10億円の積極的な支援を行なうとしてその支援の内容が掲載され、その支援を両者間で約束した「5月16日常務理事会文書」の存在まで明らかにした(「守山市立守山女子高等学校の立命館への移管と、これと関わっての平安女学院との提携について」)。5月16日という日はどういう日なのか。5月12日の市議会での決議を受けて、「守女を立命館に移管する」という守山市と立命館の調印日の前日です。「市の財産を考える会」も、調印直後すでにこの「密約」ともいえる約束が立命館と平女の間で交わされたという情報はつかんでいましたが、この組合ニュースによって明確になりました。このことによって、「守女、平女守山キャンパス(平女が守山市に寄付することを受けて)を立命館に無償譲渡、平女の補助金返達を免除する」ことの不当(不正)とその背景と意図、そして平女と立命館との関係が明らかになったといえます。

 立命館大学教職員組合は、このことが市民の知るところになれば、平女への守山市民の批判が立命館に飛び火して、社会的な批判を浴びるとまで指摘しています(きわめて正当な批判です)。またこの組合ニュースによって、そうした事態を招きかねないとの立命館当局のあわてふためいた「緊急の対応」の情報から、立命館、平女、守山市長3者の仕組んだ「仕組み」は崩壊する危機的状況に陥っていたことがうかがえます。さらには、少子化の時代での中学・高校の新設は困難であり、設置者の変更か移管しか付属高校・中学の拡大はできないこと、守女の移管と平女の再建援助が一連のものであることも明らかになってきています。

 まさに、「平女と立命館が得をし、守山市だけが一方的に損をする」(資料2)仕掛けに守山市(守山市長)が加担したということです。その背景や事由・意図を明確にしなければなりません。また、守山市長は、この仕掛けの中に守女を「政治生命をかけて」組み込んで、生徒、教師と親を混乱に陥れた責任は重い。これら一連のことは、犯罪であり、市の財産の横領(共同不法行為)に当たるのではないか、告発も視野に入れて監査にあたる必要性を指摘します。

 立命館常任理事会(9月4日)の文書(資料5)によれば、守女は「引き続き市立高校として運営をするという方針は、………断念せざるをえない」し、県立への移管も困難、廃校も同窓会その他社会的批判も受けることなどを考えると、結局有力な市立学校に引き受けてもらう以外にないから、「立命館に引き継いでもらうことがもっとも現実的で有効な方策である」と、守山市(市長と市議会)が判断して、立命館に協力依頼をしたことになっています。しかし立命館が引き受けるためには1200名規模の学校でなければ経営は困難で新たなキャンパスを用意することが必要であり、守山市に責任を以て対応することを求めた結果、「守山市は、かねてからの懸案事項であった平女守山キャンパス問題の解決を立命館に依頼し、そのことによって、立命館守山高校の新たなキャンパスを確保する方策を追求した」ということになっています。

 さて、今年3月未の新聞記事の以前に、守山市長と市議会が、守女の今後について「市立高校として運営するという方針」を断念して有力な私学に引き継いでもらう「判断」が本当になされたのか、そのための議会での審議があったのか、市長と市議会との協議と合意がなされたのかどうか、議会議事録の公開を含めて明らかにしてください。もし本当のことであれば、市議会は完全に市民に嘘をついたことになります。「市会議員も、新聞で初めて知った」−これが市民の把握している「真実」です。守山市長が、立命館に平女問題の解決を依頼したことが本当であれば、すでに指摘した仕組みは平女と立命館が練りあげてつくったことになり、そこに「平女に立命館からの10億円の支援」を組み込んでいたことを含めて、守山市長は、守山市だけが一方的に損害を被るこの仕組み、守山市に多大の被害を与えた平女までも救済するという仕組みに同意した上で、立命館が平女に10億円の支援をするということを市民に隠し続けてきたということになります。しかも、立命館常務理事会の文書から推測すれば、当然市議会もこうした経緯を含めて新聞で明らかになる前に、了解していたということになりますが、事実を明らかにしていただきたいと思います(資料9)。

 守山市の財産は、平女の救済(再建)と立命館の事業拡大というふたつの私学の経営と事業のために使われた、それ以上でもそれ以下でもない!そのうえに、この仕組みを「市民の公共の福祉」に見せ掛けるために守女が使われた一人身御供にされたということなのではないでしょうか。

 もうひとつ、守山市の公報誌では、守山キャンパスを立命館が使うのであれば、守山キャンパスを守山市に無償譲渡(寄付)するとの平女の申し出(立命館を経由して)を受けて、立命館との関わりが始まったようになっていますが(資料10)、経緯について立命館と守山市の問に相違があります。しかし、このふたつの文書をつなぐと、平女と立命館との話し合いの中で「立命館が使用するのであれば守山キャンパスを守山市に寄付する」という平女の「申し出」が、「立命館から平女へ10億円の支援」をふまえて作り上げられたということが、より確かなものになります。

 

投稿者 管理者 : 20060120 01:02