昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する! 横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2006.2.6)

 

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横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2006.2.5

昇任を餌に任期制を飲ませる力ずくの当局方針に抗議する!


 さる2月1日(水曜日)午後5時半より、教員組合と当局との団体交渉が行われ
ました。その場で当局から次のような重大な回答が行われましたので、われわれの
基本的立場を明確にするとともに、今後の対応をどうすべきか検討していただくた
めに緊急に組合員の皆さんにご報告いたします。

われわれの要求「教員の昇格人事に際し、任期制を受け入れる旨の新規雇用契約
を強制しないこと」に対し、当局は、次のように回答しました。

  (1)     1月30日の人事委員会で承認基準の内規を決定し、それに基づく昇格
    候補者の推薦を各学部長にお願いした。審査対象者にする際に任期制の
    同意を条件とすることはしない。
  (2)     しかし、任期制は改革の根幹をなすものであり、この原則は譲れない。
    任期制に同意しない教員の既得権は認めるが、業績評価によって昇格が
    認められても、任期制に同意するまでは昇任を発効させない。任期制を
    受け入れれば、業績審査は改めてせずにその時点で昇任を発効させる。 

 この回答は、われわれ教員組合に対する正面からの挑戦です。われわれは、任期
制や評価制度、年俸制は、「その内容が不明瞭で、きわめて危険な可能性を含んで
おり、現状のままでは到底受け容れられない」としてきたからです。「任期制への
同意を強制しない」と言っておきながら、「昇任させてもらいたければ任期制に同
意しろ」と言う「給料と地位」を餌に「任期制の理念への屈服」を求める当局のこ
の力ずくの方針が、どれほどわれわれ教員の誇りを傷つけるかを当局は知るべきで
す。このような当局の態度は、当局に対する教員の不信感を一層増幅させ、ただで
さえ、教員の大量流出、横浜市立大学への帰属意識と士気の低下、大学運営の混乱
という現状を一層、ひどいものにする可能性があります。当局はその責任を負わな
ければなりません。  
 この回答は、「経営責任者として合理的説明なしに従来の労働条件の不利益な変
更を行う」当局の方針の一方的通告にあたり、われわれは、労働組合として到底受
け入れることはできません。今後、組合は、当局にその義務である「誠実交渉」を
求め続ける方針です。
 教員組合の執行部としては、昇任手続きの進行に遅れることなく、顧問弁護士を
交え、独立法人化対策委員会のメンバーの方々などとご相談しながら具体的方針を
早急に提示するよう努力して行く所存です。

昇任対象になられた先生方へ
 特に、昇任対象になられた先生方は、近く極めて厳しい選択を迫られることにな
るものと思われますが、私たちは、組合員個々の対応を特定の方向で縛ることはあ
りません。このような状況の下で、それぞれの組合員の方にとって何がその身分を
守り、生活・研究・教育条件を向上させて行くのに最も良いのか、情報や見解を提
示し、皆さんからの質問に答えるよう努力したいと思います。そして組合として皆
さんの利益を守るために可能な限りのことを行って行きます。

ここでは、現在まで明らかになっている次のことを最低限お示ししておきます。
(1)任期制は、評価制度と結びついており、現在その評価制度の概要さえも提
  示されておらず、それが、どれほど客観的で、公正に機能するかは全く予断
  を許さない状態のままであること。(ことに「改革」の強引な推進によって、
  教員の間で、当局に対する疑心暗鬼が募っている状況の下で、「怨念を残さ
  ない意欲を高める評価、教育研究の活性化を図る評価」がどれほど可能か、
  きわめて疑問です。)
(2)任期制は、その期間の雇用を保証しているだけであり、たとえ業績が充分
  であっても、人件費の大幅削減を求められている状況の下では、「雇い止め」
  の可能性が充分ありうること。(「普通にやっていれば」などと言われて、安
  心していられる状況ではないのです。)
(3)万が一、不当な理由で「雇い止め」の通告を受けたとしても、任期制に同
  意する署名をしてしまうと、それが裁判では不利に作用することが、すでに
  他の裁判で実証されていること。

 現在の横浜市立大学における教員の地位と権利を守る闘いは、決して横浜市立大
学だけの闘いではありません。われわれは、全国の大学教員の不安定雇用を拡大さ
せる流れに抗し、日本の教育研究労働者のエネルギーの大いなる損失を食い止める
闘いの最前線にいることを肝に銘じる必要があります。われわれは、労働者として
の法に保障された権利に基づき、横浜市立大学人事当局の不当な攻撃に屈すること
なく正々堂々と闘っていきます。

(文責 教員組合委員長 上杉 忍)