天木直人メディアを創る 岩国住民投票に反対する読売の社説(2006.2.7)

 

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岩国住民投票に反対する読売の社説

 2月7日の読売新聞の社説「安全保障政策は対象にならない」を読んで、あらためて読売新聞の偏向とジャーナリズム精神の低さを感じた。
 「国の安全保障にかかわる政策は住民投票になじまない。混乱を招くだけだ・・・」という書き出しで始まるこの社説は、論理性も説得性も何もない。ただひたすらに「住民投票によって米空母移転が拒否されては困る」という政府の意向を代弁しているだけの社説である。一体読売新聞とは何なのか。これでも新聞か、メディアか、ジャーナリズムか。
 どうせ官邸筋か、防衛、外務官僚筋から機密費で飲み食いさせてもらって頼まれたのだろう。国家権力と対峙するという心意気のかけらさえ失って、国家権力との親交関係を喜んでいる御用メディアの姿を見る思いだ。
読売社説が住民投票に反対する理由はこうだ。
  「岩国市は周辺7市町村との合併を控えている。その後は新市長選挙もある。その直前に、新たな市の一部(でしか過ぎない現岩国市)の意思だけを聞く住民投票はおかしい」という。論理が逆ではないのか。基地とは関係のない地区が合併によって新岩国市になったからといって、その住民に基地の切実な問題がわかるのか。従来の岩国市民の意見を聞いてこそ基地問題に関する住民投票の意味があるのだ。
 社説はまた、「市議会の多数は、受け入れを前提に国との対話路線に転換すべきだと主張して住民投票に反対しているから、市政を混乱させる」と言っている。首長と市議会が対立していればなおさら市政の主体である住民が最終的な結論を出すべきではないのか。市長も市議会も住民の意見に従うべきではないのか。
 「在日米軍再編は国の安全保障の問題であって岩国移転問題も『市の権限』外の問題だ」と言うに至っては論外である。
 これを要するに、基地を抱える他の自治体に住民投票が伝染して行ってはたまらないという事に尽きる。とんでもない社説だ。この問題はこれからも岩国市長に大きな圧力となってのしかかってくるであろう。岩国市長は果たしてどこまで住民投票の初志を貫徹できるか。けだし興味深い。