ライブドアと小泉政治 日々通信 いまを生きる 第193号(2006.2.8)

 

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      >>日々通信 いまを生きる 第193 2006年2月8日<<

       
ライブドアと小泉政治

       
ライブドア騒ぎはいまもつづいている。
       
何か異常ではないかという気さえする。
       
情報源は検察のリークだ。
       
検察は少しずつリークして、マスメディアを操作し、国民を操作して
       
いるのではないか。
       
取調べの最中にこんなにリークするのは異常ではないかと思われる。
       
マスメディアはそれを競って報道する。

       
家宅捜索の直後に沖縄で自殺したとされるエイチ・エス証券副社長、
       
野口英昭さんについて自殺か他殺かもふくめて多くの謎があるが、そ
       
れについては何の報道もない。

       
野口さんは安晋会の理事をしていたという。
       
安晋会は安倍晋三官房長官の秘密後援会といわれ、耐震偽装事件の開
       
発会社「ヒューザー」の小島社長との関係が問題になっている。
       
さらに、野口さんは自殺にせよ、他殺にせよ、暴力団との関係があっ
       
たのではないかといわれ、どす黒い秘密に取り巻かれているが、その
       
解明はなされていない。

       
民主党の鳩山幹事長は、「ライブドアの実質的支配下にある投資事業
       
組合に、自民党の国会議員が深くかかわっていた可能性がある」と明
       
言している。

       
プロ野球参入問題、フジテレビ問題が世間を騒がせていたころ、森前
       
首相をはじめ多くの自民党員は堀氏に対して拒否反応を示していた。

       
与謝野金融相によると、証券取引等監視員会はライブドアの動向に着
       
目し、3年以上前からライブドアの取引をめぐる洗い出しを進めてい
       
たという。

       
私はプロ野球のファンとして、プロ野球を救った言動にばかり目をつ
       
けていたが、経済の専門家はみなそのうさん臭さを知っていたという。

       
しかし、なぜ、竹中のような専門家であり、国政の担当者である人物
       
が、小泉と自分と堀江で日本の改革をすすめるのだと過激に持ち上げ
       
たのか。

       
武部自民党幹事長はなぜ、わが弟、わが息子とまで言ったのか。武部
       
幹事長には堀江の実態などわからなかったと思うが、しかし、党の責
       
任者として、その言葉は重い。

       
考えてみれば、株の時価総額の拡大だけを求めて、そのためには何で
       
もするというやり方、たえず人目につくことをして、知名度をあげ、
       
株価をつりあげるのは、小泉首相と同じなのではないか。

       
小泉首相が頼りにするのは支持率であり、選挙の得票数である。その
       
言動はすべて場当たりの人気取りで内容がない。

       
小泉の構造改革で、なにか世の中が新しくなり、希望が見えるかとい
       
えば、そんな活気はどこにも感じられない。

       
景気が回復した。株価が上昇したというが、国民の生活レベルでは、
       
そのような実感はない。

       
リストラで大企業は収益を拡大したのだろうが、リストラされたもの
       
にとっては、喜ばしいどころか憎らしいことだ。

       
就業率が上がったというが、パートとか非正規社員が増大したので、
       
労働者の状態は決してよくなっていはいない。前途の不安は増し、時
       
代の閉塞感は強まっている。

       
堀江問題で野党から追い詰められて、小泉も竹中も武部も「反省すべ
       
きは反省する」と口をそろえて同じことを言った。
       
しかし、なにをどう反省するのか。その内容は少しも明らかでない。
       
これが彼らの言説の空虚さの見本である。
       
特に竹中の責任は重い。当時の自己の不明というが、そんなことで日
       
本の経済を左右する大臣の職務を果たせるのか。

       
小泉は「格差が出ることは悪いことだと思っていない」と答弁した。
       
悪平等の社会を打破して、貧乏人が大量に発生したことで、日本社会
       
にようやく光が見えて来たと言う。

       
あまりにも冷酷な小泉政治の立場は明瞭だ。その化けの皮が次々には
       
がれて行く。ライブドアの凋落は小泉政治の末路を思わせる。

       
米国産食肉の不祥事はアメリカベッタリの小泉政治の本質をあばき出
       
す。防衛施設庁の談合問題は、思いやり予算で建設されるアメリカ軍
       
基地が、政官業の食い物にされている腐敗の実態を暴露する。
       
防衛施設庁の腐敗は日本という国の根幹にかかわることだ。

       
靖国問題で麻生外相が天皇を引き合いに出す発言をし、天皇問題では
       
男系の男子による万世一系の皇統が問題になったりする。

       
日本はどこへ行くのか。
       
マスメディアは無節操で、ただ時代の波に流されるばかりだ。
       
時代の寵児と褒めそやした堀江に、いまは恥ずかしげもなく非難の言
       
葉を浴びせている。
       
やがて、小泉以下もはげしい非難にさらされることになるのだろう。
       
そして、日本はどこへ行くのか。

       
「日本は危ない」「日本は亡びる」漱石文学の底から聞こえるのはこ
       
の声である。しかし、漱石はただ警鐘を鳴らすだけでなく、この危機
       
を見つめるところから、新しい「道徳」を求めて苦闘した。

       
「大寒」が来て、「立春」を迎える。2月はまだまだ寒い。大雪が降
       
るのはこれからだ。きびしい季節に立ち向かうのは快くさえある。
       
 皆さん、体に気をつけて、新しい人間の可能性のためにご奮闘くだ
       
さい。

       
  伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu