仏・米紙が「靖国」批判 首相参拝は軍国主義免罪 「しんぶん赤旗」(2006.2.11)

 

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2006-02-11/2006021107_01_0.html

 

 

2006年2月11日(土)「しんぶん赤旗」

仏・米紙が「靖国」批判

首相参拝は軍国主義免罪


■フランスでルモンド紙が神社ルポ

 【パリ=浅田信幸】フランスの有力紙ルモンドは十日付で「毒を塗られた日本の記憶」と題する靖国神社ルポを掲載し、戦前の「超国家主義のイデオロギー的支柱」であった同神社が現在も「政治的なメッセージを伝えている」と述べました。フィリップ・ポンス同紙東京特派員によるもの。

 ルポは、小泉首相による靖国神社への五年連続の参拝について、「私人の資格であっても、国際法廷で裁かれた人物を国家がたたえ、軍国主義の過去を免罪しているように見える」とし、「アジアと日本の一部の憤激を呼び」「中国、韓国との深刻な関係悪化を引き起こした」と指摘。天皇の参拝を示唆した麻生外相の最近の発言は「火に油を注いだ」と述べています。

 記事は、同神社の戦争博物館、遊就館にある機関車と零式戦闘機に注目。機関車が走ったのは現在のタイとミャンマーの国境に敷かれた鉄道であり、「この鉄道建設は困難を極めた」との説明文があるものの、建設工事でタイ人や中国人ら六万人、戦争捕虜一万五千人が犠牲にされたことにまったく触れていないと指摘。また当時、最優秀機とされた零式戦闘機が一九四〇年に重慶爆撃に使われたことでも「民間人の死者二万人を出したことが述べられていない」とし、「一九三七年の南京『事変』の扱いと同じ省略だ」と書いています。

 ポンス記者は最後に、「日本人自身」が戦争責任を検証してこそ、「近隣諸国との関係における歴史による障害から日本が解放されるだろう」と指摘。それは「昭和天皇の責任を問うことだ。また一切の誤りから天皇を免罪し、日本をアジアでの反共戦略のとりでとするために保守勢力を権力に復活させた米占領軍の責任を明らかにすることでもある」と締めくくっています。

■麻生外相ら“近隣国挑発”

■アメリカでボストン・グローブ紙が社説

 【ワシントン=鎌塚由美】米国マサチューセッツ州ボストンを中心に発行されている日刊紙ボストン・グローブは八日、麻生外相をはじめとする日本の「右翼政治家」の近隣諸国への挑発を戒める社説を掲載しました。

 社説は冒頭、「日本の右翼政治家たちは、近隣諸国の人々を攻撃する危険な習慣をつくっている」と指摘。「征服された人々に帝国日本がもたらした恩恵」を称賛し、近隣諸国の人々を「当然のことながら怒らせている」と紹介しました。

 社説は、この「日本の新しい国粋主義者たち」は、日本帝国主義の過去には「善行があったという神話」を触れ回り、それが「軍国主義の精神を復活させる意図」とも結びついていることを紹介。小泉首相の靖国神社参拝を擁護し、日本軍の中国や朝鮮での虐殺行為をわい曲する教科書づくりにもかかわっているのが「新しい国粋主義者」であることも紹介しています。

 社説は、麻生外相が最近、台湾の高い教育水準は日本の植民地時代(一八九五―一九四五年)による義務教育のおかげだと「愚かにも宣言」したことは「この挑発傾向を例示した」ものだと指摘しています。

 社説は、「日本と中国の対立の再燃は避けられ」ず、それは「アジアの全域の安定を危険にさらす」ことになると指摘。

 そのような事態を避けるため「日本の右翼は好戦的手段を転換すべきだ」と提言しています。