【論評】学生を裏切るのか 横浜市大新聞 ニュースブログ(2006.2.13)

 

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2006年02月13日

【論評】学生を裏切るのか

 大学改革をめぐり、ついに学生・院生らが学長に「直訴」した。続々と消滅するゼミ、少なすぎる図書館の雑誌、新学部授業での大混乱など、要望書で提起された問題は昨年から至る所で噴出していた。要望書の提出は当然の流れで、それらの改善にほとんど取り組んでこなかった、大学側の恥ずべき姿勢を浮き彫りにした形だ。また、人権授業の廃止は、本学の見識に関わる事項であり、大学改革が学内だけの問題ではないことを示している。

 学長は1年前、就任する直前にも、別の学生有志から「学生や教員の意見反映を」と申し入れを受けている。その場で「今後は学生・教員・職員の3者が関われるようにしたい」と発言しているが、今なお、それは現実化していない。授業の問題は放置され、教員も大学運営に関われず、意見が反映されないままになっているのは、どういうことなのか。

 提出後、学長はロシア語・アラビア語・スペイン語など諸外国語の授業を廃止したことについて「(言語上の)マイノリティーはみな、英語ができる」と発言した。これは理由としてあまりにも軽率で、何ら正当化の材料にはならない。英語さえあればいいという発想では、国際都市の名が泣く。国際教養を重視する大学ならば、なおさらに各地域の文化を尊重する姿勢が必要ではないか。

 大学運営側は、要望書に書かれた内容を早急に実行するべきである。もしこれらの真摯な要望を無視すれば、本学が掲げた「学生重視」という目標は完全にその中身を失い、虚偽となるだろう。来年度入試の志願者数が増え、本学の人気が回復する傾向が見られる中、多くの入学生の期待を裏切るような事態を、絶対に繰り返してはならない。