日本政府の“恥”となった麻生外相を任命した小泉首相の責任を問う 森田実政治日誌(2006.2.15)

 

http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C02470.HTML

 

 

2006年森田実政治日誌[92]

日本政府の“恥”となった麻生外相を任命した小泉首相の責任を問う

「恥を知るは勇に近し」(孔子)
[自分の恥を率直に認めることのできる人は勇気のある人である]


 2月14日の毎日新聞、東京新聞2紙の夕刊は、2月13日付け『ニューヨーク・タイムズ』の麻生外相に対する痛烈な批判を伝えている。『ニューヨーク・タイムズ』紙が日本の大臣一人を取り上げ、ここまで痛烈に批判するのは異例のことである。

 まず「毎日」を紹介する。見出しは「麻生外相を『扇動的』と批判」。
 《【ワシントン及川正也】米紙ニューヨーク・タイムズは13日、日中関係や靖国神社参拝などをめぐる麻生太郎外相の最近の歴史認識発言を取り上げ、「扇動的な発言からは誠実さも賢明さもうかがえない」と批判する社説を掲載した。
 社説は「日本の攻撃的な外相」と題し、外相が「天皇陛下の(靖国神社)参拝が一番だ」と述べたことや、日本の植民地支配下の台湾で教育水準が上がったことを指摘した発言を取り上げ、「一連のがくぜんとする発言によりアジアの人々の反感を買った」と批判。
 従軍慰安婦問題や細菌兵器実験、南京事件について、日本の学校での現代史教育で「国の責任にきちんとけじめをつけていない」ことが反感の背景にある、との見解を示した。
 中国の軍備拡大について「かなりの脅威」と発言したことにも触れ、「悪化する日中関係にわざわざ火を付けた」と論評。「麻生氏の外交センスは彼の歴史認識と同様に奇妙だ」と締めくくっている。ただし、社説は中国よりの論評となっている。》

 次に『東京』を紹介する。見出しは「『麻生外相の発言奇妙』/米紙『攻撃的』社説で批判」。
 《【ワシントン小栗康之】13日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、麻生太郎外相が台湾の教育水準が高いのは日本の植民地支配中に義務教育に力を入れたためなどと発言したことを社説で取り上げ、「麻生外相の外交センスは彼の歴史観と同じほど奇妙だ」などと痛烈に批判した。
 社説は「攻撃的な日本の外相」との見出しで、麻生外相の発言を中国などに対する「挑発的な発言」と指摘した。
 さらに「発言は正直でもなければ、思慮にも欠ける」と強調し、既に難しい日中関係をさらに困難なものにしていると主張した。
 麻生外相の発言は8日付の米紙ボストン・グローブでも取り上げられ、「台湾に関するばかげた発言は彼の挑発的な傾向を実証した」「麻生外相のような右翼が非外交的な言動にふけっている」などと批判されている。》

 こうした海外の批判に反発する空気が日本国内にあるが、われわれは可能な限り、冷静にそして謙虚に対処すべきであろう。
 麻生外相の言動が「節度」を越えてしまっていることは明らかである。
 実は、「麻生外相が挑発的な言辞を繰り返すのは、中国を挑発し中国を怒らせることにより、日本国内の反中国ナショナリズムを煽る狙いがあるのではないか」という見方が、政界にはかなり強かった。ところが、麻生外相の度重なる挑発的発言に怒りを爆発させたのは米国側だった。麻生外相は日本の最も大事なパートナーである米国を怒らせてしまったのである。
 これは小泉政権にとってかなり深刻な事態である。ニューヨーク・タイムズ紙の論評についていろいろの見方があるが、日本外交のイメージが著しく傷ついてしまったことは間違いない。この原因が麻生外相の乱暴な発言にあることは確かである。
 こうした乱暴な発言をつづける外相に対して、麻生氏を外相を任命した小泉首相は、少なくとも、外相に注意を促すべきである。それをしないのは小泉首相の怠慢である。
 それ以上に、このような“日本政府の恥”とみられている人物を外相に任命した首相の責任が問われるべきである。
 妄言を繰り返す麻生外相の口を閉じさせることができないなら、小泉首相は麻生外相を罷免すべきである。