横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2006.3.9)

 

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横浜市立大学教員組合週報

組合ウィークリー

2006.3.9

もくじ

● 新執行委員長就任挨拶

● 新書記長就任挨拶

● 執行委員選挙の開票結果と新執行部体制

● 団体交渉を申し入れています


●新執行委員長就任挨拶

  岡 眞人(国際総合科学部人間科学コース教授)

 大学改革という名の大学破壊の激流の中で、横浜市立大学教員組合はしっかりと教員の教育・研究環境を守り、大学のあるべき姿と方向性を提示してきました。私は歴代執行委員会の奮闘に敬意と感謝の念を抱いておりましたが、このたび、思いがけず委員長の職務をお引き受けすることになりました。この厳しい時期に非力な私には荷が重いのですが、組合員の先生方と力を合わせて本学の健全な発展のために頑張っていこうと思います。どうかよろしくお願い申しあげます。

 大学当局は一貫して「教員全員任期制」を大学改革の目玉にしています。全員任期制は大学教員任期法はじめ関連法規の精神に全くそぐわないもので、教員の身分を不安定にし、教員が安心して教育・研究に取り組める環境を破壊しています。その結果、とどまるところを知らない人材の流失が進行しています。研究棟の廊下を歩くと空室が目立ち、まるでシャッターを閉めた店が連なる崩壊寸前の商店街のようです。横浜市大が長い歴史の中で脈々と育んできた知的伝統の森は乱開発で根こそぎなぎ倒されているように感じます。実に腹立たしく悲しい想いです。

 横浜市立大学から公立大学法人への移行に際して、教員の身分は法に基づいて継承されました。当局は任期制への同意を求める文書を各教員に送りつけましたが、多くの教員は正当な法的権利に依拠して任期制受け入れを拒否し、従来どおり定年までの雇用保障の権利を維持したまま勤務しています。しかし、ここに再び重要問題がもちあがりました。教授や準教授への「昇任」を契機に、任期付きの新しい労働契約を迫るという事態です。これは定年までの期間の定めのない雇用保障を放棄することになるので、実に重要な労働条件の変更になります。組合との協議は不可欠ですが、当局のやり方は一本釣り方式で新契約締結を強行しようとしているように見えます。その上、当局は契約期間終了後の「再任」について何ら説明をしていません。まるで白紙委任状の提出を求められているのに等しく、5年ほどの任期が切れたら「契約期間満了」という名の「雇い止め」になる可能性も否定できません。これではリスクが高すぎて「昇任」という甘い香りに誘われて任期付き契約に同意することは賢明ではないと言わざるを得ません。

 この問題は法人化後、新規に任期付きの条件で採用された教員が数年後に直面する問題でもあります。すでに任期制に同意した人であっても、教育と研究に継続的に安心して取り組める環境は必要不可欠です。新規採用になった教員に聞いたところ、「任期制に同意できますね」と口頭でいわれただけで、労働条件の文書による提示はなく、再任ルールの説明もなかったそうです。これでは落ち着いて教育・研究に打ち込むことはできないでしょう。当局は「普通にやっていれば再任される」と以前説明したことがありますが、その「普通」の定義は曖昧なまま放置されています。

 ここに任期制に同意していない人も同意した人も、全ての教員が直面する切実な課題があります。これこそ教員組合が当面取り組むべき最大の課題だと思います。組合の基本的立場は、任期付き雇用に同意することなく教授等への昇任を実現することです。大学当局は、全員任期制が改革の目玉なので絶対譲れないという立場に固執しています。これは関係法規の条文と精神に照らして誤っているだけでなく、大学運営の現実論から見ても人材の大量流失を招き、本学の教育・研究の質的低下を引き起こすという間違いを犯しています。そもそも、現場の教員の声を無視して、トップダウン方式で横浜市立大学の全てを一挙に変えるのが改革だといわんばかりの蛮行を犯したツケが回ってきているのです。

 教員組合は組合員一人ひとりの生活とキャリアの重みを強く意識して、安心して教育・研究に従事できる環境をつくりだすために引き続き努力していきます。同時に教員組合は大学に期待されている社会的役割を発揮するために、大学の自治と学問の自由という高い理念に基づいて、職員、学生の皆さんと力を合わせ、民主的運営による生き生きとした大学の創造に尽力していきます。皆様のご理解とご協力を再度お願いして、ご挨拶とさせていただきます。

 

●新書記長就任挨拶

  本宮 一男(国際総合科学部国際文化創造コース教授)

 本学の激動の中で、歴代の執行委員の皆様が多大なご尽力を払われてきたことに敬意と感謝の念を持っておりましたが、期せずして、この度書記長をお引き受けすることになりました。新任のご挨拶代わりに、少々愚考していることを申し上げたいと思います。

 その意味合いを深く考えることなく、問答無用というかのごとく、ともかくも変えてしまおう、排除してしまおうという姿勢は、悪しき意味での「革命」となってしまいます。「改革」であるのならば、そもそも改めるべき問題は何なのか、それをどのように変えていくことが適切な方法なのかを、明確にそしてじっくりと検討すべきだと考えます。「もはや時間がない」とは思えません。大切なことは、10年後あるいは30年後により良い姿になっていることであり、そのためには将来をしっかりと見据えながら検討をおこない、「改革」の方向性も常に点検しつつ、必要とあれば敏速にしかるべき軌道修正をおこなうことも求められるべきです。ある時点での「流行」に目を奪われて、「バスに乗り遅れるな!」式の「改革」の強行がもたらす危うさ、愚かさは、幾多の過去の歴史が示しています。いやさらに言えば、当局が示すような「任期制」や評価制度に基づく「年俸制」に関する考え方は既に「時代遅れ」になりつつあり、もはや愚かし後追いとなってしまっているように思われます。

 また、本学を築いてこられた先人達が残された蓄積に対する評価・点検も十分に果たされているとは思えません。伝統を否定して新しいものにすることがいつでも良いことになるわけでないことは当たり前のことですが、ここしばらくは社会全体として、「変わることは無条件に良いことだ」、と言わんばかりの風潮が蔓延しているように思われてなりません。良き意味での「保守」(良いものはできるだけ維持すべきである)の考え方はどこに行ったのでしょう?いやそもそも、かつての「保守」「革新」という考え方自体が、今では極めて複雑な、捻れた状況になっているのでしょう。ともあれ、言うまでもなく、伝統は長い時間の上に、ようやくにして築きあげられるものであり、しかし一方で、いつでも心しておかなければ一瞬で失われてしまう危うさを持つものでしょう。そして、一度失われれば、もはや取り戻すことできないものかもしれません。本学がこれまで辿ってきた道を顧みたとき、私はすべてが良き伝統であるとは言いませんが、しかし、かけがえのない良き伝統の蓄積は少なくないと考えています。

 組合員の皆様に向けた文でこのようなことを申し上げるのは、「釈迦に説法」となること、あるいは少々乱暴なまとめ方をする愚挙を承知の上で申し上げますが、我々の仕事である学問は、先人達が残された蓄積を的確に受けとめ、受け継ぐべき点は受け継ぎ、修正すべき点は修正して先に進んでいく営為でしょう。その意味では、「保守」と「革新」(「改革」)の両面を兼ね備えるべきものだと思います。だとすれば、私たちが学問をおこなっていく場である大学の問題に関しても同じように、良き意味での「保守」と「革新」(「改革」)の思想を兼ね備えた姿勢で臨んでいくべきだと思いまし、大学は社会全体の中でも特にそうした点を強く意識した組織であるべきだと思います。

 したがって、今回の大学「改革」もこうした観点から捉えていくべきだと思っているのです。これまでの基本的方向性は、真の意味で学生のためになる、社会に貢献できる、そしてそこで働くことに喜びを見いだせる大学改革とはなっていないと考えます。

 教員組合は、我々組合員の労働条件の保障・改善を目指していくことはもちろんであるが、同時に我々の働く場である本学がより良い大学に発展していくことも強く願っており、両者は密接不可分の関係にあるとの考え方は、多くの組合員の皆様が共有されているもののではないかと思います。

 もとより、書記長という大役を務めるには微力な身ではありますが、執行委員の皆様、組合員の皆様と協力して、責の一端でも埋められよう努めたいと思います。皆様におかれましては、よろしくご教示、ご支援いただけますようお願い申し上げます。

 

●執行委員選挙の開票結果と新執行部体制

 2月16日に開票が行なわれた執行委員選挙は、以下の結果となりました。

 投票総数 119票 有効投票 119票

岩佐 朋子 117票

小山 洋道 119票

岡  眞人 116票

本宮 一男 118票

中村 紀雄 118票

吉岡 直人 118票

小城原 新 116票

 

 これを受けて同日行なわれた引継ぎの執行委員会において、当面、下記の役割分担を決定しました。

執行委員長

岡  眞人

(国際教養)

副執行委員長

真鍋 勝司

(理)

書記長

本宮 一男

(国際教養)

書記次長

和仁 道郎

(国際教養)

会計担当

藤崎 晴彦

(経営科学)

情報宣伝担当

坪谷美欧子

(国際教養)

情報宣伝担当

岩佐 朋子

(経営科学)

福利厚生担当

中村 紀雄

(理)

給与調査担当

吉岡 直人

(理)

記録担当

小山 洋道

(看護)

安全衛生労働時間担当

小城原 新

(医)

 

●団体交渉を申し入れています

 教員組合は、当局に対して3月中旬にも団体交渉を行なうよう、申入れをしています。要求項目は、教員昇任人事に関連する事項、および、賃金・労働条件(評価制度を含む)に関する事項であり、要求書の詳細は追って皆様にお知らせいたします。