米軍池子住宅訴訟逗子市の訴え却下 長島市長、悔しさにじませ 「東京新聞」神奈川(2006.3.23)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20060323/lcl_____kgw_____000.shtml

 

 

米軍池子住宅訴訟逗子市の訴え却下

長島市長、悔しさにじませ

 「自治体は何を信じて政府と交渉すればいいのか」−。長島一由逗子市長は、米軍池子住宅の追加建設計画をめぐり、反対する市側の訴えを門前払いにした横浜地裁判決に対して、悔しさをにじませた。

 判決終了後、長島市長は横浜市中区の横浜弁護士会館で会見し、「国がいったん約束した事項を、後になって守らなくてもよいという結果が是認されるのであれば、自治体は、政府からの協力要請や政府からの約束や条件に対し、何を頼りに、何を根拠に、協力のあり方を判断すればいいのか」と硬い表情で話した。

 市側は、一九九四年十一月に国と県との三者間で、「池子地区に米軍住宅を追加建設せず、緑地を保全する」とした三者合意を盾に、「国には追加建設してはならない義務がある」などと主張していた。

 しかし、裁判は六回の審理で結審。判決は三者合意について、十年以上の懸案だった米軍住宅建設問題を解決する目的で結ばれたものだが、「各当事者が今後とるべき行政上の政策ないし方針について合意したもので、市と国の間に法的な権利義務を発生させるものではない」と指摘し、市側の主張を退けた。

 判決に逗子市側の中川明弁護団長は「裁判所法を皮相的に当てはめて判断した、極めて不当な判断と言わざるを得ない」と批判した。

 会見に引き続き、同弁護士会館で、傍聴に駆けつけた約五十人の逗子市民を対象に報告集会が開かれ、市側から控訴する方針が伝えられた。

 だが追加建設計画は、予定地を抱える直接の当事者である横浜市と日米両政府の間で既に合意されている。逗子市側の勝算は厳しく、参加者から控訴方針に「同じことをして、何が期待できるのか」との声も上がり、重苦しい空気が支配した。 (佐藤 大)