全国連絡会、声明「教育基本法「改正」法案の成立を阻止しましょう」(2006.5.9)

 

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2006年05月09日

全国連絡会、声明「教育基本法「改正」法案の成立を阻止しましょう」

教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
 ●[声明]教育基本法「改正」法案の成立を阻止しましょう(2006年5月8日)

[声明]教育基本法「改正」法案の成立を阻止しましょう

全国連絡会呼びかけ人:大内裕和、小森陽一、高橋哲哉、三宅晶子

 小泉内閣は4月28日、教育基本法「改正」法案を閣議決定し、国会に提出しました。「教育の憲法」とも呼ばれる教育基本法について、与党が密室協議を続け、主権者に十分な情報を提供することもなく法案を作成し、国会提出を行ったことに強く抗議します。

 4月28日に提出された教育基本法「改正」法案は、4月13日に出た与党最終報告案をほぼ踏襲しています。与党最終報告案の問題点について私たちは、「教育基本法の基本理念を否定する教育基本法「改正」に反対する―与党教育基本法改正に関する協議会「最終報告」の問題点―」という声明を4月26日、すでに発表しました。
ここではごく簡単に法案の問題点にふれておきます。

@「愛国心」の法定化。個人の価値を基盤としていた現行法を、国家(国益)中心のものへと変えています。個人の権利や内心の自由を守るのではなく、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する・・・態度」が国家によって評価・強制されることとなり、思想・良心、宗教、国籍・民族による差別を助長します。A教育行政による中央集権的支配の完成。現行法の「教育は、不当な支配に服することなく」という文言は残りましたが、その後の「国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである」という部分は削除され、国・地方自治体による施策の策定、実施、さらには政府が定める教育振興基本計画が明記されました。これは、主権者のための教育から、地方が従属する中央集権的支配への転換を意味します。B家庭・地域・生涯教育等、国民生活のあらゆる場面への介入 C教育の機会均等の空文化。能力主義による選別強化、経済格差・地域格差による機会不均等、男女平等の後退は、既に進行しつつある格差社会を教育の場から拡大させます。 D平和憲法とのつながりの切断。前文の「われらは、さきに、日本国憲法を確定し」、「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」という部分が削除され、平和憲法との一体性が切断されています。
現行法の基本理念を否定するこのような改悪を認めることはできません。

 私たちはこの約3年間、全国各地を歩き、教職員や保護者、市民など教育に関わる多くの人々と交流してきました。「学校現場の困難」や「教育の病理」について報道が盛んに行われていますが、それは、政府・与党が行おうとしている教育基本法の改悪によっては解決しません。今の学校現場にとって最も必要なことは、教職員と子どもに「愛国心」や「公共の精神」を上から押しつけることではなく、教育基本法第10条にある「諸条件の整備」によってもたらされる真の意味での「自由と平等」であり、子どもの意見表明権・参加権、少数者の権利の実現ではないでしょうか。

 2003年の「教育基本法改悪反対!12・23全国集会」以来、教育基本法の改悪に反対する運動は、新たな連帯を生み出しながら全国で大きく広がっていきました。2004年4月24日に「教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会」(http://www.kyokiren.net/)が発足し、地域の連帯が全国へとつながり、2004年11月6日、2005年5月7日、12月3日、2006年3月31日と行われた4回の全国集会では、私たちは、教育現場や社会で抑圧され、抵抗する人々の声を聴き、問題を共有し、思想を深め、連帯を広げてきました。
 「平和と平等」そして「人間の尊厳」を大切と考えるすべての人々に訴えます。今、あなたの場所から声をあげてください。そして、立場や考え方の違いをこえて、私たちの良心と意志を結集し、何としてもこの法案の成立を阻止しましょう。「通すな改悪法案! 教育基本法の改悪をとめよう!6・2全国集会&国会デモ」をはじめとする、国会に向けた集中的な運動を、あらゆる場所から、ともに、全力ですすめましょう。

2006年5月8日
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会 呼びかけ人
大内裕和、小森陽一、高橋哲哉、三宅晶子

いまの教育基本法と与党改悪法案(4月28日国会提出)の比較<PDF>
改悪法案をちょっとわかりやすくしたチラシ<PDF>
呼びかけ人からのアピール(最終報告批判:4月26日)

投稿者 管理者 : 20060509 00:00