ふたたび愛国心について 日々通信 いまを生きる 第204号(2006.5.12)

 

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        >>日々通信 いまを生きる 第204 2006年5月12日<<
       
伊豆利彦 http://homepage2.nifty.com/tizu

       
ふたたび愛国心について

       
徳富蘆花は19112月、幸徳らが処刑された直後に一高で謀叛論と題
       
して講演し、その末尾で次のように述べた。

         
 諸君、幸徳君等は乱臣賊子として絞台の露と消えた。其行動につ
         
いて不満があるとしても、誰か志士として其動機を疑い得る。諸君、
         
西郷も逆賊であった。然し今日となって見れば、逆賊でないこと西
         
郷の如き者がある乎。幸徳等も誤って乱臣賊子となった。然し百年
         
の公論は必其事を惜んで其志を悲しむであろう。要するに人格の問
         
題である。諸君、我々は人格を研くことを怠ってはならぬ。
         
          (明治四十四年二月 一高における講演)
          http://www.aozora.gr.jp/cards/000280/card1708.html

       
吉田松陰は逆賊であるか。
       
西郷隆盛は逆賊であるか。
       
そして、幸徳秋水、小林多喜二は逆賊であるか・
       
彼らこそ、日本の未来のために、一身を犠牲にしてたたかった人々で
       
はないか。

       
そして、226事件の青年将校たちは愛国者だったのか、逆賊だった
       
のか。
       
小泉・竹中は愛国者なのか、売国者なのか。
       
主観的に自己を愛国者だと宣伝するものの多くは偽物だ。
       
若者に愛国心を強要するものは、多くは国民を犠牲にして栄達をはか
       
るものだ。
       
いま、愛国心を強調している政治家たちは富み栄えて、自らを犠牲に
       
しようとは思ったこともない者たちではないか。

       
昔の愛国者は国民に貧困を強制する権力と金力をはげしく批判した。
       
いまの社会と政治を批判し、富めるもの奢れるものを攻撃した。

       
いま、愛国心を養おうとするなら、いまの権力がいかに腐敗し、国民
       
がいかに踏みにじられているかを学ばせるべきではないか。

       
昔の右翼は、政府や資本家の横暴を批判するために、天皇を持ち出し
       
た。
       
しかし、ひたすら天皇主義を掲げる226事件の青年将校たちは天皇
       
を激怒させ、反乱軍として、死刑になった。

       
愛国心とは主観的なものだ。
       
愛国主義者はしばしば国を滅ぼす。

       
今度の教育基本法改定案では「愛国心」という言葉をやめて「国を愛
       
する態度」にかえたらしい。
       
「愛国心」という言葉はわかるが、国を愛する態度とは何だ。
       
態度とは広辞苑によれば次のようである。

       
たいど【態度】
       
 情況に対応して自己の感情や意志を外形に表したもの。表情・身ぶ
       
り・言葉つきなど。また、事に処するかまえ・考え方・行動傾向をも
       
指す。「堂々たる」「強硬なをとる」「を改める」
       
 が大きい

       
[態]にはワザトという意味もある。

       
愛国の表情とはどうだ。
       
愛国の身ぶりとはどうだ。
       
愛国の言葉つきとはどうだ。

       
これなら教えられるかもしれない。
       
公明党はさすがに利口だ。

       
心はどうでもいい。そのフリをしろというのだろう。

       
なかなか安定した天候にならないが、元気でおすごしください。


       
連休の間に掲示板に多くの投稿が、それに答えてかなり沢山書いた。
       
以下に再録する。くわしくは掲示板を見てください。
        http://www1.ezbbs.net/27/tiznif/

       
掲示板から
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         3400
.名前:ヨーキー    日付:56() 1535
       
伊豆さんは日本人が日本人のために日本人による、憲法を策定するこ
       
とに何故反対なのでしょう??
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         3403
.私の立場では、現行憲法が、制定当時の憲法調査会の草案よ
       
り、また、いま出されている改定案よりすぐれていると思うから,
       
まの改定の動きに反対するのです。

       
戦争放棄の条項については、当時、ずい分考えましたが、それを肯定
       
することが正しいと考えるようになりました。

       
平和主義の問題は、今日ではますますその正しさが証明されていると
       
思っています。
       
軍事力によっては日本の平和と安全を守ることができません。
       
軍事力に依存するアメリカの現政権は失敗すると思います。
       
日本の軍事力は、日本を破滅させると思っています。

       
もちろん、抵抗権はあります。
       
無法にも軍事力なき日本を軍事的に攻撃するものがあれば、多様な抵
       
抗によって、追い払います。
       
ところで、いま、日本に軍事基地を置き、原子力空母を置いて、日本
       
の政治を支配しているアメリカをどう思いますか。

       
私はいまの日本はアメリカの支配下にあると思います。
       
アメリカには、いい面もあり、悪い面もあります。
       
アメリカから学びもしたし、助けられもした。
       
しかし、いまのアメリカはますます悪くなっています。
       
結局、日本は独立を実現しなければならなくなるでしょう。
       
それが、いますぐ可能だとは思っていません。
       
しかし、そうしなければならないと日本人民が目覚めるときが来ると
       
思っています。

       
この問題については、掲示板などで軽々に論じられる問題ではないし、
       
まだまだ、考えなければならないことがたくさんあります。

       
私の生涯も残り少ないわけですが、あの戦争を生きたものとして、戦
       
争と平和について深刻に考えなければならなかった世代として、残り
       
の日々を考えていきたいと思います。

       
私は若い世代にも学びたいと思っています。
       
若い世代にも、過去に学び、世界に学んで、私たちの知見をひろげて
       
くれる人が多数います。
       
過去の経験を繰り返さないように、過去を学ぶ必要があるのではない
       
でしょうか。
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        3405
 名前:事実を知ろう    日付:56() 2311
       
外国が日本人を拉致して帰国させないことも我が国に対する攻撃だと
       
考えますが、伊豆先生はこれに対してどう「抵抗」するお考えでしょ
       
うか。
       
それとも戦争になると怖いから、拉致された日本国民は見殺しにすべ
       
きだとお考えでしょうか。
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        3414
.拉致問題も武力では解決しない。
       
名前:伊豆利彦    日付:57() 1639
       
拉致問題の解決も、外交、話あいによるしかない。
       
犠牲者たちがどんな状況にあるかはわからないのだ。
       
金正日委員長の言葉は、腹立たしいことではあるが、真実かも知れないのだ。
       
その死亡原因は必ずしも信じることはできないけれど。
       
真相は国交回復が実現し、交流がさかんになり、大分日がたたないと判明し
       
ないだろう。

       
むやみに軍事力に訴えれば、もし生存しているなら生存している被害者を不
       
幸な目に合わせることになる。

       
それに、韓国はもとよりアメリカの支持も得られず、日本が孤立して、前の
       
戦争と同様に破滅することになる。

       
韓国は朝鮮とともに日本とたたかうと言っている。
       
中国、ロシア、アメリカは、決して平和の破壊者日本を赦さない。
       
アメリカが日本とともに、朝鮮征伐に遠征軍を派遣してくれるだろうと考え
       
るのは、あまりに人がいい。

       
そもそも日本はいかにして朝鮮に攻め込むつもりか。
       
朝鮮にはミサイルもある。
       
朝鮮は朝鮮戦争をたたかった国だ。韓国が朝鮮と連合してたたかうとすれば、
       
敵前上陸して半島に攻め込んだ日本軍は殲滅されるしかない。

       
それに日本の自衛隊がそれだけの覚悟があるとは考えられない。
       
日本国民も同様だ。

       
日本の自衛隊員は憲法のもとに入隊したのだ。

       
馬鹿な強がりは役に立たないばかりか、日本を亡ぼす。
       
もちろん、日本はそんな選択をするとは思われない。
       
事実を知ろうさんは、そんな事実を知っているのか。

       
贔屓の引き倒しということがある。
       
現実は戦争ごっこ、戦争ゲームではないのだ。
        http://www1.ezbbs.net/27/tiznif/
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        3399
.名前:伊豆利彦    日付:56() 1512

       
イスラエルの高校生は選挙の度に模擬投票をしているということだ。
       
それぞれの政党の政見演説をしたり、反対討論をしたりしているのを
       
テレビで見た。

       
日本お中学・高校では政治にかかわることをおそれ、戦争や政治につ
       
いて論ずることをさせたがらないらしい。

       
ただ、規則に従うことを強調するばかりのようだ。

       
これでは民主政治の主体は養成されない。
       
デモに参加することを禁じるばかりで、それが民主政治の基本だとい
       
うことは教えられていない。
       
人民の権利ということが無視されて、従順な羊のような国民を育成し
       
ようとしている。

       
国の主人、政治の主体を形成する民主主義の教育はに政治教育が金本
       
になると思うのだがどうだろうか。

       
愛国心といっても、邪悪な政権を打倒し、人民の権利を守る、革命的
       
な精神のことではないようだ。

       
いま、政治に無関心な若者たちを見ていると、日本に民主主義などま
       
ったく育っていないと思われてならない。
        http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000102032

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        3412
Re: <チャルマーズ・ジョンソン保護国日韓を語る(その1)
       

       
名前:伊豆利彦    日付:57() 1510
       
太田氏は
       
その2 韓国篇では、次のように書いています。

       
現時点では、日米同盟は盤石であるのに対し、米韓同盟は風前の灯火
       
といった趣きがありますが、宗主国によるコントロールに怒って独立
       
をほぼ果たした理想主義的な韓国と、怒ることを忘れて宗主国の保護
       
国的地位に甘んじる現実主義的な日本とのどちらが、(母国英国が課
       
したささやかな税金に怒って独立戦争を経て建国した)米国と長期的
       
に、互いに敬意を抱いた信頼関係を構築できるかは、申し上げるまで
       
もないでしょう。

       
 韓国における対支事大主義の残滓は問題ですが、対米関係に関する
       
限りは、日本は少し韓国の爪の垢でも煎じて飲んだ方が良いと私は思
       
います。
        http://ohtan.txt-nifty.com/column/

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         3413
Re: <チャルマーズ・ジョンソン保護国日韓を語る(その
       
1)>
       
名前:伊豆利彦    日付:57() 1528
       
いかにして米国からの独立を実現するか、それが問題だ。
       
核兵器を持ち、軍事力を強化して一戦まじえるか。
       
世界最強の好戦主義者の米国に対して、それは自滅の道だ。

       
「吾輩は猫である」に次の言葉がある。

       
しかし猫の悲しさは力ずくでは到底(とうてい)人間には叶(かな)
       
わない。強勢は権利なりとの格言さえあるこの浮世に存在する以上は、
       
いかにこっちに道理があっても猫の議論は通らない。無理に通そうと
       
すると車屋の黒のごとく不意に肴屋(さかなや)の天秤棒(てんびん
       
ぼう)を喰(くら)う恐れがある。理はこっちにあるが権力は向うに
       
あると云う場合に、理を曲げて一も二もなく屈従するか、または権力
       
の目を掠(かす)めて我理を貫くかと云えば、吾輩は無論後者を択
       
(えら)ぶのである。天秤棒は避けざるべからざるが故に、忍[#
       
「忍」に傍点]ばざるべからず。人の邸内へは這入り込んで差支(さ
       
しつか)えなき故込[#「込」に傍点]まざるを得ず。この故に吾輩
       
は金田邸へ忍び込む[#「忍び込む」に傍点]のである。
        http://ohtan.txt-nifty.com/column/