《最近、NHKが放送した「ワーキングプア」(働いても働いても貧しい状態が続く)は、NHKの見識を示した》 政治家・安倍晋三氏批判第2部【6】 『森田実の言わねばならぬ』(2006.7.31)

 

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関連資料

ワーキング・プア・働く貧困層の急増(保坂展人のどこどこ日記) 阿修羅(2006.7.26)

 

 

2006.7.31

森田実の言わねばならぬ[251]

 

政治家・安倍晋三氏批判第2部【6】

安倍シンパのマスコミに次の政権を決めさせてはならぬ

 

「テレビは人間にとって危険である」(ルイ=フェルディナン、セリーヌ 『世界毒舌大辞典』より)

 

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 地上波(中央)テレビ局の番組づくりに責任をもっているプロデューサー、ディレクター、キャスター、コメンテーターは、近年、政治権力者の手先の性格を強めている。政治権力者との一体化が進んでいる。それとともに、テレビ局の実力スタッフはますます傲慢になっている。各テレビ局は安倍シンパである。安倍内閣づくりのための世論喚起の先頭に立っている。大新聞社の編集者、記者も、テレビ局員と同様、政治権力者に媚び諂(へつら)っている。大新聞のほとんどが小泉内閣の広報機関誌のようになってしまっている。

 小泉政治に対する不満が全国民の間に広がっているにもかかわらず、大新聞とテレビは、この国民の苦しみ、国民の真の声を伝えない。マスコミは、国民のための存在であることを忘れ、権力者の所有物に成り下がっている。例外はNHKだけである。最近、NHKが放送した「ワーキングプア」(働いても働いても貧しい状態が続く)は、NHKの見識を示した。NHKだけは国民の側に立とうと努力していることを示した。NHKのディレクター、記者、解説者は、ほかのマスメディアのディレクター、編集者、記者よりもずっと真面目に国民全体のことを考えている。これに対して、民放テレビのディレクター、記者、キャスター、コメンテーターは不真面目だ。頭にあるのは視聴率のことばかりである。頽廃してしまっている。

 

 大新聞とテレビは、小泉政権と同様に、アメリカ一辺倒である。「アメリカは“善なる国”、中国は“悪い国”」という小泉政権の過った立場を擁護している。それだけでなく、マスコミ自体が偏った立場で一面的な報道をつづけている。

 テレビ局の悪影響を受けて、国民のなかから現実を相対的に捉える柔軟な思考が消えてしまった。公平な判断力が失われてしまっている。米国も中国も、日本にとって、善い面と悪い面の両面を持っているのだ。これが常識というものである。アメリカは「絶対的に善」、中国は「絶対的に悪」などということは現実にはあり得ない。そのあり得ない偏見をマスコミがつくり出し宣伝している。

 

 7月30日(日)午前のフジテレビの報道番組をたまたま見たところ、常連のコメンテーターのT氏(政治権力者にゴマをすりつづけてることで著名)が安倍晋三氏に対する歯の浮くようなゴマスリ発言をしていた。安倍晋三氏はきわめてすぐれた政治家だと繰り返し持ち上げていた。フジテレビが安倍シンパであることはその報道ぶりを見れば明らかだが、自民党総裁選が事実上始まったこの段階で、「番組の主」のような存在のコメンテーターが安倍氏だけを極端に褒め上げるというのは、放送法が定める「不偏不党の原則」に反する。フジテレビは放送法違反の報道を行ったのだ。

 

 政治権力とマスコミの合体は、民主主義を破壊し、独裁政治への道を開く。政治権力は、マスコミを手先化することによって、国民全体をマインドコントロールする力を持つ。マスコミも、政治権力と合体すれば、どんなに不公正・不道徳な報道を行っても、権力の庇護のもと、許されてしまう。このことによって、政治権力もマスコミも堕落してしまう。

 政治権力とマスコミの合体は、この二つの巨大権力を傲慢にしている。

 この巨大パワーが、なりふり構わず安倍政権実現に向けて突進し始めた。今、日本の民主主義は風前の灯である。自民党は独裁権力に向かって暴走し始めた。自民党にこの暴走を止める力がなければ、その役割は民主党が担うことになる。