横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2006.8.8) (1)執行委員会報告、(2)新執行副委員長の挨拶、(3)新書記次長の挨拶

 

横浜市立大学教員組合 http://homepage3.nifty.com/ycukumiai/index.htm

 

 

横浜市立大学教員組合週報

組合ウィークリー

2006.8.8

  もくじ

●執行委員会報告

●新執行副委員長の挨拶

●新書記次長の挨拶

●皆様の疑問、意見をお寄せください


執行委員会報告

7月27日(木)、選挙開票の結果を受けて、引継ぎ執行委員会が開かれました。主な議題は以下のとおりです。

1.       選挙結果  投票総数 99票

  康 聖一

97票

  小城原 新

98票

  石川 文也

98票

  塩尻 智之

98票

  横山 晴彦

98票

2.        

3.       執行委員役割分担

  委員長

岡 真人

  副委員長

横山 晴彦

  書記長

本宮 一男

  書記次長

石川 文也

  会計担当

康 聖一

  情宣担当

吉岡 直人 (週報担当)

岩佐 朋子 (週報担当)

塩尻 智之 (ホームページ担当)

  福利厚生担当

中村 紀雄

  給与調査担当

小山 洋道

  安全衛生労働時間

小城原 新

4.        

5.       これまでの経過の整理と今後の課題について
 組合大会における議論を踏まえて、賃金、任期制、再任・昇任問題、労働時間などその他の労働諸条件の改善課題について引き継ぎ確認を行った。


新執行副委員長の挨拶

副執行委員長就任にあたって

 

横山晴彦


 この度、副執行委員長になりました国際総合科学研究科理学系の横山晴彦です。どうぞよろしくお願い申し上げます。私が前回教員組合の執行委員を引き受けたのは30年前で、今回が2回目になります。執行委員をやった回数が少なかったことから何度も頼まれたことがありましたが、その都度お断りしてきました。しかし、今回は年貢の納め時のようです。お断りしてきたのは、時間的な余裕がなかっただけでなく、組合に加入しないでも恩恵を被っている人達がいることを考えたとき、高い(安くない)組合費を支払っているだけで十分貢献しているのではないかと思っていたことや、自分の考えと教員組合の考えが必ずしも一致しなかったことなどによります。市労連の中で自由度に制限があった教員組合の存在意義自体に対し疑問に思うこともありました。言いにくいことを申し上げたかも知れませんが、自分の考えは率直に述べるのが私の主義で、大学には自由な意見を言える場と環境がなければならないと私は思っています。自民党の郵政選挙後のように党内で物が言いにくい状態になってしまってはおしまいだと思います。
 独立法人化後の教員組合は、自律が要求され、教員の労働条件や身分保障など様々な重要な問題に対して重責を担うことになったと考えています。このような状況の変化を考えると、イデオロギーの違いなどの問題を超越した強い組合づくりの必要性が感じられます。独立法人化は、時代の流れで避けられなかったと思いますが、その流れが急激であったため、現在、大学は極端な方向に振れていると思います。私は、大学は復元力も備えていると信じており、辛抱強い努力を続けることにより、将来的には、新たな望ましい大学が生まれてくるのではないかと思います。教員組合は、この時代の流れを率直に受け止め、冷静な判断のもとに今後活動することが必要だと考えています。教員組合がどの程度関わり合えるかは別として、大学改革の拙速さにより生じた多くの問題点を是正するには、大学はこれまで培ってきた優れた点を再評価し、トップダウンとボトムアップを融合した迅速かつ双方向的な意志・情報伝達機構と協議機構を構築し、決定事項・通達事項に対しては責任の所在を明確にするシステムを構築することが必要であると考えます。また、個人的には、できるだけ横浜市による制約を受けない自律した大学を目指すべきであると考えます。
 現在、組合は給与、昇任人事と任期制、教員評価などに関する重要な課題を抱えています。個人的な意見はできるだけ控えたいと思いますが、現在の給与システムに関しては全く中途半端かつ不完全で、対応が遅れていると言わざるを得ません。これは、任期制、昇任、評価、旧給与システム等との関係の整理・調整ができていないためそのような状態になっていると推測します。また、年俸制と言っていますが、どこが年俸制といえるか私には理解できません。当初の考えである本給は固定し、業績給は評価により変動させるというのであれば、例えば、年齢に無関係に、教授、準教授、助手の本給はそれぞれ一律とし、本学の従来の教授、助教授、助手の平均給与実績に一致させるというようなやり方が考えられます。善し悪しは別としてこれはこれで一応筋が通っているように見えます。しかし、この場合には、これまでの給与が大幅に減るという教員が当然出てきますので、新規採用者や昇任により大幅ベースアップする人への適用以外は実際的ではありません。今回、昇任した教員の新たな給与は、従来の給与表の直近上位へ位置付けられたと思われます。従って、もし、本給が固定され、また、業績給は平均額を基準に上下振動するシステムであるとしたら、年齢の低い教員の給与は定年まで給与が低いまま実質的な上昇はほとんどないという全く不当な給与システムということになります。今回、昇任者の給与が直近上位に位置付けられたのであれば、それと矛盾がないよう、経験年数を考慮した給与システムを即刻全教員に適用すべきであるというのが私の主張です。持論を述べてしまいましたが、現在組合が抱えている諸課題に対して、副執行委員長としてできる限りの力を注ぎたいと思っています。


新書記次長の挨拶

書記次長就任にあたって

 

石川文也

 

(国際総合科学部国際文化創造コース準教授)



 現在、横浜市大で「改革」の名でおこなわれている大学の解体は、大胆な改革なくしては廃校もありうるという内容を現市長に答申した諮問委員会「市立大学の今後のあり方懇談会」(以下、あり方懇)の『市立大学の今後のあり方について 答申』(以下、『あり方懇答申』)に端を発していることは周知のとおりです。市長は、「[大学には]現状認識に危機感がない。少子化の中で教職員がこのままでも何とかなると思っており全学的な議論をしていない。」(「市長定例記者会見質疑応答要旨」(2003年5月7日))と大学を公然と批判し、「横浜市が有する意義のある大学として市立大学が再生」(2003年2月27日答申式発言)するためには大胆な改革が必要だと強調していますが、『あり方懇答申』を見れば、市長あるいはあり方懇が改革をしなければならないと考える最も大きな理由は、大学の財政の問題であることがわかります。『あり方懇答申』によれば、その算出方法は明確にされていませんが、「市民一人あたり、毎年約7千円弱の支出にあたる」(p. 2 )額を一般会計から繰り入れているとのことです。民間でおこなうと収益は見込めないが、社会の視点から見ると必要不可欠である事業こそを本来なら行政が進んでおこなうべきであるはずですが、現に起こっている「改革」は、長期的ヴィジョンに立ってこれまで大学がおこなってきた研究・教育(人材育成)・地域貢献の蓄積、あるいは営利第一主義に基づかずに付属病院がおこなってきた地域への福祉・医療事業の展開の蓄積を全く無視した、短期的な成果のみを高く評価する「上からの改革」です。先に引用したように、市長は大学には全く危機感がない、全学的な議論はしていないと発言しましたが、これについても周知のように、大学は独自に、学長の諮問機関である将来構想委員会が――その活動は、教員も「改革」に積極的に協力してしたという当局のアリバイ作りのために利用されましたが――『将来構想委員会中間報告書』(2002年12月25日)を学長に答申しており、全学的な議論をしていないのではなく、さらにその内容を読めば大学が現状に対して全く危機感を持っていないわけでないことは明らかです。
 そのような矛盾を内包したまま、『あり方懇答申』は2003年2月27日に市長に手渡されました。そこには、「論理的に考えて」大学に残された4つの選択、すなわち、「〔1〕大胆な改革で生まれ変わり、存続する、〔2〕有力私立大学に、売却する、〔3〕私立大学に、転換する、〔4〕廃校とする」(p. 2)内容と、付記「現状のままで存続する道は、まったく考えられないことを強調しておきたい。」(p. 2)が示され、それらを受けて「横浜ならではのオンリーワンの改革案[に基づく]大胆な改革」(「市立大学改革について〜市長のメッセージ〜」(2003年5月7日))が市長から提言されたことはみなさんもご存知の通りです。同時に市長は「まず決めるのは、大学自身です!」と、あたかも大学側に主体的思考の余地が残されていることを明言していますが、その時点ではすでに大枠は決められていて、それは、その後に立ち上げられた学内検討組織「市立大学改革推進・プラン策定委員会」(通称:「プロジェクトR」)の実権が横浜市立大学事務局大学改革推進部に掌握されていたことが示すとおりです。
 その「プロジェクトR」は、概念自体が矛盾を含む「プラクティカルなリベラルアーツ(実践的な教養教育)」)ということばを載せた報告書『横浜市立大学の新たな大学像について』(2003年10月29日)を出しているのですが、その冒頭には、次のように書かれています。

 本学も真摯に自らを省み、これまでのともすれば硬直化しがちな教育研究体制にメスを入れ、優れているものはさらに伸ばすとともに、改善、削減すべきものには勇気をもって対応しなければならない。横浜市が有する意義ある大学、横浜市民の要請に応える大学の実現に向け、いまこそ全学を挙げて大胆な大学改革に取り組む所存である。(p. 4)


 この引用箇所は、字義通り取れば、学内の検討組織である「プロジェクトR」はあり方懇の改革方針、つまり大胆な改革で存続するという選択肢が示す方針を踏襲するように解釈できますが、『公立大学法人横浜市立大学中期目標中期計画』、「平成17年度予算概要」(横浜市大学事務局)からは、実は大学が選択したのは必ずしも選択肢の〔1〕「大胆な改革で生まれ変わり、存続する」ではなく、〔3〕「私立大学に、転換する」に限りなく近いものであったことが読み取れます。それは例えば、『公立大学法人横浜市立大学中期計画』に示された運営交付金・貸付金の削減(運営交付金総額: 142.1億円(17年度)から115億円(22年度)(p. 25)、人件費の削減(経常経費のうちの人件費の割合:57.%(17年度)から50%(22年度))(p. 26)から明らかであり、特に後者の枠組みで強引に実施されようとしている任期制・年俸制と、短期的な視点から見た業績評価に基づく教員評価制度の実施は、現在進められている「改革」が、市の財政からの大学の完全な切り離し、大学の独立採算制への移行をも視野に入れたものであることを暗示するものであると言えます。人件費を削減できるところまで削減し、かつ授業料を値上げして収支決算が健全になれば、後は大学独自が自らの生き残りを判断すればいい、市としては危機的な状況を警告し、事前にやるべきことはすべてやったということを横浜市側が考えていないとは断言できません。事実、大学の「改革」に携わった横浜市側の責任者の多くは「改革」の方向性がある程度決まったと判断した後、別の部局に異動してしまっています。
 わざわざ現市長のことばを借りるまでもなく、大学が旧態依然のまま競争の時代を生き残ることができる可能性が少ないことは、現場にいる教員の方が実感を通してよく理解していることです。大学が変わっていくことはしたがって必要ですが、問題なのは、現在進行している「改革」が始められるにいたったプロセスとその「改革」の内容です。あらかじめ枠を嵌めておいた上で教員側に主導権があるように見せかけて教員に作案作業をさせ、そのようにしてできた教員側の案の内容を「イイトコ取り」し、時には全く無視して、教員が当局側に協力した事実だけを誇張し、あたかも大学が一丸となって改革をおこなっているように公表すること、政治・行政のディスタンクティヴなアリバイ作りのために、「何よりも市民のため」、「ナンバーワンよりオンリーワン」などのプロパガンダを反復して唱え、長期的なヴィジョンを全く欠いた短期的結果優先主義を「改革」の内容の格子に据えて、それを「教員とともに大学が一丸となって」実践すること、そのようなことが2002年度以降非常にラディカルなやり方でおこなわれてきました。
 「批判的な知」の実践者である大学人が、そのような一方的な「上からの改革」を許すわけにはいきません。自らをも律する大学人として「批判的な知」を行使して、現在も進行している「改革」の矛盾点を明らかにすること、そして、長期的なヴィジョンに立って我々自身の力で大学を大学として再構築していくこと、そのようなことが大学の生き残りのためには必要です。真に「市民が誇りうる、市民に貢献する大学」とは、政治家の任期中に結果を出せる大学でも、中期目標・中期計画的な枠組みの中だけで結果を出せる大学でもありません。今後20年あるいは30年以上先も「批判的な知」を展開・伝達・発信し続けることができるような大学、次世代の横浜市民も誇ることができる大学、そのような大学こそが、真に「横浜市が有する意義ある大学」です。そのような大学を実現するためには、何よりもまず長期的なヴィジョンに立った大学を再構築できる場を教員の手中に回復することが必要です。そのような場が回復できれば、それは結果的に研究・教育・診療者としての我々の仕事、そして生活を守ることに繋がります。
微力ですが、そのような視点から組合員のみなさんのお力になれればと考えています。よろしくお願いいたします。

*本文で言及した大学「改革」の経緯に関する行政文書は、一部散逸しているようですが、横浜市立大学の公式の旧HP(2006年8月3日時点)から引用しました。URLは以下のとおりです。
http://www.yokohama-cu.ac.jp/ycu_old/daigakukaikaku/daigaku/daigaku_kaikaku/dk00.html


皆様の疑問、意見をお寄せください

8月3日付のメール

 本日8月3日、大学当局より教員組合に対し、教員評価制度に関する同プロジェクトでの検討状況につき、別添(添付ファイル)の通りの資料を示しながら、説明がありました。
 当局の説明によれば、資料に示されている内容すべてが確定したものではなく、まだ今後の修正もありうる、途中段階のものであるとのことです。
 また、われわれ教員組合としても、今回はあくまで当局の状況説明を受けただけであり、その内容に関しては何ら了解を与えたものではありません。今後精査を進める中で、疑問点・問題点等をあらためて当局に質していくことになります。
 以上のような状況の中でのものではありますが、ことの重要性に鑑み、まずは組合員の皆様に情報としてお知らせいたします。
 ここで示されているものは決して確定したものではないという、上記の事情を十分にお含み置きいただきながら、宜しくご判読頂ければ幸いです。
 なお別添資料はZIPファイルに圧縮してあります。一度、デスクトップなどに保存し、ダブル・クリックをすれば解凍できると思います。

横浜市立大学教員組合

上記に関して、教員組合に皆様の疑問、意見をお寄せください。


以上


教員組合に皆様の声をお寄せください


発行 横浜市立大学教員組合執行委員会


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