パーティ問題 (1)横浜市政 揺らぐ信頼 町田市長略式起訴、(2)求められる市長の説明責任 『東京新聞』神奈川(2006.8.9)

 

 

(1)横浜市政 揺らぐ信頼 町田市長略式起訴 『東京新聞』神奈川(2006.8.9)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20060809/lcl_____kgw_____000.shtml 

 

横浜市政 揺らぐ信頼 町田市長略式起訴 『東京新聞』神奈川(2006.8.9)

 

 東京都町田市の石阪丈一市長(59)=前横浜市港北区長=の政治資金パーティー事件で、石阪市長らが政治資金規正法違反(公務員の地位利用)罪で略式起訴された八日、中田宏横浜市長が急きょ記者会見し、あらためて謝罪した。しかし副市長ら市幹部らが資金集めパーティーの発起人に名を連ね、中田市長本人も出席するなど、道義的責任が厳しく問われており、市民からは市政に対する不信の声も。今後、発表される市の内部調査結果や処分内容などが注目される。 (町田市長パーティー事件取材班)

 

 ■中田市長

 

 以前から「夏休みを返上して私の口から説明しなければならないことについては対応する」と話していた中田市長。この日は書類整理をしていたが、一報を受け、午後四時前、市役所に登庁し、臨時の会見に臨んだ。

 

 会見後、局長や区長らを集め、職員に対する庁内放送を行ったが、集まった市幹部らは一様に硬い表情。市長は「市民に接する最前線の職場で、肩身の狭い思いをさせてしまった職員におわびいたします。処分は市民の誰が見ても納得できるような内容にするつもりです」などと呼びかけた。

 

 ■横浜市民

 

 同事件では、市長を含め市職員二百二十一人が警察の事情聴取を受け、市役所が捜索されるなど、市政への信頼は大きく揺らぎ、市民の反応も厳しいものとなった。

 

 公務員を目指しているという横浜市都筑区の大学三年女性(22)は「公務員として最低限必要な法知識がなかったことが信じられない。そういう人たちに市政を任せていていいのか不安です」。同市緑区の会社員男性(45)は「中田市長はパーティーに参加しただけと言っているけど、本当にそうなのか。あれだけの人数がかかわっていると、市長が何か言ったのではないか」と不信感をあらわにした。

 

 また同市中区の会社員女性(30)は「市長には市役所の風土を率先して変えてもらいたい。期待したからこそ、投票したんだから」と話した。

 

 ■横浜市議

 

 十日には市議会の調査特別委員会で市の内部調査の結果が報告されるが、委員の荒木由美子市議(共産)は「起訴は当然だが、北薗義広前室長一人でできる話ではない。横浜市側の総括責任者は誰だったのか。十日の報告でその点が明らかにならなければ、納得できない」と話した。

 

 同じく委員の石上恵子市議(ネットワーク横浜)は「市役所の体質や風土のせいにするのは人ごとになる。組織の権力構造にまで切り込んで変えていかないと、同じようなことがまた起きるのではないか」と懸念した。

 

 委員の大滝正雄市議(公明)は「市役所で何があったのかはっきりさせなければ、市民も職員も納得できない。市長には道義的に大きな責任がある。(略式起訴という)結果はこれで本当によかったのか。検証していきたい」と話した。

 

(写真説明) 庁内放送で職員に呼びかける中田市長=横浜市役所で

 

 

(2)求められる市長の説明責任 『東京新聞』神奈川(2006.8.9)

http://www.tokyo-np.co.jp/00/kgw/20060809/lcl_____kgw_____001.shtml 

 

求められる市長の説明責任 『東京新聞』神奈川(2006.8.9)

 

<解説>

 

 横浜市の関係者で略式起訴されたのは北薗義広・前市長室長だけだが、市長をはじめ幹部が軒並み名を連ねたパーティーが原因で、市政を混乱させた責任は重い。

 

 本来、不祥事を起こした局区長以下の処分を決めるのは分限懲戒審査委員会だが、メンバー全員が事件に関与していたため、“機能不全”状態に陥っている。審査メンバーの選考から、やり直さなければならない状況そのものが、事態の深刻さを物語っている。

 

 加えて首長に関しては懲戒処分の規定がなく、副市長や収入役といった特別職も地方公務員法上の懲戒処分の対象ではないため、委員会で処分が決定されることはない。前例に従えば、自ら給与を返上するといった形で責任を明らかにするほかないという。

 

 内部調査の報告時期は二度にわたり「先送り」され、結局、十日の市議会委員会での審議を経て、ようやく処分内容とも公表される見込みだ。

 

 中田市長はこの日、会見などで「自分たちだけの満足で処分してもいけない」「処分は誰が見ても納得できるような内容にする」と強調した。その言葉通り、市民が納得できる内容と十分な説明が求められている。 (木村留美)