「教員評価制度案に関する質問書を当局に手交しました」 横浜市立大学教員組合週報 組合ウィークリー(2006.8.16)

 

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横浜市立大学教員組合週報

組合ウィークリー

2006.8.15

  もくじ

●教員評価制度案に関する質問書を当局に手交しました


教員評価制度案に関する質問書を当局に手交しました

 8月15日(火)の午後、当局と折衝をおこない、以下のとおりの質問書を手交して、文書にての回答を求めましたので、組合員皆様にお知らせいたします。折衝ではあわせて、拙速な実施を控えるべき旨を重ねて当局側に伝えました。
 評価制度に関する問題点は、今回の事項だけに留まるものではありませんので、今後必要に応じさらに質問をおこない、説明を求めていく予定です。
なお、今回の質問に対する当局の回答は、回答文が示され次第、速やかにお知らせいたします。

2006年8月15日

横浜市立大学教員組合

 

教員評価制度に関する質問事項


 去る8月3日の折衝における、教員評価制度に関する資料(「公立大学法人横浜市立大学の教員評価」(以下、「評価制度案」とする)等)の手交および口頭での説明を受け、下記の事項について質問しますので、文書での回答をお願いします。なお、回答は9月1日までにお願いします。

− 記 −

1.       評価制度と学問の自由の保障との関係について

·         「評価制度案」は学問の発展・蓄積に貢献すべき社会的存在たる大学の使命について明確にしておらず、この使命を果たす上で不可欠な憲法上の理念たる「学問の自由」を具体的に担保するあり方を明記していない。逆に、知的ユニバースの一員としての社会的責務を果たすべき教員の研究について「学長、学部長の立てた目標にもとづく」としており、さらに、具体的手続きにおいても、コース長等の評価者との面談における確認を要求し、目標変更に関しても同様の手続きを想定している。これらは制度上、「学問の自由」を侵害するおそれのある内容となっている。「学問の自由」を担保する制度上の保障はどこにあるのか、説明を求める。

 

2.       評価制度の内容について

2-1 評価対象について

·         評価対象となる事項については、被評価者としての各教員が自ら責任を負うことが可能な事項に限定される必要がある。しかしながら制度案で提示されている事項の中には、それに反する事項も存在する。例えば担当科目の受講者数はカリキュラム編成の如何に影響されるし、入試委員等の学内業務は各教員が主体的に決められるものではない。こうした個々の教員の権限の及ばない事項について評価の対象とすることは適切でない。こうした点につきどのように考えているのか、説明を求める。

2-2 目標の設定について

·         2-2-1 「評価制度案」においては、教員が学長、学部長等の指示をふまえて教育・研究・診療・地域(社会)貢献・学内業務に関する目標を設定し、期末に自己評価することとされている。各教員はこれまで自主的に、大学人として目指すべき理想と現実的な計画実現性とを勘案して目標設定を実施してきており、その具体的なあり様は個性に富んでいて多様である。また本来、目標とは、ある程度高いところに設定するものであり、「目標を大きく上回る」(A評価)ということは一般的には考えにくい。そこから、A評価を得ようとして、目標を意図的に低く設定することに誘導してしまう可能性も排除できない。このように、「評価制度案」は、個々人の目標設定の仕方に不自然な要素を持ち込ませるだけでなく、それが結果として評価の優劣に影響を与えてしまうという問題点がある。さらにこれは、大学教員の知的営為に悪影響を及ぼすおそれが強い。この制度上の問題点についてどのように考えているのか、説明を求める。

·         2-2-2 評価目標設定における各項目のウエイトの設定について、教員が評価者から修正を強制されることがあるのか、説明を求める。

2-3 評価の方法について

·         「評価制度案」の「4.評価の視点と評価結果について」の後半部分で言及されている、評価の点数化および総合化が、評価制度の目的として謳われている「教員一人ひとりの恒常的能力向上」とどのように結びつくのか、具体的な説明を求める。

2-4 評価の公正性について

·         2-4-1 「評価制度案」において、評価の公正性はどのように担保されているのか。例えば、一次評価者・二次評価者が各教員の個人評価を相対化する際の基準、異議申し立て制度の有効性、Web上での内容公開の基準、などについて具体的に説明を求める。また、評価作業全般に関する公正性の検証がどのようにおこなわれるのか、説明を求める。

·         2-4-2 評価制度の公正性を担保すべき評価者の研修についてどのように考えているのか、また評価実施者としての適性がどのように担保されているのか、具体的な説明を求める。

·         2-4-3 医学部教員の声によれば、教室を単位とする研究費配分が実施されているため、各教員が教育研究を自主的におこなうための重要な前提条件たる教育研究費の適正な配分が必ずしも実施されていない実態がある。こうした問題点を放置すれば、個々の教員にとって研究の自由の最小限の保障さえも失われてしまう。この状態で個人別評価が実施されることは公正な制度設計とはいえない。こうした点についてどのように考えるのか、説明を求める。

·         2-4-4 長期の病気療養、産前産後休暇、育児・介護休業などの必要が生じた場合、そのことが直ちに不利な評価結果につながるべきではないと考える。このことがどのように担保されるのか、具体的な説明を求める。

3.       人事処遇との関係について

·         3-1 評価制度の目的について、「評価制度案」は「大学全体の教育・研究を活性化し、教員一人ひとりが常に能力向上を図る」としている。一方、大学当局は教員評価を反映させた処遇制度についても団体交渉の場などで正式に言及してきた。このことは教員評価制度と教員処遇が連動していることを意味しているものであり、したがって、処遇への反映のさせ方をどのようにおこなうのかについての協議・交渉と切り離して、評価制度を論じることはできない。この点の確認を求める。

·         3-2 仮に、評価を賃金水準や再任の可否などの処遇と連動させるというのであれば、教員の職務内容について評価の対象となる事柄が、適切かつ公正に設定にされねばならない。適切とは、教員それぞれの職務特性を反映させたという意味であり、公正とは、職務特性の差異が不利な評価とこれに基づく不利益な処遇をもたらさない、という意味である。この原則の確認を求める。

4.       教員評価制度の導入手続きについて

·         4-1 「評価制度案」においては、教育に関する事項が評価対象の一つとされている。教育に関する重要事項は教授会の管掌事項であるが、本件に関する教授会での審議または説明についてどのように考えているのか、説明を求める。

·         4-2 「評価制度案」は1年の期間で実施することを想定するものであるので、その試行期間も、少なくとも実際のタイムスケジュールに合わせた、同等の期間を設定する必要がある。この点の確認を求める。また仮に、その必要はないとするのであれば、その論拠について明確な説明を求める。

·         4-3 評価制度実施に至る手続きに関して明確な説明を求める。すなわち、試行結果についての検討方法、試行を踏まえた手直しの手順、それが教員および教員組合に提示される手順、処遇への反映に関する手続き等について具体的な説明を求める。

5.       総括的質問

·         総じて、このような煩雑な制度を導入・運用することによって、結果的に「評価のための評価」に陥る、本末転倒といった事態も十分に予想される。このような評価制度を実施する現実的効果について説明を求める。

以上


以上


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発行 横浜市立大学教員組合執行委員会


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