小泉首相靖国参拝 米国から批判 プリンストン大教授 改憲志向は矛盾拡大 「しんぶん赤旗」(2006.8.19)

 

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2006年8月19日(土)「しんぶん赤旗」

小泉首相靖国参拝 米国から批判

プリンストン大教授

改憲志向は矛盾拡大


 【ワシントン=鎌塚由美】米プリンストン大学のジョン・アイケンベリー教授(国際関係論)は十七日付のワシントン・ポスト紙に寄稿し、小泉首相の靖国神社参拝は日本がアジア地域で指導力を発揮するのを妨げてきたとし、次期首相は参拝をやめるべきだと主張しました。

 同教授は、日本が抱える「深刻な地政学的問題は日増しに米国の問題ともなっている」と指摘。根本問題は、中韓両国が抱く日本軍国主義の過去への疑念を日本が払しょくしきれていないことだと述べ、ドイツが第二次大戦後に近隣国と積極的に協力して歴史問題を克服したことを手本にすべきだと強調しました。

 「日本の歴史問題の最も目に見える兆候」が小泉首相の靖国参拝だと述べた同教授は、「米国が日本に『普通の国』になるよう促していることが、事態を複雑にしている」と指摘。アーミテージ報告を例に、「ワシントンの戦略家が、日本を米国の『東の英国』、米国と肩を組んで世界中に展開できる軍事的能力を持った同盟国にすることを展望」してきたことにも言及しました。

 同教授は、「『普通の国となること』と『歴史的和解』は相反して機能している」と指摘。なぜなら、「普通の国」は憲法改正で新たな軍事的能力を持つことを必要とする一方、「歴史的和解」には、謝罪の象徴的な態度表明および自制と平和を志向する取り組みの倍加が必要だからだと述べました。

 同教授は、小泉首相の退任が「日本と米国が政策を再考すべき機会となるだろう」とし、首相が靖国神社に参拝しない「名誉ある道」を日本自身が見つけなくてはならないと述べました。

 今後の日米同盟の在り方については、世界中に軍事力を展開することを想定した米英同盟型を志向すれば「アジア地域の対立を激化させる」と懸念を表明。米政府に対し、日中韓などによるアジアの新秩序形成を支援するよう求めました。