「日の丸・君が代強制は違憲・違法」の判決に従え! 『はじめ通信らびっど』より(2006.9.26)

 

曽根はじめ氏(日本共産党東京都議会議員)ホームページ

http://www.kitanet.ne.jp/~sone/index.html

http://www5f.biglobe.ne.jp/~s1952328/sone/hata6-926.html

 

 

【抜粋】二〇〇六年都議会第三回定例会 代表質問

 ・・・九月二一日、東京地方裁判所において、都教委が出した通達と命令で、卒業式や入学式などで、日の丸に向かって起立し、君が代をうたう義務はないこと。起立・斉唱などをしないことを理由にいかなる処分もしてはならないという画期的な判決が出ました。

 判決は、日の丸・君が代強制問題についての都側の言い分をことごとくしりぞけています。第一が、強制が憲法に違反するという指摘です。都教委の通達は起立・斉唱などの行動を命じたのであって、内心まで制約するものではない、思想、良心の自由は侵害していないと主張していました。しかし、判決では、〃人の内心は行動と切り離せない〃として、これをしりぞけ、〃思想、良心の自由を侵害している〃と違憲の判断を下したのです。

 第二に、教育基本法に違反するという指摘です。すなわち通達と指導は各学校の裁量をほとんど認めず、「教育の自主性を侵害」するもので、行政による教育への不当な介入を禁じた教育基本法第十条に違反すると明確に述べています。

 第三に、通達の唯一の根拠にしていた学習指導要領からも逸脱するという指摘です。判決は、学習指導要領は、大綱的基準を定めるものであって、学習指導要領の国旗・国歌条項をもって、教職員に起立・斉唱の義務までは課すことができないと、これも明確な判断を示しています。

 石原知事と都教委は、判決を受け入れ、控訴することなく、違憲・違法な通達や処分をただちに撤回し、関係者に深く謝罪すべきです。知事と教育長の見解を求めます。

 重大なことは、都教委は都立学校校長連絡会を判決の翌日緊急に招集し、控訴する考えと従来通りの方針で臨むことを表明したことです。

 また同日の記者会見で石原知事は、「指導要領で言われれば、教師は生徒に範をたれる義務があるし、義務を怠れば懲戒を受けるのは当たり前」と発言しました。まさに今回の判決は、まさにそれが行き過ぎた措置であり、強制そのものだとして全面的に否定したのです。およそ判決文をまともに読んでいるとは思えないあまりにも不遜な対応といわなければなりません。

 司法が通達と職務命令に基づく処分について、違憲、違法と断じ、いかなる処分もしてはならないと判決を下しているのです。たとえ、知事や都教委が異なる意見を持っているとしても、その重みをかみしめ、少なくとも強制と処分を中止し、再検討すべきではありませんか。見解を求めます。

 そもそも、知事は第二回定例会のわが党の代表質問に対し「学習指導要領の中に、国旗は日の丸とする、国歌は君が代とするというきちっとした規定がある」と、明らかに誤った答弁をしています。知事がこんな認識しかないから、東京の教育行政のゆがみがふきだしているのではありませんか。

 知事、学習指導要領のどこに日の丸・君が代を国旗・国歌とするという規定があるのですか。お答えください。再質問を留保し、質問を終わります。

 

●代表質問への知事や局長の答弁(要約メモ)

・・・<5>日の丸・君が代

@(知事)判決は不当なものであり、控訴することは当然である。この判決で喜んでいるのは、共産党と日教組の残党と当の裁判官ぐらいだろう。

 公務員は法令に従う義務があり、まして教員は、法令に基づく学習指導要領により、児童・生徒を指導する義務がある。

@(教育長)b学校における国旗国歌の指導は、学習指導要領に基づき、児童・生徒にわが国の国旗・国歌の意義を理解させ、それを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重する態度を育てるために行っている。

 通達は、学習指導要領に基づき、卒業式・入学式等を適正に実施するよう校長に発出したものである。

 また、懲戒処分は、校長の権限に基づく職務命令に反する行為があったため、地方公務員法により行ったものである。

 通達や処分を撤回する考えはない。この判決に対しては、高裁に控訴し、と脅威として主張の正当性を訴えていく。

A(教育長)判決後の再検討についてであるが、教員は、教育公務員として、法令や学習指導要領に基づき、国旗・国歌について指導を行う責務がある。

 教員が校長の職務命令に反した場合は、今後も毅然とした対処をしていく。

 これまでの国旗・国歌の指導に関する都教委の取組みを再検討する考えはない。

B(教育長)国旗・国歌の規定について、

 小学校学習指導要領の音楽に、「国歌『君が代』は、いずれの学年においても指導すること」とある。

 小学校学習指導要領の社会の解説には、「『日章旗』が国旗であり、『君が代』が国歌である」という記述がある。

 なお、国旗・国歌については、国旗および国歌に関する法律に定められている。

 

●曽根はじめ都議の再質問(大要メモ)

・・・2問目は、知事の「学習指導要領の中に、国旗は日の丸とする、国歌は君が代とするというきちっとした規定がある」という発言についてです。

 学習指導要領が全ての法の上にあるかのような認識で、日の丸・君が代を強制されたら教師や生徒はたまりません。

 教育長は、これが国旗国家法の規定であると認め、事実上訂正せざるを得ませんでした。知事、あなたの間違い答弁を正すよう求めた質問し、どうして他の人に答えさせるのですか。

 知事の発言なのですから、自分で答弁してください。

 なお、教育長は、知事の間違いをごまかすために、学習指導要領の解説書を持ち出しました。

 しかし、これまであなた方は「解説書は指導要領ではない」と言っていたじゃないですか。解説書を持ち出すなら、解説書の別の場所で、学校行事などでの日の丸・君が代の扱いは、各学校が判断するのが適当であると書いてあります。この通りにすべきですよ。

 ご都合主義のごまかしを重ねるやり方は、教育に責任を持つ者がやってはならないことを指摘しておきます。

 知事、都政の最高責任者としての自負と誇りがあるなら、ちゃんと自分で答えてください。このことを申し上げて、再質問とします。

 

再質問への答弁は、知事が立ってこなかったため議場が紛糾し、生活文化局長と教育長の答弁が聞き取りにくく、後に掲載します。