「意見広告の会」ニュース387(2006.12.17) (1)教育基本法「改正」情報センター代表 声明、(2)都立七生養護学校 第6回口頭弁論、(3)「『新しい歴史教科書』の読み方―国の物語を超えて―」賛同のお願い
「意見広告の会」ニュース387
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** 目次 **
1 教育基本法「改正」情報センター代表 声明
佐貫 浩
2 都立七生養護学校 第6回口頭弁論
「ここから裁判」支援全国連 事務局長 小林 和
3 「『新しい歴史教科書』の読み方―国の物語を超えて―」賛同のお願い
ひらかれた歴史教育の会・編
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1 教育基本法「改正」情報センター代表 声明
佐貫 浩
新たな見通しの下に確信を持って進もう
ついに教基法「改正」が強行された。歴史を逆転させるかのような暴挙であり、時代
錯誤というほか無い。しかし、そうであるからには、その暴挙の張本人は、必ず歴史に
逆行する暴挙を遂行した謀反人として、歴史に記録を残すことになるだろう。
人類は、長い苦闘を経て、国民を翻弄してきた国家の絶対性、神秘性を打ち破り、日
本においては天皇制という国民の精神を支配した幻想を打ち破り、民衆(people)こそ
が国家を作る主体であり、そのためには、民衆が、精神の自由、表現の自由、精神の自
律性を確立しなければならないという認識を勝ち取ってきた。国民が国家を規定し、創
出するのが国民主権国家の論理であり、それに反して国家が国民を「教育」し「教化」
することの恐ろしさとおぞましさを、300万人の日本人の死と、二〇〇〇万人のアジ
アの民衆の殺害という、異様な結果を目の前にして、心に刻んだはずであった。にもか
かわらず、国家が、国民たるに相応しい「資質」を決めて、そのために教育を行うこと
が「教育の目標」だとし、そのための「教育新興基本計画」を思うままにプログラムし
、そのパフォーマンスを競わせる仕組みを「金」と「評価」と「処罰」によって作ろう
という新「教育基本法」を出現させてしまった。
しかし、日本国憲法は、そういう「改正」教基法の論理を正当化する論理を持っては
いない。現行教育基本法(1947年教基法と呼ぼう)の論理は、現行憲法の精神を教
育のあり方に結晶したものであり、憲法は今もなお、今国会で「廃棄」を決定された1
947年教育基本法の論理を、現実的で、かつ今日の日本の教育法体系において、リア
リティ−のある法論理として、押し出し続けている。だから、「改正」教基法は、この
日本国憲法の論理を踏まえなければ、その法としての力を実現することはできないとい
う矛盾に、その誕生と同時に、直面しなければならない。
しかしそのためには、1947年制定の、そして今日まで私たちにとって空気のよう
に存在してきた教育基本法とは何であったのか、どういう論理と価値の結晶であったの
かを、なぜその剥奪をこんなにも怒らなければならないものであったのかを、今こそ、
一人一人のなかに、刻み込まなければならない。今こそ1947年教育基本法を学び直
さなければならない時だ。1947年教育基本法を、どれだけ一人一人の頭脳と精神の
中に鮮明に刻み込み、一人一人の教育に向かう論理と行動を意識化する内なる法典たら
しめることができるか、今そのことが問われている。
同時に、私たちに、より切実な課題として、日本国憲法の改正を許さないというたた
かいが、提起されている。教育基本法「改正」阻止のたたかいによって繋がれた連帯を
、さらに広げ、日本の民主主義を、今日の歴史的課題を遂行するに相応しい水準へと押
し上げることが求められている。それは、グローバル化のなかで、人間が人間らしく生
きていく権利が、突然に取り払われたかと思えるような事態の中で、もう一度、人間ら
しく生きたいという人びとの願いを深くつなぎ合わせるたたかいに繋がっている。
そのような願いが、今日本中に広がりつつあることに確信を持って、新たなたたかい
へと歩みを進めよう。
2006年12月15日
教育基本法「改正」情報センター代表 佐貫 浩
2 都立七生養護学校
教育基本法「改正」が参議院を通過しました。強い憤りを覚えます。しかし、「教育」
の営みの真実は変えることができません。真実の姿を世に問い続けることを通して、新
教育基本法の危険性を抑え込むことが次の課題になることでしょう。
その意味で、七生養護学校「こころとからだの学習」裁判は、注目に値する裁判です。
形式的には、損害を受けた時点での法律によって裁判は行われますので全く問題はあり
ませんが、「改正」による旧法解釈にへの影響はまぬがれません。裁判をとりまく世論
状況が帰趨を決めます。
みなさまのご注目、ご支援をぜひともお願いいたします。
「ここから裁判」支援全国連 事務局長 小林 和
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都立七生養護学校「こころとからだの学習」裁判が証人調べに入ります
<七生養護学校事件>
2003年の都議会本会議で、土屋たかゆき議員が、都立養護学校での性教育と都立学校で
の日の丸・君が代の扱いについて質問しました。違憲違法と東京地裁で判決された「1
0・23」通達はこれに端を発します。
他方、養護学校での性教育は、保護者の支援のもとで学校挙げてすすめられていた七
生養護学校の「こころとからだの学習」が標的にされました。事件の経過については、
「こころとからだの学習」裁判を支援する全国連絡会のホームページ
http://kokokara.org/
をご参照ください。
<ここから裁判>
七生福祉園と連携している同校では、親元から離れて暮らさざるをえない過酷な生育
歴をもつ生徒を含む知的障害児に、被害者にも加害者にもさせない、生まれてきて良か
ったと思える自分を育てようという目標で、性教育を含む教育プログラム「こころとか
らだの学習」が7年間に亘って積み重ねられてきました。この教育課程が「とんでもな
い」とされ、教員への厳重注意、都教委による年間指導計画の押しつけ、人事異動によ
る関係教員の「追放」、産経新聞による「過激性教育」キャンペーン、などによって木
っ端微塵に壊されてしまいました。
このままでは黙っていられない、と2005年5月、教員と保護者が石原知事・都教委・3
人の都議・産経新聞を相手取って、教材返還、精神的損害の賠償などを求めて民事訴訟
を起こしました。原告はその後増え31人になっています。
これまで5回の口頭弁論が行われました。1教員の教育実践が対象ではなく校長を含む
学校と保護者の協力で作り上げてきた共同作品とも言うべき教育課程の破壊を許さない
、という裁判です。今日の「もっとも教育裁判らしい教育裁判」として、ご注目、ご支
援ください。
<半年の間を置いて12月に第6回口頭弁論>
多数の原告・被告、新しい争点の整理で、6月の第5回口頭弁論から半年間にわたり「
進行協議」が続けられ、いよいよ証人調べの段階に入る第6回口頭弁論が下記のように
開かれます。原告支援の傍聴をこころから訴えます。
●日時:12月20日(水)11:00開廷 12:00閉廷(予定)
●場所:東京地方裁判所(地下鉄「霞ヶ関」) 法廷は、当日裁判所正門前で支援全国
連のメンバーが案内します。
●報告集会:原告・弁護団からの挨拶と、裁判の報告の集いを行います。裁判終了後直
ちに虎ノ門交差点「オカモトヤ ビル」集会室です。ここで裁判の内容がはっきりわか
ります。
連絡先:tel 042-587-3590 日野市民法律事務所気付 「ここから裁判」全国連
3 「『新しい歴史教科書』の読み方―国の物語を超えて―」賛同のお願い
ひらかれた歴史教育の会・編
みなさまへ
「つくる会」教科書を採択された杉並区の研究者・教員・市民が解毒剤的参考書作りに
取り組んでいます。古代篇及び、中・近世篇は冊子として、現在も学習会などに活用し
ています。
これに、近・現代篇を加え1冊の本として2007年3月に発行の運びとなりました。
事前に賛同をいただいた方には、3月に出版された本をお送りします。
この本は、1単元ごとに、「扶桑社版歴史教科書」を検討、批判し、さらに現在の歴史
学の成果を
盛り込んだ、通史となっています。
ぜひご活用ください。
賛同振込み用紙つきのチラシもぜひ配布ご協力ください。
チラシお申込みは、山本直美@ひらかれた歴史教育の会事務局 y_naosan@yahoo.co.jp
までお願いします。
■■「歴史は物語だ」とする『新しい歴史教科書』で,■■■
中学生たちが「国の物語」を教えられている。
だから,杉並に暮らす私たちは,この本を作るのです。
◆出版へのご賛同をお願いします!◆
ひらかれた歴史教育の会・編
『新しい歴史教科書』の読み方―国の物語を超えて―
A5判 並製 300ページ(予定)
2007年3月刊行(予定)
■賛同金=1口:2,000円
◎ご賛同いただいた方には,07年3月,出来上がった本をお送りします。
◎郵便振替 口座番号 00140-4-261400
加入者名 ひらかれた歴史教育の会
★解毒作用100% 実践的に使えます!★
≪この本の特徴≫
1,『新しい歴史教科書』(扶桑社)の全編について、
単元・コラムに即し第一線の歴史研究者・現場の教師が,問題点を指摘し対置する
。
2,ツボを押さえたわかりやすい解説で,授業づくりの参考書として役立つ。
3,最新の歴史研究の成果が盛り込まれ,
この1冊で最新の日本通史を学ぶことができる。
【発行元】青木書店
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町1-60
電話03-3219-2341 FAX03-3219-2585
URL: http://www.aokishoten.co.jp
<編者紹介>
ひらかれた歴史教育の会
『新しい歴史教科書』(扶桑社)が採択された杉並区の,歴史研究者・教師・市民らが
,そこで描かれた独善的な歴史観を批判し,教育を世界と市民,とりわけ子どもたちの
未来に開かれたものにするために立ち上げた運動体。2005年12月に発足。代表:中村平
治(東京外国語大学名誉教授),副代表:服藤早苗(埼玉学園大学)・趙景達(千葉大
学)
事務局:y_naosan@yahoo.co.jp
★執筆者は以下の東京歴史科学研究会のサイトに掲示しています。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/trk/undo.html#shuppan