横浜市立大学、評価制度に関する組合員からの投稿 『横浜市立大学教員組合週報 組合ウイークリー』より(2007.7.6)

 

 

評価制度に関する組合員からの投稿

 

教員評価制度に関して、組合員からの意見がありましたので、以下に掲載いたします。

 

 

---------一教員より---------

 

教員評価制度の実施にかかわって6月29日に以下のような質問を教員評価委員会宛に出しました。教員評価のあり方を考えるうえで組合員の皆様にも参考になるかと思い、組合ニュースへの投稿といたしました。

 

 今回行われている評価制度が未完成のものであり、制度実施に当たっての適正手続きの点でも要件を欠いていることをふまえ、さまざまなアプローチで教員の要求をあげてゆく必要があると思います。

 

 

1 評価制度の考え方について

 

 教員評価は、「教員の能力向上と大学の各種活動の質の向上に資することを目的」(教員評価規程1条)だとしています。この目的を達成するために教員評価システムが適切に設計されているかどうか疑問があります。というのも、個々の教員にたいする評価に相対評価、比較評価(相対評価として位置づけられていなくとも、相対比較が事実上入りこんでいる評価を指しておきます)が想定されているからです。

 

 相対評価は、個々の教員が比較優位なポジションを維持するよう動機づけます。つまり、自らの評価を維持・上昇させるためには、他の教員の評価をそれ以上に上昇させないことが重要な条件になります。他者の評価ポジションを上げるような試み、活動に消極的となるような制度効果が本質的につきまとう、ということです。こうした逆機能は教員個人間でも生じるし、セクション間でも生じえます。成果主義管理の欠陥としてすでに常識となりつつあるこのような現象は、教員個人の評価を向上させる動機づけが大学全体の「質の向上」を妨げる深刻な危険をもたらすのではと推測します。

 

 そこでご質問です。

 

 @このような危険は「ありえない」とお考えでしょうか。それとも「ありうる」とお考えでしょうか。

 

 A「ありえない」とお考えの場合、なぜありえないのか、根拠をお教えください。とりわけ制度上でそうした事態が生じない具体的な根拠はどこにあるかお教えください。

 

 B「ありうる」とお考えの場合、そうした可能性があるにもかかわらず相対評価を行う理由についてお教え下さい

 

2 「職務の選択」可能性が確保されていない事項を評価項目例にふくめているのはおかしいと思われます。

 

 成績主義管理における査定(評価)の導入にさいし、「職務選択」の機会を保障すべきことは、労働法理上から、適正な制度設計の条件と考えられています。この点からみて、講義コマ数、学内業務の委員、入試業務等、選択の自由を持たない事項が評価項目とされているのは不適切です。この点についてのお考えをお知らせ下さい。

 

3 たとえば、「担任の担当学生数」が評価項目例にありますが、受講学生数は年間のあいだに変動し、後期については目標に記入できません。同一条件でのデータをそろえることが不可能な項目を評価対象にすることは不適切と考えますが、いかがでしょうか。

 

4 目標の修正について

 

 評価者に目標の修正要求があると聞いております。その場合の修正要求が成績主義管理における適正手続き要件のどのような制度根拠にもとづいているのかうかがいます。たとえば、「これこれの項目を加えて欲しい」という場合、項目として挙げられるべき評価要素についての、(a)合理的根拠が存在し、(b)かつ、そうした根拠と評価要素が教員に周知されなければなりません。

 

 評価者には修正要求等を行うさいの評価要素が示されているのかについてもお教え下さい。

 

5 SDシートの公開について

 

 教員評価規程では教員間で原則公開としていますが、NPO等の活動については当該団体の方針決定時期等の事情から、個人の目標設定に記入した場合、民主主義的手続き上での問題が生じる場合もありえます。記入の有無が評価を左右する以上、このようなケースの扱いについての考え方が必要と思いますが、お考えをお知らせ下さい。

 

6 評価が恣意的に行われてならないのは当然ですが、評価者による「公正評価義務」を担保するために、評価基準の明示、異議申し立て手続きの明示等(細目ではさらに多くの事項が存在します)が「適正手続き」として要求されます。試行ならばともかく、これらが示されぬまま評価を行うことは、適正手続き要件を欠くものであり、それ自体が評価の公正性をそこなうものです。SDシートに記入した目標の評価は、それらの要件をそなえたうえで行うべきと考えますが、この点についてのお考えをお知らせ下さい。

 

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教員組合に皆様の声をお寄せください

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