“ワイセツ合コン横浜市長”ハレンチ徹底追及第2弾 中田宏氏の「公金横領疑惑」と「黒い人脈」 本誌前号「性器に指入れ」報道を「捏造」で「提訴」とは笑止  『週刊現代2007年11月17日号』

 

 

“ワイセツ合コン横浜市長”ハレンチ徹底追及第2弾 中田宏氏の「公金横領疑惑」と「黒い人脈」 本誌前号「性器に指入れ」報道を「捏造」で「提訴」とは笑止  『週刊現代2007年11月17日号』

 

クリーンで亮る横浜市長と、彼の最大の支援者である市の大物実業家の"ただならぬ関係"を本誌は摑んだ。旧メリケン波止場を舞台に、血税をピンハネしていたのだ。ただ呆れるほかない。青木 理 ジャーナリスト

 

 

Gスポットの奥まで入った二本の指

 

合コンで嫌がる女子学生の性器に指を入れ、それを諌(いさ)める人物は胴喝で押さえ込む――。本誌前号が報じた中田宏(なかだひろし)・横浜市長(43歳)のワイセツ疑惑は、若さとクリーンを売り物に全国区の知名度を誇る中田市長の虚飾を剥ぎ取るものだった。

 ところが中田市長は本誌発売前夜の10月29日午前1時過ぎ、マスコミ各社にいきなりファクスを送りつけて、本誌を「名誉毀損で提訴する」と断言。同日、「出張」と称してアメリカヘと旅立ってしまった。

 だが、実際には中田市長周辺に激しい動揺が走ったようだ。ある支援者が語る。

 「10月30日夜、中田の支援者たちの会合が開かれました。記事の影響で会の幹部全員が急きょ出席し、『中田の政治生命も終わりだ』『また中田がやった。これ以上支援できるかどうか話し合わねばならない』など、これまで溜まりに溜まっていた不満が噴出しました」

 中田市長といえば、衆院議員から転じた02年の横浜市長選で政令指定都市の市長として最年少の37歳で当選。「改革」を訴える政界のホープだ。しかし素顔とのギャップは大きいと太田正孝・横浜市議が語る。

 「クリーンと言われる市長ですが、イメージとは裏腹に地元での評判は芳しくない。数多くの女性問題のほか、これまでもいろいろと"黒い噂"が囁かれていましたから」

 その実態を明らかにする前に、まずは本誌前号記事を簡単におさらいしよう。

 妻子ある中田市長が横浜市内にある看護学校の女子学生Aさん(23歳)らと合コンを行ったのは数年前の夏。場所は山下公園に隣接するホテルのスイートルームだった。横浜中華街の顔役で看護学校の講師も務めていたB氏がセッティングした合コンに参加すると、嫌がる女子学生たちに「王様ゲームをやろう」と持ちかけ、Aさんに「デイープキス」「乳操み」「性器に指入れ」など信じがたいセクハラ行為の数々を強要した。Aさんはこう語っている。

 「中田はキスをしながらクリトリスを触り、その後、(性器の)入り口のところを少し触ったかと思うと、いきなり2本の指を入れ、子宮口までは深くないけれど、Gスポットよりも少し深めに入れてきたんです。私は『奥さんいるんですよね?』と聞いたんですが、中田は『うん!パン屋だから!』と意味不明な返事をしてはぐらかしました」

 さらに、このハレンチ合コンを耳にした横浜市議C氏が最近になって中田市長に苦言を呈したところ、市長サイドは今年3月、前述のB氏とともにC市議を恫喝し、口封じを図ったのだ。C市議はB氏とのこんなやり取りをテープに録音している。

 「おいお前よ〜、分かってんのか?中田は相当怒ってる。今までの事は観念してもうやりませんって約束しろって言ってんだよ!最後のチャンスだよ!」

 結局C市議は、市長の女性関係などを口外しないと約束し、『誓約書』を書かされたという。

 

「度を越したピンハネ」と監査人も指摘

 

 これだけでも市長としての資質を疑うに十分だが、中田市政の病理はさらに根深いところにある。別のベテラン横浜市議が話す。

 「問題の合コンをセットしたBは、中田市長のカネや女など『裏の部分』を担当する側近と言われている。中田市政の裏ではこうした側近や有力支援者らがやりたい放題なんです」

 その一端を示す事例を紹介しよう。舞台は横浜港大さん橋国際客船ターミナル。以前はメリケン波止場と呼ばれた港街・ヨコハマのシンボルである。

 私の手元に「平成18年(2006年)度 横浜市包括外部監査報告書」と題した資料がある。地方自治法に基づき、横浜の弁護士らが中心となった外部監査人が「横浜港の整備運営」と「みなとみらい21地区を中心とする臨海部開発」に関する市の事業の財政支出を監査し、今年1月に横浜市議会議長宛に提出したものだ。いわば、横浜市の港湾行政について、税金の使い方に問題がないかどうか外部からチェックした記録である。

 その中に横浜港大さん橋の国際客船ターミナル管理業務について監査人が「不適切」と断じた事例が明記されている。

 資料によれば、同ターミナルの管理業務は横浜市港湾局から社団法人「横浜港振興協会」に委託され、05年度は清掃管理と緑地管理の業務費として市から同協会に約8600万円が支払われた。しかし、同協会は受託した業務を民間のS社に約3900万円で再委託しているのだ。つまり、同協会は市から請け負った業務をS社に丸投げし、約4700万円もの金額を"ピンハネ"していることになる。市の事業を右から左に移すだけで巨額の利益を得られるのだからずいぶんと"オイシイ話"だが、言うまでもなくこのカネは税金だ。監査に加わった公認会計士の吾妻賢治氏が言う。

 「委託事業を下請けに丸投げして利益を出すこと自体はゼネコンなども行っていることで珍しいことではない。ただ、このケースは利益率が100%以上に達しており、度を越しているので早急に改善すべきだ、と報告しました。この件は市役所内でも問題になっていたそうです」

 なぜこれほどに杜撰(ずさん)な行為が罷(まか)り通ったのか。前出の太田市議が憤って言う。

 「横浜港振興協会の幹部に中田市長と睨懇(じつこん)の人物がいるからです」

 その人物とは、同協会の副会長を務める藤木幸夫氏(77歳)。横浜市中区で港湾関係事業の企業を経営する傍ら、市の関連団体幹部や横浜エフエム放送の社長も務める地元有力者だ。藤木氏自身「尊敬するのは田岡一雄(故人・山口組三代目組長)さん」と暴力団幹部との交友も吹聴しており、「地元のドン」として知られている。太田市議が続ける。

 「振興協会の会長には徳川宗家の現当主・恒孝氏が就任していますが、実際はお飾りに過ぎず、事実上の運営は藤木氏が取り仕切っている。当初は中田市長と距離を取っていた藤木氏だが、今や最有力後援者の一人。市長の政治資金集めにも多大な貢献をしています」

 例えば05年4月26日、横浜・桜木町駅にほど近い横浜ロイヤルパークホテルで開かれた中田市長の政治資金パーティー。発起人に名を連ね「主催者」の肩書で挨拶に立っているのが藤木氏である。中田市長の政治資金収支報告書などによれば、3000人近くが参加したこのパーティーで集めた政治資金は実に4300万円にのぼる。

 「市内の港湾・建設業者に対する藤木氏の影響力は絶大。当然、集票力もハンパなものではありません」(前出・支援者)

 

有力後援者も「中田はノック以下の男だ」

 

そんな藤木氏が「仕切っている」団体が、市の施設の管理業務を市から委託され、民間企業に丸投げして巨利を得ているのだ。中田市政の振る舞いは、有力支援者と一体となって公金を食い物にする行為ではないか。

 藤木氏が横浜市の港湾行政で不明朗な利益を享受している例は他にもある。

 藤木氏の経営する港湾関係の企業『藤木企業』が本牧埠頭内に所有している社員寮の用地使用料についてだ。本来は市に年間1130万円を支払うべき使用料が75%も大幅減免され、実際に支払われているのは280万円ほどに過ぎない。言うまでもなく横浜市が所有する本牧埠頭は市民の財産である。

 これについても前出の監査報告書は「見直しが必要」と指摘している。公認会計士の吾妻氏が呆れて言う。

 「他の自治体では考えられないケースですね。要するに藤木氏の力なのでしようが、あまりに酷(ひど)い」

 しかし、前出のベテラン横浜市議は「外部監査が指摘しているのは中田市政が抱える闇の一端に過ぎない」と指摘し、前出の支援者はこう打ち明ける。

 「看護学校生とのハレンチ合コンをセッティングしたBと中田市長の関係を取り持ったのも藤木氏だと言われている。クリーンを売り物にした中田市長だが、今や完全に藤木氏に取り込まれ、持ちつ持たれつとなって甘い汁を吸っている。市長の周囲には他にも同様の取り巻きがいて、市政を食い物にしているんです」

 こうした数々の疑問について藤木氏を直撃した。

 「田岡のおじさん(一雄組長)から『人に会うまでは悪口を言うな』と教わったが、中田に会ってその意味が分かった。彼は横浜の将来を託すに足る男だ」

 そう語った藤木氏だが、大さん橋の管理費などの問題については「知らない」と言うばかり。また、中田市長側も「お答えできる立場にない」(市秘書部報道担当者)と言うだけだった。

 しかし、もはや有力支援者からもこんな声が出ていることを、中田市長は肝に銘じるべきだろう。

 「中田は(強制猥褻で有罪となった)横山ノック(元大阪府知事)以下の男だ。最後まで取材を続けて中田のクビを取ってください」

 

 

あおき・おさむ ジャーナリスト。66年長野県生まれ。共同通信に入社後、社会部、外信部、ソウル特派員などを経て06年退社。著書に『日本の公安警察』(講談社)、『北朝鮮に潜入せよ』(同)など

 

(写真説明) 公金横領疑惑の舞台となった大さん橋。02年に現在の施設は作られた。横浜を代表する観光名所だ

 

(写真説明) 「指入れ」をしたときとは別の"看護学生合コン"を楽しむ中田市長

 

(写真説明) 10月30日夜、有力支援者が市内の催事場に集合。「中田の政治生命は終わった」などの発言も飛び出したという

 

(図説明) 中田市長と有力後援者・藤木氏をめぐるカネの流れ。もちろんこのカネは税金である