副学長、長女の学位審査 横浜市大 博士号取得、筆頭委員 『東京新聞』夕刊(2008.3.25)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008032502098261.html 

 

副学長、長女の学位審査 横浜市大 博士号取得、筆頭委員

2008年3月25日 夕刊

 博士号学位審査をめぐる医学部長の謝礼授受問題で揺れる横浜市立大学(横浜市金沢区)で、同学部教授の同大副学長(62)が、同大大学院医学研究科に在籍していた長女の博士号学位論文審査で自ら筆頭委員を務めていたことが二十五日、分かった。大学側は、親子間の学位審査を不適切と認めており、学位審査をめぐる不透明な一面がまた一つ浮き彫りになった。

 本紙が入手した資料や複数の関係者の話によると、同研究科に大学院生として在籍していた長女は、二〇〇五年三月二十五日付で博士号学位を取得。論文審査に当たった三人の委員のうち、筆頭委員である主査を父親の副学長が務めていた。

 同大によると、副学長は〇三年四月から〇五年三月まで副学長を務め、〇六年四月に再び副学長に就任。微生物学・分子生体防御学教室の教授を務めている。

 一方、長女は同研究科在籍時に皮膚科学を学んでおり、博士論文のテーマはアトピー性皮膚炎だった。

 副学長は本紙の取材申し込みに、大学を通じて「取材には応じられない」と回答。医学部がある同大福浦キャンパス庶務・学務課は「事実関係については答えられない」とした上で、親が子の学位審査に当たることについて「好ましい対応とは言えない」としている。

 同学部では、嶋田紘学部長(64)が博士号審査の謝礼として複数の教え子らから現金を受けとっていたことが判明。同大コンプライアンス推進委員会が調査を進めており、二十五日にも報告書をまとめる。また、他の教授らにも同様に謝礼を受け取っていた疑いがあり、同大は大学院全体を対象に、金銭授受の有無を含め博士号審査が適正に実施されているかどうかを調査する方針。