横浜市大金銭 授受調査結果 金額や期間など詳細不明 『包み隠さず』程遠く 『東京新聞』神奈川(2003.3.26)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20080326/CK2008032602098436.html 

横浜市大金銭 授受調査結果 金額や期間など詳細不明 『包み隠さず』程遠く

2008年3月26日

報告書について説明する横浜市立大コンプライアンス推進委員会の飯田嘉宏委員長(中)と川島志保委員(左)、岡田公夫副学長(右)=横浜市役所で


 横浜市立大(金沢区)の嶋田紘医学部長(64)による現金授受問題の調査結果を二十五日に公表した同大コンプライアンス推進委員会。しかし、金のやりとりの詳しい内容は全く分からずじまい。大学側は、新設する対策委でさらに調査を進めるとしているが、「事実を包み隠さず公表する」という市の方針からは、大きくかけ離れたままだ。 (中山高志、小川慎一)

 「誰がいつ、いくら、どう払ったということを調査することは、任務としてやっていない」

 横浜市役所で二十五日午後に開かれた記者会見で、推進委委員長代理の岡田公夫副学長が調査結果を発表した。しかし、事実関係は、謝礼授受の存在を認めたのみ。金額や期間など詳細な説明を求めて集まった約三十人の報道陣は、あきれたような表情を浮かべるばかりだった。

 推進委側が嶋田学部長からヒアリングをしたのは、昨年十一月の内部通報以降わずか一回。嶋田学部長の回答内容について、岡田副学長は「嶋田学部長からコメントが出ている以上、ヒアリングの内容を再現してはいけない」と述べ、詳細な説明を拒んだ。

 一方、謝礼金を管理した金融機関口座について尋ねると、岡田副学長は「嶋田学部長のコメントにあったはず」と回答。コメントの中で口座について触れていないことを指摘すると、一転して口ごもり「よく覚えていないが、調査内容について言う立場にない」などと逃げの答えに終始した。

 中田宏市長は今月十二日、「包み隠さず全部調査し、公表する」ことを大学側に指示しているが、これまでは、大学側が中田市長の意向通りに対処しているとは言い難い。

 大学側は、過去の博士号審査に関与した教員や学位申請者を対象に、金銭授受の有無などを調査する対策委を新設。嶋田学部長を含む各教員の金銭授受の詳細を調査、公表する方針だ。

 一方、金銭授受問題の背景について問われた推進委員長の飯田嘉宏・横浜国大学長は「そういう例は昔からあったが、今も残っているということは、倫理観に問題があるのではないか」と指摘した。

横浜市大卒業式 医学部長出席せず

 横浜市大の卒業式が二十五日、横浜市金沢区の金沢八景キャンパス内総合体育館で行われ、学部、大学院、看護短期大学部の学生計八百七十一人に学位記が授与された。
 学位審査をめぐる謝礼授受問題の当事者である嶋田紘医学部長は「心身の疲労」を理由に式を欠席。今月十四日付で部長代理となり、四月から医学部長を務める窪田吉信教授も欠席した。

 式典で、ブルース・ストロナク学長は「人生のあらゆることに打ち勝つ能力を学んだと期待している。それぞれの人生に出発してください」と卒業生に言葉を贈ったが、謝礼授受問題に触れることはなかった。 (小川慎一)