公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 更新雑記(2009年3月12日付)(2009.3.21)

 

 

公立大学という病:横浜市大時代最後の経験 更新雑記(2009年3月12日付)(2009.3.21)

http://myoshida64.hp.infoseek.co.jp/ycu/ycu2004.html 

 

09/3/12 1年前に横浜市立大学を抗議退職された吉岡直人先生が自費出版された『さらば、公立大学法人横浜市立大学:改革という名の大学破壊』(下田出版 ISBN978-4-902811-82-7)を入手し、早速読んでみた。この本の前半に書かれていることは自分も体験してきたことであるが、5年という月日のなかで忘れていた事件や人達を、その時感じた忌々しさをも含めて思い出させてくれた。また、本書の後半は、私が転出してからの出来事だが、陰鬱な気分にさせられるのに十分なものだった。

 本書を読むかぎり、市大は行政に乗っ取られることによって、とんでもないキメラになってしまったようだ。行政が狙ったはずの効率的管理が実現されているわけでもなく、自由闊達であるはず学者・教育者は後景に退き、上ばかりを向き「権力に阿る人間」が教員の仮面を被って闊歩している行政マンもどきの世界のようだ。廃校もありと脅した市長直轄の「あり方懇」で言われた人事における「公正な選考」とは、たとえ業績がなくとも権力に気にいられさえすれば、教授になれたり、学長や副学長になれたりすることだったらしい。教授会における人事の方がいかに「公正」であることか。

 是非、多くの大学人にこの本を読んでもらいたいと思う。自治破壊がどのようにして行われたかを知って欲しいし、また自治破壊に来るおぞましい世界を知っておいてもらいたいからだ。

 この3月、友人がまた市大を去る。彼の3年ゼミには、私がお世話になっているAさんのご子息が所属している。私の退職の経緯を知っているAさんは、ご子息が市大に入った時、何故かそのことをすまなさそうに話してくれた。それから3年、私の友人が辞めることを伝えるAさんからのメールには「本人自身(Aさんのご子息:引用者注)も学校の体質(&中田市長)に疑問を抱いてきているようです。気がつくのがちょっと遅かったのかもしれませんが・・・。」と書いてあった。