真意めぐり憶測交錯 『意中の後継者有利に』 東京新聞(2009.7.29)

 

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2009072902000111.html 

 

 

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2009年7月29日 朝刊

 「横浜市のため、この一点で判断した」−。辞職願を提出した横浜市の中田宏市長は記者会見で辞職を決めた理由を口にしたが、その言葉を額面通り受け止める関係者は少ない。

 突然の「投げ出し辞任」の真意をめぐり、さまざまな憶測が飛び交っている。

 中田市長は、二十三日に市内で秋篠宮殿下らを招いて開かれた開港百五十周年記念関連行事を終えた段階で、二十八日の辞職を決断した、と説明。市長選を衆院選と同一選挙とすることによる経費節減効果など、任期途中の辞職の正当性や利点を強調した。

 しかし、市課長級職員の一人は「いずれも納得いく理由ではなく、この時期の辞職は不可解」と指摘。「市長選が短期決戦となれば各政党などは候補擁立が難しくなり、結果として自分の意中の候補が有利となる、と思ったのでは」とトップの胸中を推し量った。

 ある民主党有力市議は、開港百五十周年記念イベントの有料入場者数が伸び悩んでいる点を指摘し、「九月のイベント終了後に批判が集中することを避けた、と思われても仕方ない」と述べた。

 来月の衆院選出馬を否定した中田市長だが、会見で将来的な国政復帰に含みを持たせた。市職員組合「自治労横浜」の岩沢弘秋書記長は、「横浜市長の座を国政復帰の踏み台にした」と強い口調で批判した。