《横浜市派遣の素人公務員が、丼勘定で大学経営》 横浜市立大学教員組合報 組合ニュース(2010.7.22)

 

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横浜市立大学教員組合報 組合ニュース(2010.7.22)


もくじ
代議員会資料から(1)〜決算報告
代議員会資料から(2)〜学術院(仮称)(?)
代議員会資料から(3)〜大学総合データベース(?)

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代議員会資料から(1)〜決算報告

 去る7/15()に代議員会で配られた資料の中に、『第4回合同調整会議』なる会議からの資料抜粋として、「平成21年決算実績値と前年度比較、収支計画比較」なる表があった。(21年度決算−20年度決算)のデコボコが目立つが、大学(医学部以外はあり得ないが)から病院へ診療にいった場合と、病院から大学(たぶん医学部だけであろう)へ講義に行った場合の人件費をきちんとしろという文部科学省からの指摘による変化だという。この大学において唯一分けられていたはずの最大のセグメント別収支ですらこのような状況では、個々の教員の研究教育活動に関して小うるさいことをいいながら、素人公務員が、個々の学生が実際に教育を受けるコース(さらには講義、ゼミ)ごとの状況などまったく見極めもせずに、丼勘定で大学経営をしていることが見て取れる。無手勝流の人員削減や給料引き下げなどは、独裁権力さえ握ればどんな人間にでもできるが、組織内会計情報無しで組織の効率的運営など望むべくもない。


代議員会資料から(2)〜学術院(仮称)(?)

同じく、7/15()に代議員会で配られた資料の中に、『第3回教育研究審議会次第』なるものの抜粋もあった。審査体制も怪しい学内研究費の争奪場に堕している研究院制度の失敗に未だ懲りずに、8割がた医学部となるであろう650名もの教員を一絡げにする学術院構想だそうである。2年交替で関内に帰る横浜市派遣職員は、何か目新しい「改革」を行って、市役所での次の昇進に繋げたいのであろうが、毎度毎度毎度毎度のことながら迷惑な話である。三学部統合の大失敗も、責任者はとうの昔に市役所のどこぞやに消え、地位に尻尾を振った小悪を叩くしかないわけだが、またしても、性懲りもなく、愚かな提案である。

大学最大のリソースは教員であり、この大学においては、休職教員の多さが示すように、そのヒューマンリソースマネジメントに問題があることは間違いない。現在の、神奈川県立高校、横浜市立高校をも超える過剰なコマ負担は、共通教養、専門コース、研究科専攻と分断され、ラインの入り乱れた管理職から、言われるがままに持たされた講義が生み出したものである。そんなにコマを持つからいけないと白々しく言う横浜市派遣職員がいるようだが、民間以上に身分の保障されたあなた方が強要している、民間にも例を見ない全員任期制の恐喝の下では、自然な帰結である。国際総合科学部代議員会で、休職教員のうち2人の復職に関わる講義への漸次復帰が報告されたが、研究科との調整は着いているのかという質問が飛んだ。共通教養、専門コース、研究科専攻と分断され、ラインが入り乱れた現行体制では当然ありうべき質問である。

根本の問題は、人文・自然・社会という、大学における一番大括りの学問分野すら無視した研究院、国際総合科学部という制度設計にある。研究、教育にはそれぞれに独自のディシプリンがある。個々の分野ごとに確立した教育システムはもちろん、研究スタイルの差も著しい。各分野の研究者を束ねることができるのは、それぞれの分野での尊敬しうる研究実績と、十分な教育経験を持ち、下からの人望も備えた研究者のみである。まずは一般大学同様、ディシプリンに敬意を払った真っ当な研究教育体制を築き、一般大学同様、きちんと選挙で管理職を選ばねばならない。

たぶん、素人公務員がwebから拾ってきたものだからであろう、資料45ページの取組例が笑える。この資料を作った、あるいは配布を許可した素人公務員は、早稲田大学、横浜国立大学、九州大学の取組例を持って、本学におけるばかげた単一学術院を強行しようとしているのであろうが、まともな大学人ならば、それらの大学の専任教員組織が複数あることを知っている。本学が試みる人文・自然・社会を跨いだ専任教員の組織作りなど行っていないのである。むしろこれらの大学の方向性は我が大学と正反対である。学部、研究科を細かく割り、入学時の魅力と卒業時の保証をはっきりさせ、学生の確保と就職の応援を行っているのである。学部の政治経済学部が、政治学研究科と、経済学研究科と、公共経営研究科と、現代政治経済研究所を持ち、学部の商学部が、商学研究科とファイナンス研究科、産業経営研究所、ファイナンス研究センターを持つ。このようなことをすれば教員の管理が難しくなるので、政治経済学術院と、商学学術院をおく。私立大学、国立大学は真っ当な経営判断をしているのである。


代議員会資料から(3)〜大学総合データベース(?)

引き続き『第3回教育研究審議会次第』資料の46ページに進むと、暗澹たる気分になる。「2教員等のリソースマネジメント 大学総合データベースによる運営・分析(教員評価、研究者データベース等との連携)」 まだ懲りていない。大学独自のデータベースの作成を強行しために、流し込んだREADデータベースをぐちゃぐちゃにしてしまったのは誰か。大学独自の電話帳のような大部の使えない研究業績目録の作成をさせ、しかも失敗したのは誰か。Red Tapeという言葉もあり、学内に役人をおけば、その本性からして使え
ない書類作りをさせられるところは仕方がないことかもしれないが、小中高教員に強いる書類作りが学校現場を疲弊させているのは新聞報道等で知るとおりである。しかも本学の場合、できあがるデータベースも業績目録も使い物にならなかったという問題点がある。

人文・自然・社会と、多様な教員を一絡げに扱おうとするから無理なデータベースを作ることになる。データベース作りなどはプロの文部科学省に任せ、大学当局は下請けとして、ぐちゃぐちゃになっているREAD(J-Global)の再構築法の援助などをするにとどめるべきである。そもそも現学長、現学部長のように、READ(J-Global)に出て来ない研究者もいるので、そのような構築援助こそが必要である。

金を出しているだけに全てを把握しているからであろう、文部科学省サイドで作ったKAKENデータベースは非常に使い勝手がよい。本学は一般大学と違い間接経費を全額召し上げるだけに、使い勝手の悪い研究費よりも時間が欲しいタイプの教員まで科研費応募を強要されているわけだが、応募を強要している学長自身が過去にただの1度も科研費を取ったことが無いということまでよくわかるのである。

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