「意見広告の会」ニュース488(2010.7.26)

 

 

「意見広告の会」ニュース488

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** 目次 **
1 国立大存亡の危機
    交付金1000億円減試算 27大学分に相当、節減限界
     東京新聞7月24日(夕刊)
2 大学予算削減 関係者ら反対相次ぐ 
    国の知的基盤を破壊し、国家の危機を招来する
     『しんぶん赤旗』7月20日
3 熊本大学が特定有期雇用職員を正職員化
         7月17日

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1 国立大存亡の危機
    交付金1000億円減試算 27大学分に相当、節減限界
     東京新聞7月24日(夕刊)

 政府の二〇一一年度予算概算要求をめぐり、八十六の国立大学法人でつくる国立大学
協会(会長・浜田純一東大学長)は二十四日までに、運営費交付金の一千億円規模での
削減が懸念され、二十七大学が消滅しかねないとの試算をまとめた。「国の知的基盤を
破壊する」として、削減対象から外すよう求めている。
 政府は社会保障費の自然増一兆三千億円を容認する一方、国債費を除く歳出を本年度
並みの七十一兆円以下に抑える方針。同協会関係者は、運営費交付金が10%前後削減さ
れ、一千億円減となることも予想されるとしている。
 同協会によると、日本の高等教育への公的資金は現時点でもOECD(経済協力開発
機構)諸国で最下位、交付金は過去六年で計八百三十億円削減され、本年度は一兆一千
五百八十五億円だった。企業からの受託研究を増やすなどして対応しているが、研究者
からは「成果が出るまで時間のかかる基礎研究が難しくなった」との声が上がる。
 一千億円が削減されれば、小樽商科大の十五億円をはじめ、福島大三十五億円など交
付金が少ない大学順に合計すると、二十七大学分に相当するという。実際には各大学の
交付金がほぼ一律に削減されると見られる。
 東北大は「教員を四百人解雇するか、五十二万円の授業料を七十五万円に値上げしな
ければまかなえない額」と分析。五十二億円の交付金を受けた愛知教育大の松田正久学
長は「既に教員を削減し、高熱水道費も削った。さらに減らせと言われても難しい」と
顔を曇らせた。 

2 大学予算削減 関係者ら反対相次ぐ 
    国の知的基盤を破壊し、国家の危機を招来する
     『しんぶん赤旗』7月20日

政府は20日にも2011年度の概算要求基準(シーリング)の大枠となる骨子を策定
しようとしています。政府はすでに「中期財政フレーム」を閣議決定しており、そこで
は国債を除く歳出を前年度以下に抑える方針を示しています。

これに対し、大学などが大学予算削減反対の声明を相次いで発表。削減額が東北地区の
7国立大学の運営費交付金全額に匹敵する(16日の東北地区国立大学学長連名の共同
声明)など教育研究活動に破壊的な打撃を与えると危機感を表明し、知事など地方自治
体に要望する学長もいます。

うち14日発表の国立大学協会と日本私立大学団体連合会の連名の声明を紹介します。

国大協と私大連共同声明

「国立大学法人運営費交付金」及び「私立大学等経常費補助」は、平成23年度(20
11年度)概算要求枠での削減対象から除外すること!!

大学予算の一律削減は、人材養成・学術研究の中心として、成長の原動力をなす我が国
の知的基盤(大学)を破壊し、国家の危機を招来する!!

菅内閣の下で策定された「財政運営戦略」と「新成長戦略」が目指す「強い経済」、「
強い財政」、「強い社会保障」は、わが国が置かれている経済・財政の危機的状況に照
らし、当然実現されるべきものです。同時に、「新成長戦略」は、「強い人材」の育成
が、成長の原動力として未来への投資であることを踏まえ、教育力や研究開発力を世界
最高水準にするための効果的な公的投資を拡充する旨、明記しています。

現在の厳しい財政状況について、大学関係においても認識しているところです。大学は
、これまで人件費削減をはじめ、ぎりぎりの努力をしておりますが、これ以上の削減は
限界であります。

大学は、「持続可能な成長を担う若年層や知的創造性(知恵)(ソフトパワー)の育成
」(「新成長戦略」より)の欠くべからざる土台であり、わが国全体にかかわる新しい
未来を切りひらく存在でなければなりません。「強い大学」の実現を目指し、大学の教
育研究環境の整備や学生への経済的支援の充実を図ることが、日本の輝かしい未来を切
りひらくものと確信します。

一方、「財政運営戦略」(6月22日閣議決定)の「中期財政フレーム」によれば、平
成23年度からの3年間は「基礎的財政収支対象経費」について前年度を上回らないこ
ととし、できる限り抑制に努めることとされています。これを受けて仮にこう間1兆
円以上とも言われる社会保障関係経費の伸びを勘案すれば、いわゆる「政策的経費」は
年率8%の減となります。教員等の人件費を含む大学運営の基盤的経費である国立大学
法人運営費交付金や私立大学等経常費補助もその対象とされれば、削減額は、単年度だ
けでも1185億円(国立927億円、私立258億円)という、すさまじい削減を求
められることが予想されます。

わが国の高等教育への公財政支出は既にOECD(経済協力開発機構)諸国の最下位と
いう状況です。その上、このようなさらなる過酷な削減を行うことは、わが国の成長の
原動力である大学の存立を危うくするものであり、天然資源に乏しく科学・技術と人
材に頼るしかないわが国においては、まさに国の将来を危うくする致命的な施策となり
ます。

ついては、平成23年度概算要求枠において、「国立大学法人運営費交付金」および「
私立大学等経常費補助」については、削減の対象外とし、「新成長戦略」に基づき、長
期的な観点から予算配分が行われることや、高等教育への公的資金の投入について国民
の皆様のご理解ご支援をいただき、来年度概算要求にあたっても高等教育予算確保につ
いて強く要望します。

3 熊本大学における特定有期雇用職員の正職員化について
        熊本大学教職員組合執行委員長 伊 藤 正 彦  7月17日

 熊本大学は,2010年3月30日の役員会において特定有期雇用職員制度を廃止すること
を決定し,同年4月1日に医学部附属病院の特定有期雇用職員390名の正職員化が実現し
た。特定有期雇用職員の雇用期限見直し・正職員化は,2008年度以来,熊本大学教職員
組合が賃金切り下げ問題とならぶ最重要課題として取り組んできた問題であるが,この
成果はけっして熊本大学内のみにとどまることのない大きな意義を有している。

 看護師だけでなく医療技術職員をふくめて正職員化し,特定有期雇用職員という医療
職の非正規職員制度を廃止した(パート職員は除く。したがって,2010年度以降,熊本
大学医学部附属病院で採用される医療職員は,パート職員を除いて全員が正職員となる
)のは,全国の国立大学附属病院において初めてのことである。今回の正職員化は,39
0名という規模もさることながら,この意味においてこそ画期的な成果といえる。全国
的にもマスコミ(共同通信社など)や組合組織(全労連など)から注目を受けたのは,
そのためであろう。

 この画期的な成果は,どのようにして実現したのか。本報告では,実現に至るまでの
取り組みと運動の特徴等を整理するとともに,今後の課題を確認することにしよう。

 (以下は「新首都圏ネット事務局」記事をご覧下さい。www.shutoken-net.jp)