横浜市立大学教員組合報 組合ニュース 2010年10月18日(2010.10.18)

 

 

横浜市立大学教員組合報 組合ニュース 2010.10.18

 

もくじ

●全大教教育研究集会@横浜市大

●データベース

●(重要資料)一組合員からの手紙

 

 

●全大教教育研究集会@横浜市大

 横浜市立大学教員組合が所属する上部団体である全大教の教育研究集会が、全国の教職員206名もの参加を得て、9/17〜9/19に金沢八景キャンパスで開催された。国立大学を中心に一部公立大学が参加するナショナルユニオンであり、市労連が上部団体であった時と違い、関内の非常識から逃れ、我々が日本の大学の研究教育の一翼を担っていることを想い出すためには貴重な機会であった。今回は私立大学との共闘が推し進められ、そのセッションにおいて得られた情報が多かった。以下3点を広く組合員の皆様に提供をさせていただきたい。(重要資料)として掲載させていただいた一組合員からの手紙なども拝見するに、横浜市立大学教員組合は、もしかすると人がよすぎる組合なのかもしれない。

 

○持ちコマ上限は私学でも通年5コマ

 

通年9コマ36単位(以上)もの負担に喘ぐ教員が健康を害するのは当然であると、教員組合総会は、後期の活動方針として、教育中心の教員であっても、学部大学院を合わせた週6コマの持ちコマ上限を要求することにした。指導書に基づき同じ授業を繰り返す神奈川県立高校の教員ですら、14コマ(大学換算7コマ)といった具合に持ちコマ制限を入れている。現在9コマ(以上)もの持ちコマを持っている教員もいる中、週6コマではカリキュラムが回らないだろうという声もあったが、大学の教員が高校の教員の持ちコマを越えることはあり得ないだろうと、止むに止まれず打ち出した要求である。

 

この報告を教研集会でしたところ、参加していた私大教連から、困った顔をされてしまった。私学の持ちコマ規制は通常(国立大学を上回る)週5コマであり、今春経営科学系から脱出した教員のいる私学などにいたっては、3.5コマだというのだ。つまり、給料の低い公立大学が過剰労働に走ってもらったら困るというわけである。(前述の私学に行った教員は、「給料、1.5倍ぐらいにはなったでしょうね」ということだ。)

 

ちなみに、私学では、当局が大規模クラスで処理しようとするため、大人数手当が必須であることもそうだが、この5コマを基準に増担手当が問題になるそうである。1コマに付き非常勤1コマ分は出せるはずなのに、教員側も外の非常勤をやるよりはと割引を飲んでしまうため、交渉が難しいということである。

 

大学運営、民間企業経営の経験の無い当局は毎度のことだが、我々組合側も、スタート前から、このような民間の常識にも欠けていたようであり、新たに体勢を立て直して要求を行わなくてはいけない。

 

36協定闘争

 

 教員組合委員長は、八景事業場の過半数代表として、半年に1回、36協定なる書類に捺印をしている。36協定に捺印しないと、当局は職員に残業を命じることができない。ある国立大学(旧制帝国大学)では、組合費のチェックオフをきちんとしてもらいたいという要求を聞いてもらえないことを理由に、36協定闘争なるものに突入する予定だそうである。これは、穏健な民間組合での伝統的な闘争方法で、首都大が都労連とともに交渉の際に確立するスト権ほどではないにせよ、36協定に捺印せず、残業をさせられなくするということで、かなり大きな武器となる。固有職員に迷惑のかかる話なので、安易にふるうわけにはいかないが、固有職員のためには覚えておいてもよいものかもしれない。

 

○名古屋市大任期制阻止

 

 名古屋市大が少なくとも文科系に任期制を導入するのを取りやめ、理科系も止める方向になったそうである。これは、首都大、横浜市大の惨状を見て、思いとどまったところもあるかと思われるが、決定打は、きちんとした選挙(残念ながら意向投票だが)で選ばれた学長(前病院長)が、真っ当な判断を下しただけのようである。

 

 きちんとした大学人に支えられた学長なら、まともな判断を下すわけである。教員からの最低限の推薦集めにすら失敗しながら学長になったりするから、支持基盤も全く無く、唯一持つ生命線である派遣役人のマリオネットになる。地に足を付ければ一般教員の怒りの炎に焼き打たれるだけに、空虚に踊り続けるしかない。横浜市派遣職員が権力の完全掌握を行う前、彼は、多様な管理職にすら選ばれなかったそうだが、全くの人望無き傍迷惑な権力亡者が、たまたま八景キャンパスの片隅に存在してしまっていた大禍は計り知れない。

 

●データベース

 教員の研究成果がわかりづらいという声が出ているという噂が伝わってきている。またまた、横浜市派遣職員が無駄な書類作成強要に走るのではないかと気が気でない。その時その時の空気で、無定見に書類作成を強要する役人の害は非常に大きい。自分らが作るならまだしも、派遣職員にそのような能力はなく、使い勝手の悪い“枠”をつくるのが毎度だ。

 

研究関連のデータベースの必要性を否定するものではない。普通の大学では研究者(少なくとも分野)に直接与えられる付加交付分を自らの差配に置くためか、遮二無二科研費応募を強要する学長が、かつて一度も科研費を取ったことが無いことは、KAKENデータベースで確認できる。英語に苦しむ学生からの「ISBNがふられた書籍、ISSNがふられた雑誌への英語論文がない国際法の教員が英語教育ばかりに夢中になるのは、単に帰国子女だからか?」などという侮蔑的な噂を消すためには、データベース入力が必要であろう。

 

一般大学の教員の研究業績調査は、J-GLOBAL(ReaD調査)が標準になりつつあるわけだが、横浜市派遣職員が採用した独自仕様のデータを流し込んだことにより、本学関連のJ-GLOBALデータベースは著しく混乱している。大学独自のデータベースの使用は止め、J-GLOBAL(ReaD調査)の入力支援を行うべきであろう。Excelの枠だけ作ってひたすら書類作りを命ずる派遣役人には関内にお戻りいただき、浮いたお金で、必要に応じJ-GLOBALからのデータを使用して広報を行うために、経験ある私学職員を任期の無い固有職員として雇用すればよい。マイナスを消してプラスにする効果は大きい。

 

(重要資料)として掲載させていただいた一組合員からの手紙には、大学の将来など全く考えず、無意味な書類作成強要に邁進する地方公務員の姿が垣間見られる。但し、関内での出世のみを考える派遣役人のパワーに押し切られ、時期的にも全く無意味なアリバイ書類作りを強要されてしまった組合も、その戦闘力不足を自覚する必要があるかもしれない。

 

(重要資料)一組合員からの手紙

【事実経過の説明】

  2008年年度途中に、組合と大学当局とが教員評価の結果を処遇に反映することを合意したことを受けて、大学当局は、次のような処理を行いました。

1.合意以前の2008年度当初に、SDシートに記入していなかった教員は、記入していないことを2009年度の処遇に反映させる。

2.記入していない教員は、対2008年度で「−1」の評価とする。SDシートに記入していた他の教員は、最低でも「+1」となったので、少なくとも、SDシートに記入していない教員と記入した教員との差は「+2」となった。

3.合意以前の2008年度当初にSDシートに記入していない教員は、合意後の2008年度途中での入力は認めない。実際、ある教員は、合意をふまえて、その後まもなく目標を入力・登録し、各コース長等の目標承認を得たが、最終的には人事当局から、もはやSDシートの提出は認められないとの回答により提出を拒否されている(当局側担当は■■氏)。

 

  組合との合意後、2008年度分の入力も人事当局に許さないという大学の姿勢は、コンプライアンス上問題と思われましたので、横浜市立大学内部通報制度委員会に提訴いたしました。しかしながら、何の対応もなされないまま放置されていたため、横浜市の内部通報制度や市民の提案窓口などを通じて問題を指摘していましたところ、2009年9月に、公立大学法人横浜市立大学内部通報制度委員会委員長で、弁護士の■■■■氏より「提訴の内容に関して詳細を伺いたい」旨の連絡がありました。2009年10月に弁護士事務所に出向いたところ、「提訴したことは把握していた。放置されていたようなので、対応する旨、大学側に伝えた」との説明がなされるとともに、委員会委員長として判断を下す旨の話がありました。

 

  その後、時間がたちましたが、2010年8月4日に■■弁護士から判断を伝えるFAXが自宅にありました。内容は、「上記のような大学の対応は、不当である」とのものでした。

 

  そこで、詳細を聞くべく9/14に弁護士事務所に赴きました。■■弁護士の判断と根拠は以下のようなものです。

 

【判断】

(1)2008年度にSDシートに記入していないことを理由に、2009年度「−1」と処理した対応は、不条理であり、不当である。

(2)組合との合意後、SDシートへの記入が可能であったとしても、そのような処理は、奇異である。

 

【根拠】

<上記(1)について>:たとえ組合と合意しているとしても、不当である。理由は、2つある。

  @不利益を受ける本人との合意が必要である。本人との合意なくして、自動的に適用されるものではない。

  A刑法では、実行時には適法であった行為を事後に定めた法によって遡って違法とすることを禁止する「不遡及の原則」があるが、その精神に照らせば、組合と合意したからといって、2008年度当初にさかのぼり、その時点で入力がされていないことを理由に、2009年度の処遇において不利益が生ずるような処理をすることは、不条理であり、不当である。

 

<上記(2)について>:SDシートは、年度の目標を記入するシートである。目標というのは、行為や活動の前に設定するものであり、年度半ば、しかも、年度開始からかなりたってからその年度の目標を記入させるというのは、奇異である。したがって、もし、組合との合意後、2008年度当初にさかのぼって記入させるということがなされたとしても、それは常識的に考えて「おかしい」。

 

【組合へのお願い】

@上記のことは、横浜市大の職員(法人教職員)に共通する問題かと思います。組合ニュースなどを通じて、上記のような判断が内部通報制度委員会から下された旨、組合員の皆さんにお伝え頂ければ幸いです。

A組合と大学との交渉ごとの際、大学当局による上記のような対応が、「不当なもの」であったことを認めさせることは重要かと思います。内部通報制度委員会の判断というだけではなく、大学が正式に「不当であったこと」を認めることは、今後のことを考えますと、意義があるように思います。

B加えて、ことの重大性を大学当局に認識させる必要があろうかと存じます。

 

と申しますのは、この9/21に、2008年度にSDシートを提出しなかった一部の教員に対して、大学当局(担当窓口 ■■氏)から、善処したい旨の連絡があったようですが、内部通 報制度委員会から不当であると指摘されたことには触れず、また、不当であったとの判断を提示することもなく、不足分の給与を支給する旨伝えてきたそうです。

 

それに対し、「不足分が生ずる理由がわかる表現にすべきである。号級が変更になったことを記すべきである」などと抗議したため、人事当局は、「号級を変更する(「+2」とする)」と修正したようですが、しかしながら、変更を適用する年月すら記載されていなかったそうです。

 

その点を指摘すると、「2010年4月から号級を変更する」との記載が加えられたそうですが、これでは、適用の期日が異なるため、その問題を指摘したのですが、いまだ返事はないそうです(2010年9月26日現在)。

 

これらの経緯からして、法務の専門家から「不当」と判断されるような問題を起こした重大性を認識しているとは思われません。加えて、そのような「善処」をする理由として、大学当局(人事)側は、当時の処理が「不十分であった」という説明をしています。組合との合意後の2008年度内にSDシートへ記入させなかったことや、それを2009年度の処遇に反映した行為は、「処理として不十分であった」「不注意であった」と言うレベルの問題ではありません。少なくとも組合は、「問題がある」とずっと指摘していたはずで、当局側が不十分さや不注意さを回避する余地は十二分にありました。明らかに意図的な不当行為です。問題の重大性がわかっていないと言わざるを得ません。この件を組合で取り上げ、大学当局に、その姿勢の問題性を自覚させることは必要と思われます。

C不当な行為を誰の判断で行ったかを追及する必要はあろうかと存じます。大学当局に、ことの重大性を認識させるためには、責任を追及する姿勢を見せる必要があろうかと思います。

D組合から、上記のような状況を労基署と全大教に伝えて頂ければ幸いです。労基署に関しては、労基署に対応をお願いするということではなく、そのような情報伝達があったことを記録に残させるためです。今後のために、少なくとも、連絡だけはすべきかと存じます。

 

以上、よろしくお願い申し上げます。

2010.9.26.                                            ■■■■■

 

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